漫画原作版『恋する小惑星』第3巻内容まとめ

第3巻はあおの引っ越し問題が解決され、先輩方が卒業し、新入部員がやってきて、きらぼしチャレンジに挑戦するという内容の濃い作品となっています。恋アスの原型となった読み切り作品2話も収録されていて、みらのキャラ造形の起源が読み取れます。

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pp.4-6 巻頭カラー 桜井先輩の妹が姉を想う気持ちについて

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大学に推薦合格した桜井先輩は早々にアパートの物件を探し始めます。ハードル上げすぎな桜井先輩に対して妹がそんな物件はないよとツッコむも、桜井先輩は地学部のみんなが来るかもしれないからと照れ照れします。微笑ましい!そんな姉を見た妹も地学部に対して興味津々となるのでした。数カ月後、一般入試を突破したモンロー先輩もアパートを探すのですが、なんと桜井先輩のあいむかいの物件になったぞ☆というオチがつきます。

pp.7-14 あおがついに転校問題を打ち明ける話

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初詣に行くも元気のないあお。治水跡の巡検でテンション上がっていた猪瀬さんが、シリアスシーンではあおの異変に真っ先に気付くというのも良いですよね。2巻の後半からずっと伏線張ってましたしね。あおが転校を打ち明けると猪瀬さんは地学部&新聞部で緊急会議を開きます。ここでもみらとあおの支えとなるのが桜井先輩なのです。みらがあおの異変に気付けなかったことで自滅しかけるとデコピンして励まし、あおが醸し出す自己否定ムーブには猪瀬さんとのコンビネーションで対処します。結局、大学受験を機にみらの姉が引っ越し部屋が空くので、そこに住んではどうか?という提案に乗ることになります。

pp.15-22 みらの家に居候することを家族に相談する回

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あおがみらの家に居候するとは言っても、ヨソサマのお宅に迷惑が掛かるため、はいそうですかというワケには行きません。物わかりの良いあおは親の事情を察し諦めかけますが、奮起して親へ説得を試みます。普段従順なあおが夢の為に自分の我儘を言う姿は親の心を打ちます。また、あおの悩みに1ミリも気づかず能天気に過ごしてしまったことを後悔していたみらと、親友に悩みを相談せずに一人で思い悩んでいたことを反省したあおは、お互いの友情を深めたのでした。他方でみらの姉のことが好きだったパン屋のすずちゃんは、みさ姉が受験や進学のことを自分には何も教えてくれなかった悲しみを抱くことになります。

pp.23-30 桜井先輩とすずちゃんのバレンタイン

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みさねえに蔑ろにされているのではないかと悩むすずの下へアプリのメッセージが届きます。送信者はなんと桜井先輩!!バレンタインのチョコ作りを指導して欲しいというのです。嬉し恥ずかし桜井先輩は、すずにからかわれながらもチョコを作り上げていきます。桜井先輩の個性あふれる表情を是非ご堪能ください。そして桜井先輩は洞察力が高く、すずが普段はわざとお調子者であるフリをしていることに気付いています。すずがすぐにおふざけに走るのは、ガチ百合属性であることをドン引きされないようにするため。すずはガチ百合であることを冗談めかして誤魔化してきたのです。桜井先輩はそんなすずの「お調子者」が演技だと見抜き、それを指摘するのです。桜井先輩の何気ない一言に励まされたすずはみさ姉に思いを告げに行くのでした。

pp.31-38 卒業式と過去回想(地学部合併直前)

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貴重なモンロー先輩回。地学部合併前、3年生同士ではあるものの桜井先輩とモンロー先輩は仲があまり良くなかったことが明らかになります。桜井先輩が地質に対して熱心に取り組んでいるのに対し、モンロー先輩はあくまでも部活など自分のステップのための手段に過ぎなかったのです。それゆえ桜井先輩にはモンロー先輩の打算が透けて見えてしまっており、理解し合えなかったのでした。(このことを踏まえると大学の推薦に桜井先輩が受かってモンロー先輩が落ちたのも頷けますね。推薦はペーパーテストでは測れない力を持つ子を取るためにやるのですから・・・)。そんな微妙な関係のまま、新学期を迎え、あおとみらを新入部員としてお迎えすることになります。その後、1年間の部活を通してみらたちとの活動により、地学部の結束は深まっていきます。モンロー先輩は自分が部活を楽しめていたかどうかについて思い悩むのですが、みらが作ってくれた思い出アルバムモンロー先輩専用ページを見て、自分がいかに笑っているシーンが多いかを目の当たりにし、ちゃんと楽しめてたんだなぁと感慨深くなったのでした。

pp.39-46 あおの引っ越し 百合モノ喧嘩回

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百合友情モノでは必ず用意されている喧嘩回。雨降って地固まるってやつ。そんなわけで今回はあおが引っ越して来るものの、価値観の相違から1日目にして喧嘩をしてしまいます。みらはパーソナルスペースが極めて狭くプライバシーの配慮が足りない為、あおを怒らせてしまうのでした。不安を感じるあおにみさ姉のアドバイスが光ります。生活環境の異なる他人が一つ屋根の下で暮らすのだから問題は起こって当然と説かれます。お互いがぶつかりあいながら妥協点を探っていくのが人間関係。ミサ姉の助言で目覚めたあおはみらと無事に仲直り。しっかし、この同居するがゆえのぶつかり合い・喧嘩って結婚するときの夫婦だよなぁと。

pp.47-54 来たれ新入部員!桜井先輩の妹と粋がるガチ勢七海悠

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新年度になり新入部員の確保に努めるみら達。その活動の成果もあり、新入部員が二人も集まります。一人目は桜井先輩の妹であるパワーストーン大好きっ子。もう一人が粋がるガチ勢七波悠であり、洪水被害にあったことから義務感を持って気象を研究したいと息巻きます。即落ち2コマ漫画やくっころされそうなキャラ設定!先輩を舐めていたら、みらの天文学の知識の深さにノックアウトされる展開ですね、分かります。部長の猪瀬さんはガチ勢の要望に応えられるか不安になってしまいますが、みらによる「よし、バーべキューしようぜ☆」→「なるほどそうか」が発動し、親睦を深めることになるのです。

pp.55-62 雨の日のBBQ大会

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新入部員を歓迎するためにBBQ大会。生憎の雨となりましたが、屋根付きの屋外施設に変更し、BBQパーティーを開催!ここではイキリ系気象学少女七海さんが地学部メンバーと交流し、自分が盲目的になっていることに気付くのです。七海さんは天災によって苦しい目にあってきており、その時の自己の無力さを噛みしめ歯がゆい思いをしてきました。それゆえ、少しでも役に立ちたいと気象学の力を欲したのでした。だからこそ、自分の熱意が空回りし、周囲とのギャップを生んでしまっていたのです。そんな暴走気味の七海さんが地学部のメンバーから知識ではなく面白さを学ぶのです。七海さんは単なるイキリとは違い、純粋に地学を楽しむ心を持っていました。雨が上がって環水平アークが出来るとキャッキャとはしゃぎます。七海さんの一連の流れを見ていた顧問教員は、勉強に突っ走るだけでなく、面白いと思える気持ちを大切にせよとの助言を送るのでした。

pp.63-72 きらぼしチャレンジ(1)悲劇!ミラだけ選考通過

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いよいよここからきらぼしチャレンジ編が始まります。そもそもこの物語の目的はみらとあおが小惑星を見つけることでした。ついにその夢を叶える一歩を踏み出すのです。今回はみらの有能っぷりが明らかになる回でした。これまで新入部員の七海はみらのことを小馬鹿にしていたのですが、みらの小惑星を見つけるために身につけた知識に脱帽していくことになります。そして選考会では、みらだけが倍率の高い代表に選ばれることとなります。選ばれたのが一人であったため、ショックを受けるみらとあおでしたが、桜井先輩の妹のファインプレーが炸裂します。姉に電話をかけ、これまでのように発破をかけてもらうのでした。桜井先輩の妹の石占いによる励ましもあり、あおは気持ちを切り替えます。いつまでもメソメソしているみらを立ち直らせ、打開策を講じるのでした。

pp.73-82 きらぼしチャレンジ(2)石垣島天文台!むりかぶし望遠鏡

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顧問教員に引率され沖縄へ旅立つみら。しかしそこへあおが駆けつけ「来ちゃった☆」をかまします。迷惑をかけないから見学だけでもできないか交渉するとフンフンするあおですが、バッチリ迷惑掛かってます。それでも顧問教員は「若いねぇ」ですませ、あおのために骨を折ってくれるのです。ラッキーなことに顧問教員はきらぼしチャレンジの過去の参加者だったのでコネがあり、主催者に話をつけてくれます。あおの根性は認められ、見学者としての参加が認められました。きらぼしチャレンジでは光学班と電波班に分かれて小惑星の発見を目指します。電波班ではVERA石垣島観測局が登場し、メーザー天体の観測による銀河系の立体地図作りが紹介されます。みらとあおは石垣島天文台の光学班に所属し、可視光と赤外線の観測による小惑星の探索を目指すことになります。ゲストキャラのともりん・マッキーを加え観測開始!

pp.83-90 きらぼしチャレンジ(3)天体観測!見つけろ小惑星

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ついに石垣島天文台での天体観測が始まり始まり。小惑星帯(アステロイドベルト)にある衝の位置を観測し、6分露出による写真撮影で小惑星の動きを観測していきます。既知の小惑星の観測でも実際に星の動きが分かると感動モノです。観測を続けるみらたちでしたが、生憎天候が崩れてしまいます。そのような中で晴れを待つために雑談タイム。かつてきらぼしチャレンジに参加した顧問教員の過去話や、ゲストキャラともりんとマッキーの動機などが語られます。いやホントにこの作品要所要所で顧問教員が光るので、是非1話くらい顧問教員回をやって欲しいですね!

pp.91-100 きらぼしチャレンジ(4)小惑星探索を通してみらが自分の適性に気付く話

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いよいよきらぼしチャレンジ最後の夜。幼少期からの夢であった小惑星の新発見ができるかどうかの瀬戸際です。最後まで諦めずに粘り続けるのですが、結局、目を付けた小惑星は既知惑星でした。それでも自分たちの手が小惑星に届いたことを実感したみらにとっては実り多き体験となりました。最後は調査の発表や地域の祭りのボランティアをこなし、打ち上げとなります→きららジャンプ。今回の体験を通して、みらは人と人の繋がりが大きな成果を生む可能性に感動し、それを宇宙に見立てるのです。「皆それぞれ好きなものや得意なもの その人の「世界」をもってる ひとりでいたら世界はひとつだけど それがもしたくさんつながったら 可能性がどんどん広がって… 大きくて未知数でー宇宙みたい……」。こうしてみらは「人と人とを繋げる仕事」(コネクト・人材コンサル・人材コーディネーター業)に自分の適性を見出すのでした。

pp.102-110 織姫ナンバー2(1)タイトルは地学同好会の副部長になった織姫さんという意味

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恋アスの元ネタとなった話で初めて雑誌に掲載された作品とのこと。読み切り全2話。何でもこなせるハイスペックな織姫さんが全ての部活を体験入部した際、最後に残ったのが地学同好会でした。早速仮入部に行くのですが、部室にたどり着いた瞬間、同好会は空中分解し、部員が1人となってしまったところでした。オカルト風味の漂うイカれた部室でしたが、活動内容はまさかのガチ系、学術系。天体観測とその記録、および季刊誌の発行でした。これに惹かれた織姫さんは地学同好会に入部することに決定したのです。

pp.111-118 織姫ナンバー2(2)恋アスのみらの適性は、織姫ナンバー2の織姫さんと一緒でしたというオチ

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アニメとタイアップするため新刊を2月末に出さねばならず単行本の水増しの為に読み切り作品を収録したと思っていた時期が私にもありました。しかし織姫ナンバー2を収録したのはきちんと意味がありました。『恋アス』のみらが、きらぼしチャレンジを通して辿り着いた自分の将来の具体的な目標(適性・アイデンティティ・自分のやりたいこと)が、織姫ナンバー2の主人公織姫さんと同じだったというオチになるのです。それは人と人とを繋ぐ人材コネクト!バラバラになってしまう人間を自分が繋ぎ止めて大きな一つの集団を作ることに存在意義を見出すのでした。恋アスでも織姫ナンバー2でも主人公によって表現される主題が一緒ということで、織姫ナンバー2は恋アスの起源とも言えるのでしょうね。

p.119 あとがき

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取材旅行記の旅する小惑星は消滅してしまった・・・アニメ化や出産でいそがしかったとのこと。アニメ化に際して子どもも見られる作品にしたいという話があったことが述べられています。確かにアニメ版はNHK教育で放送しても十分すぎるほどの出来映えとなっています。

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