ALPHA-NIGHTHAWK(製品版)の感想・レビュー

近未来宇宙SF × ガールミーツオッサン × 有人機動兵器。
高い技術を持ちながらも昇進できず燻ぶる少女が落伍したオッサンとタッグを組む。
宇宙からの攻撃で崩壊した地上の封鎖都市を舞台に機動兵器を駆って大活躍。
若き少女の情熱が、物語を動かす原動力となり、シナリオの謎を解き明かしていく。
ポストアポカリプス臭漂う都市とは?軍との攻防戦は?そもそも侵略者って何?
シナリオだけでなく、人物描写も良く、テキストにおける会話のやり取りも楽しい。
・・・
面白かったのだが、なんか完結しないで途中で終わってしまった・・・
あれだけ一蔵に固執していた黒幕のレグルスが突如興味を無くして幕を閉じ、薔薇の謎も回収されなかった・・・

第1話「不遇な現状に燻ぶる少女がオッサンとの出会いに人生を賭ける」

第2話「如何にして夜鷹一蔵は軍から落伍し封鎖区域で生きることになりしか」

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  • 箱根ミリアの初出撃
    • 箱根ミリアはロボット操作の高い技術を持っていましたが、体内エネルギーの少なさにより試験に落ち続けていました。それ故、遥かに出世した同期から資格だけだと嘲笑されながら、荷物の運搬に従事していたのです。夜鷹一蔵に拾われたミリアは有人機動兵器の操縦の手伝いをすることになり、喜び勇んで操縦桿を握ります。しかし今まで動かしたこともない上位の機体を巧く操ることが出来ず、実際の戦闘で足を引っ張りまくるお荷物と化してしまったのでした。怯えて何もできないミリヤに対し、敵の攻撃を受け頭に血が上った夜鷹はバーサーカー状態となり敵をひねりつぶすのです。そしてまた、軍と出会ったミリヤは、自分を救出しに来てくれたと勘違いし歓び勇んで駆け付けますが、何故か攻撃を受けてしまいます。命からがら逃げだすミリヤたち。それもそのはず、軍はミリヤの存在など全く気にしておらず、さらには一蔵に執着する女幹部によりミリヤは死亡扱いとされてしまったのでした。以上のように踏んだり蹴ったりなミリヤでしたが、泣きながらこれまでの事情を陳述するところが良い味出しています。失敗して落ち込むミリヤに明るく人生訓を垂れるナユタなどもステキ。

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  • 薔薇人間:夜鷹一蔵の過去
    • 一方で夜鷹一蔵さんサイド。バーサク状態が解除されると、なぜか一蔵さんは薔薇人間になっていました。なんで!?そもそも薔薇人間って何?ここから始まる過去話。
    • 物語の世界に於ける「宇宙からの侵略」とは、宇宙に突如現れた薔薇が地球に向かって蔦を伸ばし、時々棘を打ち込んで来るという設定です。この薔薇の蔦を切り取り棘の発射を妨害するのが宇宙軍の勤めなわけです。かつて一蔵さんは溢れる才能により軍で頭角を現し、明るく後輩の面倒見も良い頼れる兄貴分だったのです。しかし、ある時上層部の命令で特攻作戦の人員を選ばされることになってしまいます。一蔵さんはその選出が特攻要員だとは知らなかったのですが、選んだ張本人としてスケープゴートにされ世間からは悪者扱いされてしまうのです。可愛い後輩を死にに行かせた一蔵さんは、次の棘の発射の際には、自らの命を賭して抵抗します。しかし抵抗むなしく棘は発射され一蔵さんは死亡したのでした。ところがこの時何故か一蔵さんは薔薇人間となって蘇生することになります。以後、軍の人体実験に晒されることとなった一蔵さんは、身体を切り刻まれ死んでは生き返るというむごい繰り返しに晒されるのでした。『月姫』のシエル先輩を彷彿させますな。
    • で、この時の一蔵さんを憐れに思ったのが、廃棄されゴミ箱にあった機動兵器の残骸のAI:フロッピーであり、一蔵さんを収容して逃亡を図ったのだとか。この時フロッピーが一蔵に行先の希望を聞くと、棘の発射で破壊された封鎖都市と答えます。一蔵は、自分のせいで破壊され軍にも見捨てられた土地で、生き残った人々に尽くしたいと述べるのでした。こうして一蔵さんは、崩壊した都市でポストアポカリプスライフを送ることになったのです。

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第3話~4話 喧嘩した後、仲直りする話

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  • ミリア、一蔵にビビって萎縮してしまうの巻き
    • 一蔵と共に機動兵器に乗り込むことになったミリア。エネルギー供給を一蔵が担い、操縦をミリアが担当します。訓練に意気込むミリアでしたが、一蔵の特訓は厳しく一筋縄では行きません。時には高圧的な態度や辛辣な言葉になることも多く、次第にミリアは一蔵に委縮していくことになります。ビビッて本来のパフォーマンスを中々発揮できずに落ち込むミリア。そんなミリアをナユタが励まし、友情が育まれていくのですが・・・ナユタが軽々しく、一蔵がいなくても自分一人でできるんだと証明してやるんだ!と述べたことが問題の原因となってしまいます。その言葉を受けたミリアは、敵に破壊されたかつての自分の機体の残骸を取り戻すことで実績を示し、自己の有用性を確認しようとします。ところが、うまく行くはずもなく、敵に取り囲まれてしまうのでした。
    • 一方で、一蔵は人工知能フロッピーによりミリアとの関係性を諭され、接し方を考え直すことになります。そんな折に、ミリア暴走のお知らせ。急いで駆け付ける一蔵とフロッピーは危うい所でミリアを救出。雨降って地固まる展開が発動します。一蔵は薔薇人間として汚染されている自己の肉体を晒し、自分が死んだ後のことを託そうとミリアに厳しく特訓してきたことを告げます。そして強制的に後継者として育てようとしてきたことを詫び、ミリアが望むなら軍に送り届けても良いと述べるのです。そんな一蔵に対し、ミリアは承認欲求に駆られて戦果を挙げようとした愚かさを詫び、一蔵に委縮していたことを吐露するのでした。そして一蔵が薔薇に汚染されていたとしても受け容れられることを示すため、ミリアはついに肉体的に繋がります。こうして和解した二人はメキメキとコンビネーションの力をつけていきます。そして数カ月後にはミリアは一端の操縦士となっていたのでした。

 

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第5話 幕間~ナユタ回~

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  • 日常パート
    • フラグが成立した一蔵さんとミリア。ナユタも交えて冬の備えのために買い出しに行くが、そこでナユタは一蔵さんとミリアの関係を初めて知り、疎外感を抱いてしまいます。と、いうのも、ナユタが人一倍寂しさに対して敏感だったからなのです。ナユタはミリアと友情を育み、いつまでも安布団だと可哀想だからと自分の寝床に誘うのですが、既にミリアは一蔵さんと閨を共にしていることが判明するのです。3人で生死を分かつ戦闘を潜り抜けて来たナユタは、自分だけ閨房に混ぜてもらえず、孤独を感じてしまうのですね。拗ねてしまったナユタは手が付けられず、実感の娼館でホストと憂さ晴らしをするのですが、すっかりやり負かしてしまうのでした。一方、一蔵さんとミリアのデート描写。肉が好きなミリアは肉汁と米を楽しみ、甘党の一蔵さんは山盛りパフェを楽しみます。そしてほとぼりが冷めた頃を見計らってナユタを迎えに行くのですが、先に一人でミリアが行ったため百合展開となります。そしてナユタに逝かされまくるミリア。結局、駆け付けた一蔵さんも交えて3人で致すのでした。

 

第6話 一蔵が薔薇人間から解放される話

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  • 一蔵に執着する女ヴァネッサ&一蔵のクローン的なフェネック:ゴンとのたたかい
    • 第5話の買い出しから戻ってみると一蔵さんたちの本拠地が焼き払われていました。なんと一蔵さんに執着する女:ヴァネッサが一蔵さんを手中に収めるべく襲い掛かって来たのです。我が身を呈して孤児たちを守る人工知能フロッピーの活躍により子供たちは無傷で済みましたが、対決は免れなくなります。作中ではスカイツリーから発せられる電波により、薔薇の侵蝕を免れているという設定なのですが、女幹部ヴァネッサはスカイツリーの電源を切ってしまうのです。このままでは閉鎖都市が薔薇の侵蝕で滅亡していまう・・・この問題を解決するため、一蔵さんは自らの細胞を有するフェネック:ゴンとタイマンし、ミリアはヴァネッサの計略と戦うことになります。ここでの一大ビッグイベントは、ミリアが一蔵さんを信じてスカイツリーの電源を入れられるかどうかというもの。ゴンとのタイマンにより薔薇の浸食が進んでしまった一蔵さん。この状態でミリアがスカイツリーの電源を入れれば、薔薇の侵蝕を防止する効果により一蔵さんも吹っ飛んでしまうという脅しがかけられます。逡巡するミリアでしたが、結局最後は一蔵さんを信じてスイッチオン。するとどうでしょう。スイッチが切られた状態から急に電波を復旧させたため、薔薇の侵蝕を引っぺがすことができたのです。薔薇人間と化していた一蔵さんもフツーの人間に戻ります。その代償として一蔵さんはこれまでのように不死とはいかず、膨大なエネルギーも喪失してしまいましたが。最後は平和が訪れミリアに支えながら余生を過ごすよエンドとなったのでした。人工知能フロッピーにもAIBOの代わりに人間のガワが与えられまるで本当のお母さんのよう。一蔵さんは自分が築いた小さな平和を眺めて穏やかな時を感じるのでした・・・ってここで終わりかい!!!
    • えー、そりゃないぜ。だってマッドサイエンティストのレグルスの問題と宇宙の侵略者の薔薇の問題が1ミリも片付いてないじゃん!!人工知能フロッピーの情報がレグルスに同期されてしまっている伏線や、サブキャラだと思っていた孤児のチリンがレグルスに引き取られていたりと伏線張るだけ張って投げっぱなしですか?

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