雑録

まいてつ Last Run!!「日々姫アフター」の感想・レビュー

富裕階層向け超高級食堂車を熊本県人吉市から大分まで走らせる話。
気動車内に調理スペースが無い問題を駅から地元特産料理を搬入するという形式で解決。
姉の真闇と実家の酒屋の従業員長から認められて日々姫は承認欲求を満たす。
ご都合主義とさすおに展開が強いので読む際には以下の3点には特に注意が必要。
1.市議会や行政などについては気にし出すとキリが無いので割り切った方がよい。
2.レイルロオドみくろが姉へのコンプレックスを表現するための手段に堕する。
3.一番重要な筈の高級食堂車のレイルロオドには立ち絵どころか台詞すら無い。
(肥薩おれんじ鉄道かつアメリカ製ということだけどまさかオリヴィじゃないよね?)

概要

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  • シナリオの大まかな流れ
    • 日々姫シナリオは本編でも色々とツッコミどころ満載であり、被選挙権の問題や、福祉と厚生を無視した新自由主義的政策を唱えながら縁故優先に根差した利益誘導スタイルを取ることが、プレイヤーの間では問題視されていました。アフターも市議会での質疑応答から始まりますが、政治と行政についてはそれらを描く事が主眼ではないのでスルー推奨です。とりあえず日々姫には富裕階層向けの超高級食堂車を開発することが求められていることが分かればよろしい。利益とか採算とか集客とか観光政策とか諸々はひとまず脇に置いておきましょう。で、日々姫はアイディアが枯渇したので、由布院など他市の観光政策を学ぶことを口実に遊びに行きます。遊ぶのもインスピレーションを研ぎ澄ますための仕事なのです。日々姫の食堂車開発おける課題は、スペースの無い気動車内で如何にして調理スペースを確保するかでした。この問題の解決の糸口を得る為、体験整備観光とか喫茶店経営改善とか色々なイベントをこなしていきます。
    • で、日々姫の1回目のアイディアは失敗。敗因は鉄道沿線の事情を考慮せず食堂車で提供する料理を人吉市の食材で固めたからでした。真闇お姉ちゃんからダメ出しをされて、自分たちで考え、ようやくそのことに気付きます。最終的に通った案は、朝食・昼食・ティータイム・ディナーとそれぞれ沿線の駅で地元の特産料理を用意しておき、停車中にそれを運び込むだけにするというもの。こうすれば各地域の名産品が味わえる上、車両内の調理スペースが狭くともよく問題解決。「とれたてを、車内にインする食堂」で「とれいん食堂」。ご都合主義的さすおに展開が激しいですが、富裕階層の方々からも高評価を頂きます。日々姫が認められたくてしょうがなかった真闇お姉ちゃんと実家の酒屋の従業員長にも認めて頂きハッピーエンドを迎えたのでした。最後は二人の結婚式で幕を閉じます。(ここでもハチロクは未練を引き摺っていることが殊更描かれています)

 
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  • ハチロクの妹分「みくろ」にの存在意義ついて
    • 日々姫アフターのテーマの一つとして「姉へのコンプレックス」問題が用意されています。日々姫の真闇お姉ちゃんに対するものがそれにあたるのですが、その表現手段の一つとしてハチロクの妹分であるレイルロオド「みくろ」が登場します。みくろが抱えるハチロクへのコンプレックスを日々姫と真闇のものにダブらせることにより相乗効果を生み出そうとする狙いがあったのだと思われます。
    • みくろの機関車はボイラーの故障で動かなくなり大牟田の動物園に静態保存されており、みくろ自身は動物園での労働に従事しているという設定です。そして本作では鉄道関連産業が衰退しているので故障の際には既存の機関車からの部品奪取が必要となるのですが、レイルロオドもまた同様であり、みくろは隻眼・隻腕状態で義眼と義手をつけているという痛ましい状況なのでした。みくろは動物園に展示されている自己の機関車を何とか残したいと活動を始めるのですが・・・結論だけ言うとシナリオ全体通して「ほぼ」進展なし。終局部で「体験型整備保存」がもうすぐはじまると触れられるだけです。
    • 一応、大牟田のみくろの狙いは次のような感じ。大牟田よりも由布院の方が有名なので、由布院に放置されている劣化が激しいD51をまず整備します。そうすれば成功事例として整備保存の波が大牟田にも及び、解決の糸口に繋がるでしょう・・・という算段をつけたのです。そんなわけで「体験型整備保存」を目的とした観光政策が提唱されたのでした。結局のところ、由布院に放置されていたD51は手放され、主人公たちの鉄道会社に引き取られてSLホテルとなりました。
    • 以上のように、ミクロは立ち絵まで用意されシナリオに度々絡んでいたにも関わらず、根本的な問題解決は放置された上、由布院D51譲渡によるSLホテルも駆け足のように感じられました。では一体なんのためにみくろが用意されたかというと、既に上述しましたが、ハチロクの妹分という立ち位置を利用して、日々姫の姉に対するコンプレックスを表現するための一つの手段とするためでした。それを踏まえると、折角のみくろが単なる手段に堕してしまった感があり、もうちょっとこう何とかならんかったものかと。大牟田全面カットなのもそれに拍車をかけています。せめてみくろの機関車の背景絵と大牟田の動物園の描写は入れて欲しかったものです・・・。

 
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  • 高級食堂車のレイルロオドってオリヴィじゃないよね?
    • 余談になりますが食堂車のレイルロオドの描写が無かったのも痛いと感じられます。日々姫アフターで何より重要だったのが、超高級食堂車の開発という目的でした。それにも関わらず、そのレイルロオドの立ち絵どころか台詞すらありません。一瞬、肥薩おれんじ鉄道でありアメリカ製のレイルロオドであることが触れられたので、オリヴィのことが頭によぎりましたが、オリヴィは寿命寸前で入換担当だったレイルロオドなので、よもや超高級食堂車の担当にはしないでしょう。え?オリヴィなの?

 
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