2020-06-14 戦後の朝鮮半島 受験世界史 戦後史 1.朝鮮半島南北分立 2.朝鮮戦争 3.北朝鮮情勢 4.韓国情勢 (1)開発独裁 (2)民主化への道 1.朝鮮半島南北分立 1943年 カイロ会談 → 戦後の朝鮮の独立が承認される。 1945年 8月…米ソによる南北分割占領(北緯38度線) 9月…建国準備委員会が李承晩を主席とし朝鮮人民共和国成立→米国占領軍に圧迫され解散 1948年 8月…大韓民国:朝鮮南部。首都はソウルで初代大統領は李承晩(イスンマン) 9月…朝鮮民主主義人民共和国:朝鮮北部。首都はピョンヤンで初代首相は金日成(キムイルソン) 2.朝鮮戦争 ①北朝鮮の侵攻 1950年6月25日、北朝鮮が南北統一を目指し北緯38度線を越え侵攻。半島南端の釜山地区に迫る。 ②国連軍の派遣 国連安保理は北朝鮮の行動を侵略行為と認め、米軍主体の国連軍を派遣。 ※ソ連は中国代表権問題で理事会をボイコットしており拒否権を行使できなかった。 1950年9月仁川に国連軍上陸。中国国境の鴨緑江まで進出し武力による朝鮮半島統一を目論む。 ③中国人民義勇軍の派兵 1950年10月、中国は自国の安全保障の危機とし「抗米援朝」の人民義勇軍を派兵。国連軍を押し返す。 ④休戦協定までのみちのり a)マッカーサーの解任…1951年4月。戦局打開のため、核兵器の使用と中国本土攻撃にこだわったため、トルーマン大統領により国連軍最高司令官を解任された。 b)米ソ指導者の交代…1952年11月朝鮮戦争の早期解決を公約にアイゼンハウアーがアメリカ大統領に当選し、1953年3月にはスターリンが死去しフルシチョフが跡を継いだ。米ソ指導者の交代により戦争に転機がもたらされる。 c)朝鮮休戦協定…1953年7月成立。北緯38度線上にある板門店で会談が行われた。南北朝鮮の分断は北緯38度線で固定化。南北朝鮮は東西対立の最前線として常に臨戦態勢を強いられ、双方で独裁的な体制が作られる原因となる。 3.北朝鮮情勢 ①金日成政権(1948~1994) 主体(チュチェ)思想によって、政治における自立、経済における自主、国防における自衛を唱え、党と人民が一体化する体制を強化。 経済困難に直面し、韓ソ国境樹立、ソ連崩壊、中韓国交樹立という国際状況の中で孤立化。 →日本との国交交渉の開始(1990年9月)、北東部に自由経済貿易地帯を設置して対外経済開放(91年)、韓国と南北朝鮮国連同時加盟(91年) ②金正日政権(1997~2011) 南北朝鮮首脳会談(2000)…韓国の金大中が朝鮮に対する「太陽政策」を展開し、南北首脳会談が平壌で実現した。南北共同宣言が出され、南北統一・人道問題・経済協力などの前進がうたわれた。 日朝首脳会談(2002・2004)…小泉-金正日首脳会談。北朝鮮は日本人拉致を公式に認め、一部の被害者の帰国が実現した。 4.韓国情勢 (1)開発独裁 ①李承晩政権(1948~60) 反共イデオロギーと国民の反日意識を利用して独裁体制を築く。 アメリカの経済、軍事援助により成り立っていたが、農業と零細企業を圧迫し政府と結びついた財閥系企業だけが優遇される。50年代末にアメリカの援助が削減されて不況となる。 60年 四月革命勃発。 民主化・統一・経済的自由が求められ李承晩は失脚。 ②大韓民国軍部クーデタ(1961) 朴正煕を中心とする軍部若手将校がクーデタを起こし政権掌握。63年に民政に移行。 ③朴正煕政権(1963~79) 国内…強権体制を維持。 対外 対米依存関係;ヴェトナム戦争に派兵 対日関係改善;日韓基本条約(1965)…日本と韓国の国交正常化のための条約。1910年の韓国併合に関する条約を無効とし、韓国政府を朝鮮半島唯一の政権と認定。日本から無償3億ドル、有償2億ドルの経済援助を行うことも決められた。 政権末期…大量に流入する日本資本で経済発展を図るが、政権の腐敗、貧富の差の拡大が進行し、79年に暗殺された。 (2)民主化への道 ①朴正煕暗殺(1979) 韓国で反政府デモが朴正煕独裁を揺るがす中、中央情報部長が朴正煕を射殺、政権奪取を企てたが逮捕された。 ②全斗煥政権(1980~88) 光州事件…朴正煕暗殺後、全斗煥が実権を掌握し80年5月に非常戒厳令を出すと、民主化運動を起こされたが武力でねじ伏せた。 84年に訪日して日韓関係の強化を図り、86年には国際経済環境が好転して韓国経済は順調に発展した。だが、同時に不正蓄財を暴露され88年に政権を追われた。 ③盧泰愚政権(1988~93) 1987年6月29日:民主化宣言→12月の選挙で大統領当選。88年に就任。韓国初の平和的政権交代。 1988 ソウルオリンピック 1990 韓ソ国交樹立…ソウルオリンピックを契機に北方外交を展開しゴルバチョフと会談。国交を樹立。 1991 南北朝鮮国連同時加盟…朝鮮は単位議席での加盟を主張していたが、金日成が国際的孤立の中で政策を転換し実現した。 1992 中韓国交樹立…北京で共同声明に調印し国交を樹立した。この結果、韓国は台湾と断交。 ④金泳三政権(1993~98) 32年ぶりの文民政権。 権力者の不正腐敗を摘発して国民の高い支持を獲得し、経済の活性化に取り組む。 光州事件に絡んで、全斗煥・盧泰愚の前大統領を処罰した。 ⑤金大中政権(1998~2003) 太陽政策…対北朝鮮友好政策。経済援助を中心とする柔軟な対応を行い、朝鮮問題の平和的な解決を図ろうとするもの。この政策の結果、2000年6月に南北両朝鮮首脳会談が実現した。 ⑥盧武鉉政権(2003~2008) 太陽政策を継承し、対北朝鮮融和政策を維持した。