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  • 【逐語訳】"introduction" Contents tourism in Japan : pilgrimages to "sacred sites" of popular culture,pp.1-12

    序論の部分。コンテンツツーリズム研究の必読の書であるContents tourism in Japan : pilgrimages to "sacred sites" of popular culture.Amherst, N.Y. : Cambria Press,2017を読んでいく。

    特にヘリテージツーリズムとコンテンツツーリズムの関係性を論じる際、「Heritage and/or Contents Tourism」という概念をおさえることが必須であり、この中にでてくるとのこと。

    少しずつ読んでいく。 introduction読み終わった。

    【Introduction】

    導入

    【1】日本政府によるコンテンツツーリズムという用語の定義

    ①近年、日本の漫画、アニメ、音楽、映画、テレビドラマ、そしてコンピューターゲームは多くの国際的なファンを獲得している。

    ②日本の大衆文化の国際的なアピールを認めた2000年代初頭以来、日本政府は大衆文化の輸出を促進するとともに、国際的なブランド戦略を発達させた。クールジャパンというスローガンを使いながら。

    ③この戦略は二つの要素を持っている。数十億ドル規模のグローバル文化産業の大きなシェアを獲得する事と「ソフトパワー」を使用して日本の国際的なイメージ/ブランドを改善する事である。

    ④しかしながら、2004年に韓国のテレビドラマ冬のソナタを見た後に韓国を訪れた多くの日本人が、日本政府の注意をひいた。

    ⑤政府は公式文書で初めて日本の大衆文化に潜在性があると認めた。その潜在性とは国内外の訪問者数を増やし、観光産業を活性化すること。

    ⑥この大衆文化によって誘発された観光形態を表現するために日本で使われた用語がコンテンツツーリズムである。

    国土交通省経済産業省運輸省文化庁が発行した2005年の政策文書は、コンテンツツーリズムの本質を、物語の質もしくはテーマを地域へ加える事と定義した。—すなわちコンテンツによって創生された地域に特有の雰囲気やイメージである—。そしてまた、物語の質の使用を観光資源として定義した。

    【2】コンテンツとメディアミックス展開

    ①コンテンツツーリズムは、90年代以来、学術・観光分野でかなりの興味関心を生み出してきた、映画による観光・文学観光・その他メディアに関する観光形態の近縁者である。

    ②日本のコンテンツという言葉は、英語のcontentsからの借用語だが、1990年代以来、現在の使用法のみで存在している。

    ③オカモトタケシはコンテンツを以下の様に定義した。何らかの形で作成もしくは編集された情報で、それが消費されると喜びをもたらす。

    ④この時の大衆文化における主要な発展は、多目的の加速化であった。その多目的とは、ストーリーライン、キャラクター、ロケーション、そしてその他の創造的な要素であり、様々なメディア形態に渡っていた。

    ⑤物語はすぐに、漫画、コンピューターゲーム、アニメシリーズ、実写映画でリリースされるかもしれない。

    ⑥メディア形式によって大衆文化作品を分類化することは適切ではなくなった。

    ⑦代わりに、想像的な要素の組み合わせはコンテンツとして知られるようになった。学者や日本の創造産業で働いている人々の間で。

    【3】観光の言葉の起源

    ①コンテンツのセットのファンは、関連施設を訪れたであろう。そしてコンテンツツーリズムの概念が出現した。

    ②「ツーリズム」はまた英語からの借用語である。

    ③日本語においてtourismの一般的な言葉は観光で、これは易経から来ている。易経は、古代の占いのテキストであり、古代中国哲学五経の一つである。

    ④観光の二つの特徴は、「観る」と「光」である、そして以下のフレーズを参照する。「光を見よということは、王国の栄光である。もしあなたが光を輝かせたいならば、あなたは特別な待遇が与えられる。王の特別なゲストとして。」

    ⑤これらの文は江戸時代に日本に輸入されたと言われている。そして観光という言葉を創出した。

    1855年、江戸将軍期の海軍は訓練船を観光丸と名付けた。そしてその言葉は以下の意味で使われた。他国の光を見よ。歴史、文化、マナー、景観のような。さもなければ他国に自国の明るさを見せよ。

    ⑦大正時代(1912-1926)、その言葉は英語のtourismと相互変換的に使われ始め、現在もこの意味を保持しています。

    ⑧ネルソングラバーンは以下のことに着目している。観光と他の用語である見物(sightseeing)は仕事上の義務が無い時は、旅行(travel)と旅(trips)である。

    ⑨一方、シルビー・ギジャーズ・アンギスは、観光と旅を並置して以下のことを示唆している。観光は余暇旅行と関係があり、旅は自己発見の要素の移動(歴史的なウォーキング)である。

    ⑩対照的に、ツーリズムは観光の標準翻訳から派生した比較的最近の借用語である。

    ⑪それゆえ、英語のtourismの語源からはかけ離れている。すなわち、英語のtourisumの概念は以下のような考えである。Tourとは円形の構造であり、最後の目的地は出発地:家と同じである。

    ⑫日本語から英語に再び入った借用語として、「コンテンツツーリズム」という用語のなかの「ツーリズム」という語は不定形の概念である。

    ⑬それは円形の”tour”、より直線的な”jorney”そして”travel”の動きの要素で構成されており、仕事というよりもレジャーの概念によって、光を見る事や楽しみといった全てが一緒に結び付けられている。そしてまたコンテンツの定義に固有である。

    【4】コンテンツツーリズムの定義

    それらの要素全てを合せると、我々の作業におけるコンテンツツーリズムの定義とは完全または部分的にでも、以下によって動機づけられた旅行行動です。その動機とは物語、キャラクター、野外撮影地、その他大衆文化形式の創造的な要素です。そしてそれは、映画、テレビドラマ、マンガ、アニメ、ノベル、パソゲを含んでいます。

    【5】インシデンタルツーリズム 付随的な観光

    ①それゆえ、コンテンツツーリズムの重要な特徴は、場所の性質というよりも、旅行者の動機によって定義される。

    ②一つ以上のコンテンツセットによって場所に与えられる意味もしくは物語の質は、旅行を作る及び又は楽しむための不可欠な理由です。たとえ、その場所が漫画と繋がりがあるといったような関連性が非常にあいまいだったとしても。

    ③大衆文化に関する観光地が増加すると、多くの観光客は”付随的な文化の観光客”と呼ばれるかもしれない。

    ④そのような人々は大衆文化と関係のある場所を訪れようとはしませんが、そのような場所のコンテンツと関係付けによって高められた旅行経験を持つことになります。

    ⑤しかしながら、原則として、映画『ラストサムライ』の撮影地として使われたことを理由にして姫路のエンギョウ寺の訪問することは、コンテンツツーリズムとして数えることが出来るけれども、建築や宗教の趣旨のためにエンギョウ寺を訪れることはカウントしない。

    ⑥代わりに、ジョン・アーリ―の有名な概念、観光者の視線(社会的に構築された見方)を用いると、コンテンツツーリストはアルグレン(トム・クルーズ)とカツモト(ワタナベケン)が会話する廊下を見る一方で、その他のツーリストは3000年を超える寺院の複合施設として建造物を見るのである。

    【6】コンテンツツーリズムにおける大衆文化の定義

    ①大衆文化として数えることにもまた説明が必要である。

    ②広く同意された大衆文化の定義はとらえどころのないままである。

    ③定義が広くなりすぎるか、もしくは高尚芸術と大衆文化の任意の区別でしばしば行き詰まってしまう。たとえば、定義が広くなりすぎてしまう事例には以下のようなものがある。日本の外務省は大衆文化を人々の日常生活を通して消費され洗練された文化として定義した。だが伝統的及びまたは近代の生産かたちをほぼすべて含んでいる定義である。

    ④しかしながらコンテンツツーリズムにおいては明確な境界が存在する。

    ⑤まず初めに大衆文化は媒介される。

    ⑥大衆文化は書かれた言葉、動画画像、音楽、コンピュータソフトウェア、アプリそしてその他の「生産、編集された情報」をクリエイターから、「消費されたときに楽しみ」を獲得するファンに届けるメディアを含むのである。

    ⑦この事例では大衆文化は、料理のような媒介されない文化は含まない。料理は「クールジャパン」戦略の重要な構成要素だけれども。

    ⑧第二に、媒介された文化は創造的な要素を含み、主に娯楽作品として生産される。

    ⑨コンテンツツーリズムはメディアツーリズムよりも狭い、そしてメディアツーリズムとは広告、ガイドブック、ニュースメディア、インフォマーシャルそしてコンテンツツーリズムから除外するその他の製作である。

    ⑩コンテンツツーリズムは以下によって引き起こされる。フィリップ・ロングとマイクロビンソンが「有機的な」
    メディア情報源と呼ぶものによって。そしてそれは観光産業の影響及び私達の想像力を形成したいという欲求から厳密に外れたものである。

    ⑪第三に、「人民の」ことによるものであり、大衆文化は政府による仕事ではない、そして芸術とポップカルチャーの間に区別はない。

    ⑫高いから低いものまでどんな形式の文化であれ、観光を誘発することができ、我々の調査の範囲に入る。それゆえ、本書では詩からエロ写真までの事例を紹介する。

    【7】現実世界の場所そのものではなく、その場所に付与される物語性

    ①要するにコンテンツツーリズムは物語の創造から始まる。そしてそれは、ストーリー、キャラクター、撮影場所、その他音楽のような創造的な要素を含んでいる。

    ②それらのコンテンツは観光の想像力を生み出す。それはアシノドロス=クロニスによって以下のように定義されている。価値があり、感情を与える集合的な物語構造であり、観光を通して特定の場所に関連付けられ、制定された。

    ③人々が、映画や漫画などの消費を経由して媒介された物語世界への精神的な訪問から、それらの媒介されたコンテンツに関する現実世界における撮影場所への神聖な訪問へ移行する時、彼等はコンテンツツーリズムに従事する。

    ④日本政府の解釈は、当然のことながら政策面と、観光資源として物語の質とテーマを発達させるために、地域によってどのようにコンテンツが利用されうるか、に焦点をあてている。

    ⑤さもなければクロニスが言うように、「観光地を売ることは、その時、場所それ自体を売る努力ではない、場所の物語を売る努力」なのである。

    【8】南砺市の事例

    ①実際にこのことが意味することは以下の通りである。若いアニメファンが、お気に入りのアニメ会社によって作られた南砺市でしか見る事ができないアニメがあることを知った時、そして彼女がタブレットを手に、アニメを楽しみ、関係ロケ地を訪問し、コイタビカメラを使ってズイセン寺の写真を撮るというような活動をするために南砺市へ旅をする時、彼女をコンテンツツーリストと呼ぶことが出来る。

    ②この本で紹介することは日本におけるコンテンツツーリズムの多くの形態のひとつに過ぎない。

    コンテンツツーリズムのアプローチの可能性

    【1】コンテンツツーリズムの文献は少ない

    ①メディアとツーリズムの間の繋がりは、観光学の分野で急速に発生している。

    ②しかしながら、日本の観光についての英語文献において、それらの繋がりについて書かれたものはほとんどない。

    ③クールジャパン、ソフトパワー、文化的輸出の広範な議論はあった。

    ④しかしながらカロリンファンクとマルコムクーパーは以下の様に述べています。日本の観光は文書における報道が比較的少ない。日本語の文献でさえ、観光は期待したほどの注目を受けていない。少なくとも17世紀以来継続的な発展を経験している割には。

    ⑤ファンクとクーパーは巻末の2ページにおいて、漫画、アニメ、ビデオゲームの観光について記している。そしてそれは、コンテンツツーリズムが日本の観光研究においてニッチな話題でありながら今後数年間に注目すべきものであることを示してゐる。

    【2】冬のソナタと秋葉ブーム

    ①日本の観光についての記事及びメディアツーリズムについての英語記事の両方の注意を引きつけている日本に関するコンテンツツーリズムの一側面は、韓国の波である。

    冬のソナタのブームは南朝鮮への日本の観光の一般的な研究と映画に起因するツーリズムのケーススタディーの両方で注目されている。

    ③もう一つは秋葉原ブームである。

    電車男というオンラインノベルによって始まったものだが、それは匿名のネット掲示板2ちゃんねる2004年の3月から5月に投稿された、後に書籍化、映画化、テレビドラマ化した。

    電車男、アイドルグループAKB48(秋葉原の劇場で定期的にパフォーマンスを行う)の大人気、そしてメイド文化は、東京の電気街をオタク文化に興味のある国内的・国際的な観光の魅力に変えた。

    【3】学問上におけるコンテンツツーリズムの扱いについて

    ①我らが書籍を通じて見ていくように、それらの例は単なるコンテンツツーリズムの氷山の一角に過ぎない。

    ②それにも関わらず、日本国内のフィルムツーリズムは、Joanne Connellの徹底的な2012年のフィルムツーリズム文献調査からは欠如していたことで目立っていた。日本で焦点があてられたのは以下の文脈のみである。日本から外国に向けての観光として韓国(冬のソナタブーム)とイギリス(イワシタチエコの映画と目的地イメージの研究)へ向かう事例。国外から日本国内へ向かう観光については、台湾における日本のテレビドラマのファンが日本へ来る事例。

    ③英語文献における転機は2012年から13年頃に来た。その時とはCraig Norris が「メディアツーリズム」と「メディア巡礼」という言語を使って日本についての文献を出版し、スービートンとヤマムラタカヨシとフィリップシートンが「コンテンツツーリズム」を定義する初めての文献を出版した時であった。

    ④しかしながら、2015年に雑誌:ジャパンフォーラムの27.1号の特別版の出版まで、コンテンツツーリズムが10年間の観光政策の重要な特徴であるにも関わらず、またそれが週十億円の産業であるにも関わらず(日本銀行の推定によると、日本の公共放送NHKに対する毎年恒例の大河ドラマの経済的影響は、そのひとつだけのドラマの影響で年間数億ドルになる)、大衆文化によって誘発される国内観光は英語の学者の注目をほとんど受けていなかった。

    【4】この本の狙い コンテンツツーリズムを日本の事例研究を超えて世界的に位置づける

    ①この本は、地理的歴史的文脈でコンテンツツーリズムを紹介することによって、この文献のギャップ差を縮小することを狙っている。

    ②そうすることで、メディアによって誘発された観光の文献の世界的な地図に、日本を映画の様に位置付けたい。

    ③我々の広範な研究は、一方で、日本の事例研究を超えた、コンテンツツーリズムのアプローチの有用性を提示している。

    ④物語、キャラクター、ロケ地の重要性は、永い間認識されていた。

    ⑤例えばフィルムツーリズムではスービートンが以下の様に述べている。映画の販促能力は平等ではなく、いくつかのテレビ番組や映画はほとんど影響を与えない。その一方で、影響を与え記憶に残り得るものもある。それは永続的な重要性の映画経験を創造するために組み合わされるプロット、キャラ、設定もしくは3つ全てであるかもしれない。

    【5】コンテンツツーリズムの効果・メリット

    ①ピーターボラン、スティーブンボイド、ジムベルはブログのエントリにおいて見られるように、映画によって誘発される観光の影響の調査を通して、それらの結果を反映している。

    ②彼等は以下のように結論づける。「風景は、主要な動機付けの駆動輪である。しかし、物語やストーリーラインそしてキャラクターもまた影響に重要である。一方で、感情と情事、音楽もまた役割を果たしている」

    ③したがって、ある意味では、概念としてのコンテンツツーリズムは、単に認識された現象を違った角度からアプローチするに過ぎない。

    ④しかしながら、この異なる角度は以下のような洞察の機会を提示する。その洞察とは、文学観光のようなメディア形式に基づくアプローチ内で獲得するのがより難しい洞察である。そしてこの異なる角度はまた、スティージン・レイジンダーズによって使われる「メディアツーリズム」というより包括的な用語により近い。その「メディアツーリズム」は多くの現代的な事例のマルチメディアのキャラクターを認識する。

    【6】コンテンツツーリズムは既存の観光学の研究方法を補完する研究手法である

    ①しかし、私たちは映画に誘発された観光やメディアに誘発された観光その他の変種についての既存の言説を奪うコンテンツツーリズムを見ていない。

    ②全く逆である。我々はコンテンツツーリズムを以下のものとして見なしている。既存のアプローチと競合するというよりも補完する追加の理論的方法論的アプローチとして見なしている。

    ③さらに、全ての場合でコンテンツ―リズムのアプローチの手法を提唱しているわけではない。

    ④例えば、『ロードオブザリング』という映画によって引き起こされたニュージーランドへの観光は映画に誘発された観光の事例研究として最も知られたもののうちの一つである。

    ニュージーランドにおける『ロードオブザリング』観光は映画のロケ地観光として最もよく分類される。

    ⑥JRRトールキンの小説の物語、キャラ、ロケ地は、ピーラージャクソンの映画以前には、ニュージーランドに何も関係を生み出さなかった。

    ⑦対照的に、ジェーンオースティン観光の分析は、コンテンツツーリズムの手法から恩恵を受ける。

    ⑧オースティンの小説のファンと映画・テレビ・その他多くの派生作品の翻案を区別することは分析的に面倒である。

    ⑨それゆえ、映画と文学の観光を分けようとすることは、問題だ、

    ⑩オースティンの世界の様々なコンテンツに焦点を当てることのほうがより便利である。

    ⑪これにはオースティン著者に関係する場所も含む。それは彼女が書いた架空の小説におけるキャラクター、物語、そして現実の場所である。またドラマ撮影の場所としての使用を通してオースティンの世界に追加された場所もである。

    ⑫要するに、物語、キャラ、ロケ地、そしてその他の創造的な要素といったコンテンツのセットが複数のメディア形式を通してファンに届けば届くほど、コンテンツツーリズムのアプローチの可能性はますます大きくなるのである。

    コンテンツツーリズムはいつ始まったのか?

    【1】コンテンツツーリズムの開始を用語の使用に求めるか、それとも概念を遡及させて用いても良いか。

    ①コンテンツツーリズムがいつ始まったかを決めることは、重要な質問に取り組むことが求められる。用語が作られた時、コンテンツツーリズムが始まったか(コンテンツは1990年代、コンテンツツーリズムは2000年代)。さもなければ、メディアによって誘発される以前の観光の形式を説明するために、コンテンツーリズムを遡及的に使用することは可能か。

    【2】コンテンツツーリズムの概念を遡及的に用いる事例

    ①コンテンツツーリズムとして過去の観光行動を遡及的に定義することを論じたとある研究者はマスブチトシユキですが、彼は江戸時代(1603-1868)における松尾芭蕉の俳句に関係する場所への訪問や、奈良時代(710-794)の初期の経験でさえ、コンテンツツーリズムの初期の形態だとして引用している。

    ②コンテンツツーリズムとして観光行動を遡及的に命名することはどこまで遡らせることが出来るか議論が存在するが、いくつかの遡及的な命名が必要である、なぜならばこれまで説明されてこなかった独特の観光形態が出現して初めて、それを説明する新しい用語の必要性が現れるからである。

    【3】コンテンツツーリズムの特徴はネットとソーシャルメディアであり、それ以前のものとは区別する。

    ①逆にヤマムラタカヨシは以下のように論じている。観光業は1960年代以来3つの特徴的な段階を経て来た。1960年代と70年代におけるマスツーリズムの期間であり、旅行者は典型的に旅行業者によって目的地へと送られた。1980年代と90年代のニューツーリズムの期間は、ホストコミュニティがゲストを歓迎した。2000年代からは次世代観光の期間である。個人旅行者が旅行を通して新しい観光を生み出した。

    ②この後の段階としては、コンテンツツーリズムがホントウに概念として現れた時、インターネットとソーシャルメディアは旅行行動を変えた。

    ③旅行者がソーシャルメディア、旅行ブログ、ファイル共有ソフトを使う方法は現代のコンテンツツーリズムの特徴的な側面です。

    ④従って、ネットとソーシャルメディアの出現以前のコンテンツツーリズムの初期形態は、名前はとやかくとして、本質的にはデジタル時代のコンテンツツーリズムと実質的に異なるものとして扱われなければならない。

    【4】この本におけるコンテンツツーリズムの定義 あらゆる時代で大衆文化によって誘因された観光

    ①最終的に、コンテンツツーリズムの始まりを特定することはあまり重要ではない。より重要なのは、現象を研究するための理論的、方法的手段を洗練する事である。

    ②コンテンツツーリズムの用語のうちのいくつかの重要な用語、特に聖地巡礼はファンによってお気に入りの作品と関係する場所を訪れることを意味しますが、古い旅行形態との関係を生み出します。

    ③確かに、近代の日本の観光における儀式、巡礼、宗教的な場所の重要性は、ガーバンの先駆的な1983年の業績であるTo Pray,Pay and Play.で指摘されている。

    ④「聖地巡礼」はファンによって作られた。研究者や日本政府観光局のwebサイトの特集によってではありません。

    ⑤したがって、コンテンツツーリズムの歴史を古代の宗教的な巡礼のルーツにまで遡ることに決めた。

    ⑥書籍の途中での用語の任意の変化を避けるため「コンテンツツーリズム」はどの時代においても大衆文化によって引き起こされた観光であるとする。

    コンテンツとしての歴史

    heritage and/or contents tourism

    ①コンテンツの形式としての日本の歴史は、もう一つの我々の仕事の重要なテーマである。

    ②コンテンツツーリズムは通常、架空のポップカルチャーに関連付けられており、多くの人々にとって「コンテンツツーリズム」は「アニメツーリズム」と同義である。

    ③しかし我々のケーススタディーの多くは大衆文化における歴史の表現によって誘発された遺産への観光である。

    ④もし私達が歴史を物語として考え、歴史上の人物が様々な場所で重要な行為をした場合、我々はコンテンツとして歴史を考えられる。

    ⑤日本史の最も有名な出来事は、テレビドラマから漫画まで様々なメディア形式を通して繰り返し描かれており、そして日本の遺産地への訪問はそれらの大衆文化における歴史叙述に影響を受ける。

    ⑥我々はこの現象を「ヘリテージand/orコンテンツツーリズム」と呼んでいる。

    本書の構成

    【1】1章は理論、2~4章は各時代のコンテンツツーリズム

    ①本書は4章ある。

    ②1章は理論的な枠組みを紹介する。

    ③前半は横軸であり、ファン、コンテンツビジネス、地方自治体というコンテンツツーリズムの3つの主要なプレイヤーの間の関係を検討する。

    ④後半は縦軸であり、時間ごとにコンテンツーリズムのパターンを提示する。

    ⑤2章から4章は標準的なテンプレに従う。

    ⑥それらは観光の概要と当時の歴史的傾向から始まる。様々なテーマと事例研究を提示する前に。

    ⑦それら3つの章は、急速に減少する長さの時期をカバーする。それぞれは13世紀(1945年まで)、45年間(1945年から2000年まで)、15年間(2000年から2015年まで)である。

    ⑧主に2章で提示された神話、伝説、正史、遺産の堅牢性は、それらの古いコンテンツセットと、3章及び4章における多くの儚い大衆文化を区別する。

    ⑨長期持続的にコンテンツツーリズムを見る事は、全ての事例研究の特徴をより明確な時間軸の文脈に位置付ける。

    【2】コンテンツの時代区分

    ①各章の主題は通常、コンテンツが作成された日付によって決定される。

    ②それゆえ、例えば、2005年以降のゲームとアニメ「戦国バサラ」によって誘発された観光ブームは2章に来ます。なぜならば、そのコンテンツは15世紀から16世紀の戦国時代に由来するからである。

    ③しかしながら、このルールには例外がある。コンテンツのセットがその章内で扱われるテーマを例示する場合。

    ④それゆえ、例えば、ヤエノサクラという歴史ドラマは2章というよりも4章で議論される。2011年の東日本大震災による災害後を支援するコンテンツツーリズムの事例として。

    【3】本書と『International Journal of Contents Tourism』の併読のススメ

    ①本書では、コンテンツツーリズムの多くの場所と事例が取り上げられている。

    ②そのうちのいくつかは触れる程度であり、その他のものは長さで言及されている。

    ③我等の狙いは現象をマッピングすることにあり、我等がその他場所で行った深い事例研究を提示するものではない。

    ④この本はもっと大きな研究計画の一部であり、我々は読者に『International Journal of Contents Tourism』において掲載された調査と合わせてこの本を読むことを推奨する。『International Journal of Contents Tourism』はこれもまたその大きな計画の一部を形成している。

    ⑤IJCTは、研究文献、野外調査に基づく研究ノート、そしてポストカードを発行している。そのポストカードとは、コンテンツツーリズムの場所を撮影した写真に伴うブログタイプのエントリである。

    ⑥IJCTはまた、この書籍の著者による他のオープンアクセスの出版物のリンクも提供している。その出版物とは「Japan Forum」の2015年27巻1号のような特別編集版や、北海道大学出版会の『The Theory and Practice of Contents Tourism』のようなものである。

    ⑦それらの出版物の業績はこの巻よりも本質的によりエスノグラフィカルである。我等はフォトエスノグラフィーで様々な試みを行ったのだが。ちなみにフォトエスノグラフィーとはイェール大学の人類学者である中村カレンにのウェブサイトによって、「他の文化を視覚的に表現及び分析する科学と芸術」として定義されている。そして我らが行った試みは旅行文化としてコンテンツツーリズムの重要な瞬間を捉えた約100枚の写真を提示することによってなされた。

    ⑧それらの写真は、この本の研究の一環として著者たちによってまとめて訪問された数百の場所のいくつかで撮られたものである。