- today's summary
- 2019年度のコンテンツツーリズム論演習の始まり始まり。今回は初回の授業ということでコンテンツーリズムに関する基礎知識の確認。コンテンツツーリズムの特徴、定義、類型、実態などが扱われました。
【本日のメニュー】
コンテンツとコンテンツツーリズム
- コンテンツツーリズムはアニメだけじゃないよ!!
- コンテンツとは何か
- 「メディアを通して流通・消費される創作物を一般にコンテンツという」
- コンテンツツーリズムの特徴
- (1)以下の二つのメディア化現象に着目したアプローチ
- ①旅行目的地のメディア化(物理的な場所もメディアとして位置づけられるようになる)
- ②旅行体験・二次創作のメディア化(コンテンツツーリストの旅行体験や、コンテンツファンの二次創作物がコンテンツとなり、メディアを通して拡散し、別の人の旅行動機となる。)
- (2)異なるメディアで流通するにあたり、その物語は再解釈、再編集、再構築がなされる。
- (3)そしてこうしたプロセスは、従来のクリエイターと消費者(あるいはホスト&ゲスト)という枠組みではなく、あらゆる人がクリエイターとなりうる枠組みで捉える必要が生じている。
- (1)以下の二つのメディア化現象に着目したアプローチ
コンテンツツーリズムとは何か?
社会的背景
- 『君の名は』観光 中国のオタクが春節観光に来る! →インバウンド誘致で重要!
- コンテンツツーリズムとは 2005年に日本の中央政府が名づける
- http://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/souhatu/h16seika/12eizou/12eizou.htm
- 観光の一つの形態 コンテンツを活用して地域の観光振興を図る。
- コンテンツツーリズムが政府から打ち出された背景
定義
コンテンツツーリズムの定義は現在もバラバラ
- コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律第2条
- http://www.cas.go.jp/jp/hourei/houritu/kontentu.html
- 教養又は娯楽。教養と娯楽は表裏一体 エンターテイメント性があることが重要。
- http://www.cas.go.jp/jp/hourei/houritu/kontentu.html
- 【国際的な議論】
- 戦争の記憶を辿ることはコンテンツツーリズムになり得るか。
- コンテンツツーリズムの定義①
- 「ものがたり、キャラクター、舞台(ロケーション)など、ポピュラーカルチャー作品を構成する」創造的要素(創作物)によって、全体的にあるいは部分的に、動機づけられた旅行行動。なお、ここでいうポピュラーカルチャー作品とは、映画、テレビドラマ、マンガ、アニメ、小説、ゲームなどを含む。」(Seaton,Yamamura,Sugawa-Shimada,Jang 2017,3)
- コンテンツツーリズムの定義②
- 「コンテンツツーリズムとは、コンテンツによって動機づけられた、一連のダイナミックなツーリズム実践である。コンテンツツーリズムにおいて旅行者は、<コンテンツ化>を通して絶えず拡張する<物語世界>にアクセスし、それを身体化しようと試みる。そして、そうした実践においては、非常にしばしば、旅行者自身が、物語世界の再構築・再コンテンツ化のプロセスに参画する。」(Yamamura,2020)
- 政府の定義の紹介
- 『「映像等コンテンツの制作・活用による地域振興のあり方に関する調査」報告書』(http://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/souhatu/h16seika/12eizou/12eizou.htm)を読むこと。→国土交通省・経済産業省・文化庁、2005によるもの。稼ぐぞ目的。
- 面白さと意義
- 旅行者自身が物語世界の再構築・再コンテンツ化のプロセスに参画する。
- クロスレファレンス 相互参照する!→物語の世界と現場の相互参照するなかで、作品を再構築する→さらにそれをメディアミックスする。すなわち、原作→ 新しく再構築→ 二次創作
- メディア化された旅行経験は単なる旅行経験だけでなく物語世界の再解釈・再構築となる。ここが面白い分野!
- ほとんどの研究がメディアの一つにしか注目していない 複数のメディアに注目する必要がある ここに学術的な意義がある。
- 旅行者自身が物語世界の再構築・再コンテンツ化のプロセスに参画する。
年表 社会的背景
- 1973 ハイジ 日本アニメ史上初のロケハン初アニメ 初コンテンツツーリズム
- 宮崎駿のロケハンに特徴がある いろんなところにロケハンにいった背景を活かしている 背景をみて旅行をしたいという欲望を喚起させようとする。
- 1988 大友克洋のAKIRAブーム 海外におけるJapanimationブームが本格化する。
- 2004 韓国で冬ソナブーム 日本では2008年から放送
- 2004 自衛隊のイラク派遣 自衛隊の復興支援でキャプテン翼のラッピング給水車。コンテンツを外交戦略に使う。
- 2005 国交省・経産省・文化庁『「映像等コンテンツの制作・活用による地域振興のあり方に関する調査』報告書』
- 2006 外務省『「ポップカルチャーの文化外交における活用」に関する報告』
- 2007 『らき☆すた』×埼玉県鷲宮町商工会のコラボレーション まちおこしに発展。ロケハン型ご当地アニメブームの嚆矢となる。
- 2010 経産省製造産業局 「クール・ジャパン室」設置
- 2016 一般社団法人アニメツーリズム協会設立。アニメ聖地を活用したインバウンド誘致を展開。
「コンテンツ・ツーリズム」という一連の体験
- ①メディアを通したコンテンツの視聴 らき☆すた
- ②コンテンツ(フィクション)とオリジナルの相互参照
- 同じ角度にとっても一致しない クリエイターがかならず変える。
- ③現地での身体的体験を通して、ある場所に特別な意味を付与(聖地化)
- リアルな場所にタグ付けをしていく 痛絵馬
- ④メディア(SNS)を通した体験の公開、シェア、拡散(二次コンテンツのメディア流通)
- らき☆すた神輿 今でもモデルケースとなっている。
- 『らき☆すた』はモデルケースとなっているが、これは特殊事例
- 埼玉県 観光資源があるのに自虐的
- 県庁の観光課を筆頭にぶっとんだ観光政策を展開する。→「ダサイタマ」と侮蔑されていたことを逆手にとり「アニメだ埼玉」政策を展開!
- 埼玉県観光課は課長自身がオタク。漫画研究会でブイブイ言わせていた。
- 一方、北海道は観光資源に恵まれていてお高く留まっていて上から目線
- 県庁の観光課を筆頭にぶっとんだ観光政策を展開する。→「ダサイタマ」と侮蔑されていたことを逆手にとり「アニメだ埼玉」政策を展開!
いろいろなコンテンツツーリズム
- ①ロケーション探訪(舞台探訪・聖地巡礼)型
- 聖地を同定する人々は自分たちのことを巡礼者と言わない。
- 日本で初めて ハイジ
- ②ロケーション創造(見立て)型
Contentization of heritage 文化財のコンテンツ化
Heritazation of contents ポップカルチャーのヘリテージ化
コンテンツとは何なんだ!
今回の宿題
道内のコンテンツ作品を調べよう!
- 北海道がロケ地・舞台・ゆかりの地となっている作品(ポップカルチャーとして消費されているコンテンツ)で、且つメディアミックス展開されているものを、以下の条件で10個以上リストアップする。
- 条件① 『作品名』(公開時期とメディア種別/関連する地域名)、URL
- 条件② 10個のうち舞台の場所は以下の通りとする
- 北大が舞台(または舞台となっている)作品×1
- 札幌市内で北大から徒歩歩圏内の作品×3
- 上記以外の札幌市内の作品×2
- 上記以外の道内の作品×4
- 条件③ 10作品のうち、最古のものと最新のものを含めるようにする