『ゲーム(=エロゲー)みたいな、ステキな恋がしたいっ!体験版』 (裸足少女) (2022-02-25)の感想・レビュー

粗製濫造されるゲーム制作モノ。シナリオ・原画・彩色・企画の4ヒロインを攻略する。
主人公は学部3年で「やりがい」を求めながらも諾々とした日々を過ごしていた。
しかし突如姉のコネでゲーム制作会社のデバッカーのヘルプをすることになる。
修羅場の日々を乗り越えマスターアップを迎えるまでが共通ルート。
新作発売後に正式にバイトとして雇用されることになり各分野を選んで個別ルート。
一番好感が持てるのは彩色担当の炉利キャラ。制作パートもしっかり書けていたように感じる。

ゲーム制作モノは身内ネタを取材しやすいが、他作品との差別化は大変

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エロゲ業界は斜陽産業である!
  • 仕事には「やりがい」が無ければならない論者
    • 主人公は就活前夜の学部3年生。仕事に「やりがい」を求める余り将来を見通せずにいました。そんな中、姉の勤務先が人手不足ということでデバッカーのヘルプをすることになります。販売前の修羅場を体験した主人公くんは、職業に打ち込む人々の熱意を目の当たりにするのです。それはまさに仕事を理想を持ち「やりがい」を求めていた主人公くんにとって渡りに船というもの。こうして主人公くんは業界に身を投じることになったのでした。

  • 攻略ヒロイン雑感
    • 攻略ヒロインは、それぞれ担当ごとに属性が振られており、シナリオ・原画・彩色・企画の4人から選択できます。シナリオは奇乳の義姉、原画は英国出身ヲタク、彩色は同人ゲー出身の合法炉利、企画は社長系スーツヒロイン。本作は抜きゲー路線であるためゲーム制作描写との配分において匙加減が求められています。詳述しすぎれば冗長となるし、薄っぺらければ設定倒れになってしまいます。
    • 義姉ルートでは碌に指導を受けないままイキナリ三題噺を書かされ、それにも関わらず主人公くんは意味不明に天狗となり、おっとり系義姉にガチ説教を食らうという展開が待っています。しかもその後特にシナリオ技法に関する描写もないまま主人公くんはメキメキと才能を伸ばしイキナリフルプラ作品の1ヒロインを担当することになります。原画ルートでは主人公が過去に漫画を描いていたという裏設定がイキナリ明かされ突如才能が開花します。ここでの主人公くんは性格も豹変。イギリス人のヒロインに対してかなりの塩対応でスカした態度を取り続けます。さらにゲーム制作パートは(カキカキ)とかで済まされ原画作成に関してはちょっと挿入される程度。企画担当の社長ヒロインからは業界に対するライターの謎認識が語られます。偏見じゃね?そんなわけで4人中3ヒロインは正直言ってちょっと微妙。

  • 個人的には合法炉利先輩のルートが良かった
    • 読んでいて比較的良かったなと感じたのが、彩色担当の合法炉利。このヒロインのルートは他の3ヒロインに比べてゲーム制作パートがしっかりしています。彩色の塗り担当にスポットライトが当たるのが珍しいだけかもしれませんが、塗りのイロハを割と丁寧に描写してくれます。特に複数原画の場合、作品としての統一感を持たせるためには塗りの役割が大きい所があるよね。キャラデザ違っても塗りが同じだとあまり違和感も抱かないし。またこの合法炉利は同人ゲー業界出身ということもあり快活で姉御肌の要素もあり、会話していて楽しいし、そこからデレ化し恥じらう姿もグッときます。キャラ設定として家族がヲタではなく一般人であり話題が合わず、語れる相手を求めているという伏線もあって共感しやすいのではないでしょうか。個人的に4ヒロインの中で一番好きなルートでした。
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彩色の塗り担当は確かに珍しいかも
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家族が一般人だとヲタとしては引け目を感じるよね
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合法炉利先輩がデレ化する場面はグッとくる展開

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