環大西洋革命【2】 アメリカ独立革命

1.植民地の経済状態とイギリスへの不満

(1)英領北米13植民地における南北間の経済的差異

  • 北…タバコ・綿花等の奴隷制プランテーション。イギリスとの結びつきが強い
  • 南…商品作物がない・自営農民が多い。イギリス本国の重商主義政策に大きな不満

(2)七年戦争後の植民地政策の転換

七年戦争後…本国の財政難→七年戦争の軍事費を植民地へ負担させるため課税強化!

    • 北米植民地
      • フランスの脅威がなくなり本国を頼る必要がなくなる。
    • イギリス本国
      • 植民地を原料供給地・市場にとどめ、本国の産業を保護する。
  • ③本国の重商主義政策と植民地の対応
  • 1765 印紙法…あらゆる印刷物に印紙を貼ることを義務づける。
    • →(植民地)「代表無くして課税無し」の決議
  • 1767 タウンゼンド諸法…本国の財政収入を増やすために植民地における関税徴収を強化し、植民地に輸入される鉛・紙・ガラス・茶に輸入税を課する。
  • 1773 茶法…イギリス東インド会社が13植民地で販売する茶を免税にし、市場を独占させる。
  • 1774 高圧的諸法(例;ボストン港閉鎖)→第1回大陸会議開催in(フィラデルフィア)→通商断絶
  • ④1775 パトリック=ヘンリの演説 「我に自由を与えよ。然らずんば死を与えよ」

2.アメリカの独立

(1)戦争の経緯

  • ①戦争勃発
    • 1775.4 レキシントン=コンコードの戦い…独立戦争最初の戦い。コンコードに武器接収に向かう英軍をレキシントンに集結した植民地兵が迎え撃つ。
    • 1775.5 第2回大陸会議→ジョージ=ワシントンを最高司令官に任命。
  • ②戦争の正当化
    • ※独立賛成の愛国派は約三分の一。戦争を理論武装により正当化し世論を動かす必要があった!
    • 1776.1 トマス=ペイン『コモン=センス』
      • アメリカ植民地はイギリスから搾取されるのみで何の利益も得ておらず、「常識」的に考えれば独立して共和国を建設すべきだと訴え、独立をためらう植民地人の心を動かした。
    • 1776.7 独立宣言(トマス=ジェファソンら起草)
      • ⇒ロックの自然法思想に基づき基本的人権や革命権について述べた上で、ジョージ3世の暴政を弾劾し、最後に独立を宣言した。
  • ③戦争の国際化
    • 1777.10 サラトガの戦い…植民地軍がハドソン川でイギリス軍を破った戦い。
      • ☆この戦いを契機に形成を見ていたフランスが翌年同盟を結び、植民地側に立って参戦した。
    • a.直接参戦!
      • 1778 フランス参戦 ⇒参戦による戦費が財政を圧迫しフランス革命勃発の一因となる。
      • 1779 スペイン参戦 ⇒西国内の英領ジブラルタルを仏軍と共に攻撃し英軍の一部を引きつける。
      • 1780 オランダ参戦 
    • b.間接支援
    • c.義勇兵
  • ④植民地軍の勝利が確定!
    • 1781 ヨークタウンの戦い…ヴァージニアのヨークタウン港において米仏連合軍が陸と海から英軍を包囲し降伏させた。

(2)戦争の終結

(3)戦争後の状況

  • ①合衆国憲法の制定
    • a.連邦派と反連邦派の対立
      • 1777年の連合規約が中央政府の権限を制限 → 課税権・通商規制権・常備軍の保持を認めず。
      • 中央政府の権限強化を唱える連邦派と州権尊重を唱える反連邦派が対立。
        • 連邦派:ハミルトン…財務長官出身。通商や産業の保護育成を推進。
        • 反連邦派:ジェファソン…国務長官出身。人権宣言を起草した大奴隷プランター
    • b.両派の妥協…フィラデルフィア憲法制定議会で合衆国憲法が成立(1787年制定・翌年発行)
      • 13州の連邦制を採用し中央政府に課税権・通商規制権・常備軍の保持を認めるが、その反面徹底した三権分立で権力の集中を防ぐ。
  • ②ワシントンを初代大統領(任1789~97)に選出 → 新政府の誕生!

(4)アメリカ独立戦争の歴史的意義

  • ①意義:残存する領主制などの封建的要素を一掃した点で市民革命の一種。フランス革命に大きな思想的影響。
  • ②限界:白人の入植者たちが解放されたに過ぎず、黒人奴隷や先住民については殆ど改善されず。

(5)環大西洋革命