既存研究領域の限界を乗り越えるためのコンテンツツーリズム

大きなテーマ→これまで研究してきたバックグラウンドの限界性をコンテンツツーリズムが乗り越える

  • 歴史教育の限界
    • 歴史教育というと何を思い浮かべるだろうか。歴史用語の暗記、概念の習得と抽象的な思考操作、歴史的諸能力(原因・結果・変化・連続・意義・視点)の育成などが挙げられるだろう。だがしかし、一部の歴史好きな生徒を除き、生徒にとっては学校の授業でカリキュラムにあるから学ぶという程度のモチベーションである。受験科目に必要だから、定期試験に出るから、そういった理由で歴史を学んでいる。そのため生徒にとって教科書に書かれていることは自分とは関わりのない絵空事の出来事であり、大して興味の無い事を傍観者的に学んでいる。馬を水辺に連れて来ることは出来ても水を飲ませることは出来ない。ここに歴史教育の限界性がある。興味を持ってもらうことから教員の仕事と言われればそれまでだが、歴史教育を生徒の生活世界に関連性を持たせる必要がある。これは博物館にも言えることができ、文化財の保護だけでなく、展示や教育も必要となってくる。

  • コンテンツツーリズムの有用性
    • こういった限界性に有効なのがコンテンツツーリズムである。人々は様々なコンテンツに触れる中で物語性に強く興味を惹かれる。コンテンツの中に描かれた歴史的題材は確かに史実とは異なる所があり、ファンタジーである。しかしながら作られたファンタジーもその背景となるリアルがあり、そこからアプローチする手段となる。コンテンツを深く理解するためには、元ネタとなった史実を知る必要がある。ここにコンテンツツーリズムの可能性が出て来る。物語をリアルで追体験する中で、リアルそのものへと興味を転化させ、地域の魅力や歴史に感心を抱かせることが出来るのである。

  • 物語の創出と歴史学の手法
    • 観光資源は物質文化だけではなく、無形文化や物語性も資源となる。近年の日本遺産ではストーリーが重視されていて、歴史をベースにしながらコンテンツが作られている。だからといって、好き勝手に物語を作っていいかというと、そうではない。ここで活かせるのが歴史学の作法なのだ。歴史学は最終的に歴史を叙述することを目的とするが、好き勝手に歴史を語ってよいわけではなく、あくまでも史料に基づいて、そこから解釈できることで客観性を担保しようとする。史料に説得性を求めており、そこから逸脱することは語れないのである。それ故、「物語性」を観光資源とする際にも、歴史学の手法は有効である。そして博物館の展示もストーリーである。どういった導線でどのような文化財を展示し、そこからどのようなストーリーを作り上げていくかが重要になる。コンテンツツーリズムはメディアに登場した風景の参照行為だけでなく、物語性の追体験が求められてくる。ここに歴史学博物館学の手法と親和性が高いのである。

  • これまで携わったキャリアとの繋がり
    • 博学連携の研究・実践のために博物館で学芸員として勤務した経験がある。その際に『真田丸』が流行ったのだが、真田家に関わる県内の城から発掘された出土品が企画展の展示資料となった。また城跡への巡検が行われたのが、多くの申し込み者が出た。
    • 最近、授業実践では秩父吉田の龍勢を取り上げた。これは『あの花』というテレビアニメでシナリオ上重要なモチーフおとなる重要無形文化財である。これを中心に秩父文化財を題材とした日本史学習を行った。

  • その他メモ
    • 具体的な調査地→よりもい・館林・日本遺産、あの花・秩父重要無形文化財、文スト・前橋・萩原朔太郎など
    • 研究手法→フィールドワーク、参与観察、エスノグラフィー、定量的・データ
    • 将来・キャリアパス→博士号取ったとしてどうするのか? → 研究者・高校教員・学芸員・地域振興
    • メディアとツーリズムの融合
    • 観光学である理由 なぜ歴史学・教育学・博物館学ではダメか。
    • これまでのキャリア・バックグラウンド 限界性 コンテンツツーリズムによる乗り越え
    • コンテンツツーリズムとヘリテージツーリズムは対極の概念とされているが果たしてそうなのか
    • 歴史学のサイドであることを強調する
    • 研究は日本国内ではダメで海外で学会発表するし英語論文を書く
    • テーマである満洲国を活かすには → 旅の文化研究所 まほら 高媛 
    • 従前に得た知見を研究にどのように反映するか