ヘリテージツーリズム(Heritage Tourism)の主要概念

ここではヘリテージツーリズムの主要概念についてまとめていくつもりである。

  • 歴史教育の限界
    • 歴史好きの一部を除き、殆どの一般的な人たちにとって、歴史は単なる学校のカリキュラムに過ぎず、概念操作と用語暗記が学習の中心になっているという状況→これを打破?するために、「Heritage and/or Contents Tourism」の概念を用いる?

HISTORY AS CONTENTS

  • 出典
    • Contents tourism in Japan : pilgrimages to "sacred sites" of popular culture.Amherst, N.Y. : Cambria Press,2017,p.10

①コンテンツの形式としての日本の歴史は、もう一つの我々の仕事の重要なテーマである。

②コンテンツツーリズムは通常、架空のポップカルチャーに関連付けられており、多くの人々にとって「コンテンツツーリズム」は「アニメツーリズム」と同義である。

③しかし我々のケーススタディーの多くは大衆文化における歴史の表現によって誘発された遺産への観光である。

④もし私達が歴史を物語として考え、歴史上の人物が様々な場所で重要な行為をした場合、我々はコンテンツとして歴史を考えられる。

⑤日本史の最も有名な出来事は、テレビドラマから漫画まで様々なメディア形式を通して繰り返し描かれており、そして日本の遺産地への訪問はそれらの大衆文化における歴史叙述に影響を受ける。

⑥我々はこの現象を「ヘリテージand/orコンテンツツーリズム」と呼んでいる。

Heritage and/or Contents Tourism

  • 出典
    • Contents tourism in Japan : pilgrimages to "sacred sites" of popular culture.Amherst, N.Y. : Cambria Press,2017,pp.32-33

【1】歴史遺産は如何にしてコンテンツツーリズムの対象となるか

①ヘリテージand/orコンテンツツーリズムは、列聖されたコンテンツツーリズムに似ている。そのコンテンツツーリズムは架空の物語ではなく、実際的な歴史的人物、物語、そして場所であるが。

②しかしながら、時として、歴史の虚構形式と神話のレベルは、「列聖されたコンテンツツーリズム」と「ヘリテージand/orコンテンツツーリズム」を実際に区別できなくさせる。特に12世紀における平家と源氏一族の間での戦いについての平家物語のような古い歴史のようなものについては。

③ 観光地化には遺産地への観光を誘発するような歴史的コンテンツと共鳴するセットを必要とする。

④歴史的なコンテンツの創出は、歴史家、小説家、芸術家そして映画作成者の仕事である。そしてそれはまた、政治目的でコンテンツを支持したい政府の介入を含む場合がある。

⑤観光地化は注目すべき出来事や個人に関係した記念の場所から始まる。

⑥最終的に、それらは一連のヘリテージツーリズムの資源に発達する。

⑦コンテンツツーリズムは以下の時、発生する。どんな時かというと、歴史が大衆文化の作品において語り直され、そして遺産地への訪問が促進される時に発生する。

⑧列聖されたコンテンツツーリズムと同様に、遺産地には助成金が支払われる場合がある。なぜならば、それらの価値は、財政上の収益を生み出す能力を超えるからである。

【2】大河ドラマ

①事例には日本の主要な歴史ドラマに描かれた歴史上の人物に関連する場所への観光も含まれている。その主要な歴史ドラマとは、特に、11世紀から19世紀の武士の時代の間の大河ドラマである。

西郷隆盛の事例はこの章で取り上げられており、坂本龍馬の事例は第2章で議論される。