アイヌ史研究に関する問題点のメモ
- 問題意識の欠如(21頁)
- 「〔……〕研究者の関心のある問題をアイヌ民族を取り巻く現在の諸問題と関わりなしに、自己が設定した問題のみに特化して、それを丹念に研究しているという性格を有する研究が結構多く見られる。〔……〕その研究を何のために行っているのか、という目で見ると、現在が提起している問題をどれだけ意識して研究しているにか、という点では議論を感じる論文もある〔……〕」
アイヌ研究をする上で知っておかねばならない8つのこと
- 2 根強く残る差別(25頁)
- 5 「北海道旧土人保護法」に記されていた北海道知事が管理してきた「北海道旧土人共有財産」の処分のあり方に関する問題(35-36頁)
- 「〔……〕1997(平成9)年9月5日、北海道知事は、同知事が管理しているアイヌ民族の「共有財産」を関係のアイヌ民族に返還することを「官報」で公告したのである。その内容は、「『アイヌ文化振興法』附則第3条第3項の規定に基づく北海道旧土人共有財産返還請求書の請求先及び返還請求書その他添付すべき書類の提出先等を次の通り公告します」というもので、請求先・提出先は、北海道環境生活部総務課アイヌ施策推進室、提出期間は、公告日から1年以内、また同日付の「官報」には、知事管理の「共有財産」18件とその金額129万2957円、同じく知事管理の「指定外財産」8件とその金額17万5224円、合計146万8181円を関係者に返還する旨記されていた。」
- 「ところが北海道知事が「官報」で「公告」した内容には、次のような大きな問題が存在していた。第一に、これまで北海道知事が管理してきたアイヌ民族の「共有財産」に関する原史料を一切開示することなく、「共有財産」の件数を一方的に18件とし、「北海道旧土人保護法」に基づかない「指定外財産」8件をも一緒に処分しようとするものであったこと」
- 「第二に、18件の「共有財産」には、アイヌ民族全体の財産である「全道旧土人教育資金」が含まれていたにもかかわらず、これをも、個人対象に返還する旨記していただけでなく、これを含む「共有財産」と「指定外財産」の内容をすべて金額で表示し、その金額の根拠を一切しめしていなかった〔……〕」
- 6 「先住民族の権利に関する国連宣言」に関する問題(38頁)
- 7 国会議員の動きと国連勧告(38頁)
- 8 「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」について(39頁)
- 「〔……〕2008年6月6日、衆参両院の本会議で「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が全会一致で採択されるに至った〔……〕この国会決議の主な内容は、1)政府は、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」を踏まえ、アイヌの人々を日本列島北部周辺、とりわけ北海道に先住し、独自の言語、宗教や文化の独自性を有する先住民族として認めること。2)政府は、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」が採択されたことを機に、同宣言における関連条項を参照しつつ、高いレベルで有識者の意見を聞きながら、これまでのアイヌ政策をさらに推進し、総合的な施策に取り組むこと」の二点を挙げている。」