雑録

【日本史】政治史人物整理 昭和戦前・戦中史 軍部の台頭

5.15事件における犬養毅政友会総裁の暗殺後、民政党に組閣の命は下らず、海軍の斎藤実が挙国一致内閣を組織した。これにより衆議院の多数政党が内閣を組織する憲政の常道が崩れ、軍部の力が強まっていった。

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1.挙国一致とテロ

(1)斎藤実内閣(1932.5-1934.7) 海軍

  • ①組閣
  • ②経済
    • 高橋財政が続行。
      • 農山漁村経済更生運動など恐慌化の農村救済に業績を上げる!
      • 綿織物輸出がイギリスを抜いて1位(1933年には経済が恐慌以前の水準に回復)
      • ソーシャルダンピング(不況下の産業合理化で国際競争力を高め、低賃金労働者を生み出し、円安で輸出)
  • ③社会:ファッショ化の進展
  • 【補論】国家社会主義とは何か!?
  • ④外交
  • ⑤倒閣
    • 帝人事件(帝国人造絹糸会社の株式譲渡をめぐる疑獄事件)により退陣。

(2)岡田啓介内閣(1934.7-1936.3) 海軍

  • ①組閣
  • ②外交
    • 海軍強硬派によりロンドン海軍軍縮会議を脱退。陸軍は大陸で華北分離工作を行う。
  • ③内政
    • a.陸軍『国防の本義と其強化の提唱』…陸軍のパンフレット。国防国家建設のために、政治・経済・思想などあらゆるものを総力戦体制のために改造することを提唱。
    • b.天皇機関説問題と国体明徴声明
      • そもそも天皇機関説とは? 
        • 濃部達吉の学説。統治権の主体は法人としての国家であり、国家元首である天皇はその最高機関であって、憲法の条規に従って統治権を行使するというもの。国家統治の大権が天皇個人に属する絶対的な権利であることを否定するものであり、明治末期以来広く承認されていた。
      • 何が問題となったのか?
      • 国体明徴声明とは?
  • ④テロ

(3)広田弘毅内閣(1936.3-1937.2) 文官

  • ①組閣
  • ②軍事
    • a.二・二六事件の事後処理…陸軍幹部の更迭、事件首謀者の処罰などの大規模な粛軍→統制派の発言力強化
    • b.軍部大臣現役武官制復活 → 軍部の政治介入を許す(※軍部大臣現役武官制の倒閣機能については第二次西園寺公望内閣の2個師団増設問題における陸相上原勇作の帷幄上奏を参照)
    • c.「帝国国防方針」改訂…仮想敵国:米ソ英中。陸軍5個師団・海軍主力艦12隻、航空母艦12隻。
    • d.「国策の基準」決定…軍備増強と国家総動員体制の構築を目指す。
  • ③経済
    • 蔵相馬場鍈一が、高橋経済で否定されていた増税・公債増発による軍備拡張予算を実現。
  • ④外政
    • a.華北分離工作…北京周辺の華北5省を日本の勢力下に置く。
    • b.日独防共協定…ナチス=ドイツと提携し、ソ連を仮想敵国とする。

(4)林銑十郎内閣(1937.2-1937.6) 陸軍

2.日中戦争

(1)第一次近衛文麿内閣(1937.6-1939.1) 華族

  • ①組閣
  • ②対中関係…盧溝橋事件(37.7.7)→日中戦争勃発→南京攻略(37.12)→トラウトマン和平工作不調
    • 第一次近衛声明:38.1「国民政府を対手とせず」傀儡政権樹立に期待し戦争終結の道を閉ざす
    • 第二次近衛声明:38.11 「東亜新秩序」(日本中心の新秩序をアジアに樹立)=ワシントン体制打破
    • 第三次近衛声明:38.12 「近衛三原則」(善隣友好・共同防衛・経済提携)→国民政府投降派へ呼びかけ
  • ③対ソ関係
    • 日独伊三国防共協定成立(1937.11) → 張鼓峰事件で大敗(1938.7)
  • ④戦時体制
  • 思想統制
    • 矢内原事件(東大教授辞職)・人民戦線事件(左派弾圧)・河合事件(東大教授が休職処分)

(2)平沼騏一郎内閣(1939.1-1939.8) 文官

  • ①組閣
    • 極端な国家主義者。天皇や西園寺は危険視したが、高齢化した西園寺の影響力低下により組閣。
  • ②内政
    • 総動員体制推進 → 米穀配給統制法、国民徴用令
  • ③外交
    • ソ連との対決姿勢を示し、ドイツとの軍事同盟締結を目指すが・・・外交方針を見失う。
      • ノモンハン事件でソ連に大敗(39.5)→独ソ不可侵条約(39.8.23)→「欧州の天地は複雑怪奇」

(3)阿部信行内閣(1939.8-1940.1) 陸軍

(4)米内光政内閣(1940.1-1940.7) 海軍

  • ①組閣
  • ②対中政策
  • ③近衛新体制運動開始
  • ④倒閣
    • ドイツのパリ占領により軍事同盟締結が待望されたが米内が拒否したため、陸軍は畑俊六を辞任させ、後継陸相を出さず内閣を総辞職へ追い込む(軍部大臣現役武官制の倒閣機能)。