雑録

2020年3月発売新作ノベルゲームは何を買ったらいいですか!?

2020年3月新作は、著名な原画師「カントク」先生の原画ゲーが一番人気。二番手としてカワイイ二次キャラなのに企画モノのネタに走りながらもきちんとした読み物に仕上げて来るHulotteの新作が続きます。そして市場に作品を供給しまくる戯画は、ついに懐古に走り出し、ゼロ年代20周年ブームを利用した過去作の掘り起こしと、潰れてもいない他社作品のリメイクを2本同時にリリースします。残りはゲーム性重視のninetailのRPGモノ、属性に特化した諸作品、そしてクラウドファンディングを利用した同人ゲーの商業化作品が見られます。

個人的にはシナリオ重視層にはHulotteが安パイかという予感。精神的に大丈夫であり寝取られ耐性があるなら『火箭 ゆるすまぢ! 』もよく出来ていると思います。

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【1】原画師「カントク」先生の原画ゲー

『神様のような君へ』 (CUBE)

3月新作の中では一番人気を誇っていますが、(体験版の時点では)シナリオは微妙でありカントク先生の原画目的であるキャラゲー的側面が強いです。メインヒロインはヒューマノイド一択であり、タイトルの「神様のような」というのは主人公の理想の女性像を示しています。と、いうのも本作の主人公はスーパーハカーであり、世界最大級のAIに不正アクセスした際に好みのタイプの女性を要望します。しかしそんな女は存在しなかったので、主人公はサクッと撤退したのですが・・・なんと!このAIによって、主人公のことを無条件に愛する、主人公の要求した性癖を何でも叶える、主人公にとって完璧なヒューマノイドが製造され、主人公の下に押しかけて来るのです。好感度蓄積を経ない状態での最初から好感度マックスのご都合主義ロボットを見て主人公は素直にその状況を受け入れられません。それゆえ、ヒューマノイドが主人公を攻略するために頑張るというその努力の姿を楽しむのが本作の楽しみの一つとなっています。一応攻略できるヒロインはたくさんおり、ヒューマノイド以外にもメインとして「探偵」と「バーチャルアイドルの中のヒト」がおり、その3人に加えてサブキャラ3人も用意されています。どーせカントク先生の原画ゲーでしょ?という前評判をシナリオ担当陣がひっくり返せるかに注目が集まります。

 

【2】企画モノを読み物に昇華してくるHulotteの新作!

『俺の姿が、透明に!? 不可視の薬と数奇な運命』 (Hulotte)

毎回企画モノによくある題材をモチーフに単なる抜きゲーではなく読み物としての面白さに仕上げてくるメーカーです。前作は時止め(時間停止)でしたが、今回は透明人間モノ。おちゃらけた何も考えていないナンパ師系の主人公が透明人間になれる薬を使って悪戯し放題なノリなのですが、シナリオの端々から伏線が感じられます。物語の原動力となっているのが、なぜ主人公がおチャラけた性格を演じているのかということ。主人公がヒロインのために作られたキャラクターを演じるという手法は古来よりよくあり、シュタゲのオカリンが祖母を亡くしたまゆしぃのために中二病を演じている事例などが有名ですが、本作も主人公の性格設定は演技なのです。どううやら親戚の妹的ポジションのヒロインが河川で事故か何かにあったらしく、それが主人公の現在の性格に大きな変化をもたらした要因となっているみたい。果たして主人公は不可視の薬によってヒロインたちの力になることで自己のトラウマから解放されるのでしょうか!?

【3】懐古に走る戯画

コンスタントに作品を供給し続ける戯画が懐古に走り始めました。戯画といえば、丸戸作品・バルド系・キス系と主に3分野で有名でしたが、近年では『アオナツライン』が話題になったものの、キラーコンテンツを生み出しているとは言い難い状況でした。そのような中で、新作を生み出すのではなくキスシリーズのスピンオフが2作品見られましたが、ついに過去作リサイクルの方針にも手を出す様です。近年は20周年ブームであり、インターネット普及期に土台を築いた諸作品の見直しが進んでいまのでその波に乗ったとも考えられます。

3-a)『ジンキ・リザレクション』 (戯画)

一つ目がジンキシリーズの活用で漫画原作をエロゲに組みなおしたジンキを使ってもう一儲けしようとする商業展開。過去作に一定のファンがいますし、設定やキャラを新規に創出しなくても良いので安パイですしね。しかし、今の時代にマップ移動を繰り返し行動選んでクリックするだけのシステムがどれだけウケるのだろうかと不安視されるところです。普通に読み物だけで良かったのではなかろうか。むしろウリとなるのは戦闘に敗北した際の凌辱パートであり、原作者の同人誌の没ネタ集では、通らなかった凌辱シーンの解説が行われるなど、そちらの方に力が入れられていることが窺われます。

 

3-b)『恋する乙女と守護の楯 Re:boot The “SHIELD-9”』 (戯画)

二つ目が恋盾のリメイク。しかも戯画の過去作ではなく、AXLの旧作のリメイクです。私はシナリオを楽しめればそれで良いという考えなので業界の人流には詳しくないのですが、一応は潰れていないとされるAXLの作品を戯画がリメイクするってちょっとキナ臭く感じてしまいますね。シナリオの内容としてはゼロ年代後期に流行った女装主人公のお嬢様学園モノ。2004年のマリみてアニメ化ブームにより百合系お嬢様学園が流行り、さらにそこに女装主人公が潜入するという流れを『おとボク』が作り出し、メーカーensembleが執拗にお嬢様学園モノを量産しまくったという歴史を有しています。女装主人公の女子校潜入モノのパターンとしてはヒロイン達よりも女装主人公の方がカワイイの法則というものがあり、本作も「山田妙子」の活躍を眺めることが主眼となっています。

 

【4】ゲーム性重視

『創神のアルスマグナ』 (ninetail)

割と王道的なRPGをメインとするninetailの作品。今回も正・邪2ルートあるようです。このメーカーはADVパートとRPGパートの組み合わせが結構よくて、これまでの作品でもそれなりの評価を残してきました。かつては原画が肉まんじゅうと揶揄されていましたが、近年は立ち絵やCGにも力が入れられるようになっています。本作は先にADVパートの体験版が出されてから数カ月、幾たびも延期が重ねられようやく発売となりました。それはめでたいことなのですが、やはりユーザーとしては、このメーカーに期待するのはやはりRPGパートのゲーム性。しかし体験版の時点では、即座に飛びつくのは危険と感じられてしまうような出来具合です。RPGをたくさんやりたい!という人やメーカーの信者の人々は買ってもよいかと思われますが、評価待ちというのが正直なところ。

 

【5】属性特化型

5-a)『アイシング -love coating-』 (はちみつそふと) (2020-03-27)

2020年3月新作のピンヒロイン夫婦モノその1。フランチャイズの洋菓子店を舞台にしたパティシエカップルのイチャラブがメインであり、職場では上司・部下かつ師匠・弟子という二人が、私生活では夫婦として新婚家庭の新妻ライフを味わうことがテーマとなっています。シナリオの当面の目標としては、ハロウィンための新作のお菓子を考案すること。一人前のパティシエを目指すヒロインを導いてあげるのが上司かつ師匠でもある主人公の役割です。しかし主人公はヒロインに対して二つの点で引け目を感じています。それが本作のウリとも言えます。一つ目はヒロインの急成長に主人公が追い抜かれてしまうのでは?と危機感を抱き始めること。二つ目は主人公がヒロインを慮るあまりにイイタイコトを言えないことです。普段は優位な立場である主人公がこの二点に関しては危うくなるので、この問題をどのようにして解決していくかが、見どころとなるでしょう。

 

5-b)『火箭 ゆるすまぢ! そしらぬ笑顔と汚れた下着』 (Hending) (2020-03-27)

2020年3月新作のピンヒロイン夫婦モノその2。こちらは寝取られをテーマにしており浮気症の新妻に対して復讐をすることが主題となっています。公式webで気分が悪くなると注意書きされているとおり、妻が浮気に走っていく様子が臨場感たっぷりに描かれており破壊力抜群です。結婚することに絶望感を抱きますし、女性不信になることも請け合いです。不貞な女にひっかかった男の末路っぷりがまざまざと描き出されています。主人公は大学のサークル時代に作ったゲームがバズるのですが、これが運の尽き始め。主人公に言い寄ってきた現在の妻は主人公その人が好きなのではなく、地位や名声や成功に惹かれたのかもしれません。主人公は若くて美しい、その豊満な身体によって落とされてしまい、想像妊娠により籍まで入れられてしまうのです。お嬢様育ちのヒロインは、性欲が強く承認欲求のカタマリで金銭感覚も狂っていました。衝突を避けた主人公が家に入れるカネを減らしていくと、妻は働きに出るようになり、そこで浮気を繰り返していくようになるのです。体験版ではこの寝取られていく絶望感を味わうことができます。作品のコンセプトはこの妻に「ざまぁw」することらしいのですが、どのように復讐するのかがとても気になりますね。精神衛生上よくはありませんが続きが気になります。

 

5-c)『あまママほりっく』 (ましゅまろそふと) (2020-03-27)

バブミ特化型保母さんゲーです。父親の再婚相手を寝取ってしまう形になるのですが、平然とスルーされています。主人公は幼少期に母親を亡くし、大学教授の父親の為に家庭を切り盛りしてきました。現在は保育士を目指して学校に通いながら、実習とバイトを兼ねて保育園で働いています。父親の再婚相手はその保育園の保母さんだった!という展開。年の差結婚。ヒロインの保母さんは『風の谷のナウシカ』に影響された為、虫が大好きで、昆虫学者でもある主人公の父親と気が合ったとのこと。こうして義母となった保母さんは、これまで母親がいなかった主人公をひたすら甘やかそうとし、主人公もひたすら甘えていきます。バブバブしながら性教育と称してちんよしタイムとなります。またこの保母さんだけでなく、保母さんの妹やバイト先の園長とその娘なども登場し、合計で4種類のバブミを味わうことができます。

【6】クラウドファンディングによる同人ゲーの商業化

LOST:SMILE promises(LIFE0)

『セブンデイズ』で一定の評価を得たメーカーLIFE0の作品です。今回は同人時代のゲームを商業化しようとするもので、分割商法かつクラウドファンディングという手法がとられています。コロナショックを受けて後半のボイスが未収録にも関わらず発売日をずらせないと強行的に販売するそうな。肝心のシナリオについてですが、1人のヒロインのルートをすべてプレイできる丸ごと体験版が公開されています。沖縄を舞台にした泣きゲー的神話伝承モノとなっていますが、正直言って微妙。その理由は、どこかで見たことのあるようなゼロ年代泣きゲー的展開のオンパレードだからです。この展開どっかで見たことあるぅ~ってのが多いです。例えば体験版の美鈴√の「八百比丘尼」の「不老不死」をネタにして死生観を描くのもありがちなテーマだよなぁと。不老不死であるが故に仲良くなっても別れを繰り返すとかBBAでも愛せるかとか呪いが解けると老化するとか手垢に塗れすぎ。もしかすると一周回って現代のプレイヤーには新しいのかもしれない?あと折角沖縄を舞台にしており「南島恋愛ADV」を謳っているのに、沖縄らしさを活かせていないのも難点のように思えてしまいます。

 

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