【日本史】奈良時代政治史 天皇と政権担当者の整理

• 概要
  • 文武(天武の孫)が死亡してしまったため、文武の子の聖武が即位するまで、文武の母(元明)と姉(元正)が中継ぎで天皇となる。聖武は長屋王の変・藤原四子病死・藤原広嗣の乱などの国内混乱を受けて都を転々としながら鎮護国家思想を取り入れる。聖武の娘の孝謙は、光明皇太后をバックにする藤原仲麻呂により淳仁に譲位。だが孝謙上皇は光明皇太后の死後、道鏡を寵愛して仲麻呂を排除し重祚する（称徳天皇）。道鏡は称徳の寵愛を背景に専横をふるうが、称徳の死後は左遷される。政治刷新のため藤原百川・永手は光仁(天智の孫)を擁立。光仁は桓武の改革の前の前駆的役割を担った。

【目次】

元明天皇(在位707～715)43代

• 血統
  • 天智天皇の第四皇女。母は蘇我倉山田石川麻呂の娘；姪娘(めいのいらつめ)。草壁皇子の妃。文武天皇の母。

• 藤原不比等政権(元明即位前～)
  • (701)、不比等、大納言となる。
  • 707、元明天皇が子の文武天皇の譲位の意思を受けて即位する。
  • 708、不比等、右大臣となる。
  • 710、平城京に遷都。元明、不比等の補佐を受けて律令政治を推進。
  • 714、文武天皇の子：首皇子を皇太子とする。
  • 715、元明天皇、娘の元正天皇に譲位。

元正天皇(在位715～724)44代

• 血統
  • 草壁皇子の皇女。母は元明天皇。文武天皇の実姉。

• 藤原不比等政権(～720)
  • 715、元明天皇が娘に譲位。元正天皇即位。
  • 718、養老律令の完成(施行は757年)
  • 720、藤原不比等没。

• 長屋王政権(720～)
  • 721、元明上皇没
  • 722、百万町歩開墾計画
  • 723、三世一身の法
  • 724.2、元正天皇譲位。文武天皇の皇太子：首皇子(聖武天皇)即位。

聖武天皇(在位724～749)45代

• 血統
  • 父は文武天皇、母は不比等の娘：宮子。不比等の娘：光明子を皇后とし、皇親立后の慣習を破る。

• 長屋王政権(～729)
  • 724.2、元正天皇譲位。甥の聖武天皇即位。
  • 724.4、蝦夷反乱、陸奥国に多賀城を設置する。
  • 727、渤海使、初来日。
  • 729.2、長屋王の変…藤原四子、策謀により長屋王を自害させる

• 藤原四子政権(729～737)
  • 729.8、光明子を皇后とする
  • 737、天然痘の流行により藤原四子死亡

• 橘諸兄政権(738～)
  • 738、玄昉・吉備真備を登用。藤原広嗣を大宰少弐に左遷。
  • 740.9～11、藤原広嗣の乱…大宰府に左遷された広嗣が玄昉・吉備真備の排除を求めて九州で大反乱を起こすが鎮圧される。
  • 740～745、国内政治が不安定になると聖武天皇は都を転々とする｛恭仁京(740.12)→紫香楽宮行幸(742～743)→難波京(744)→紫香楽宮(744)→平城京に戻る(745)｝
    • 743、橘諸兄は左大臣となるが、参議となった藤原仲麻呂が叔母光明皇后の信任を得て台頭し、橘諸兄の政治的地位は低下していく。
    • 743.5、墾田永年私財法
    • 743.10、大仏造立の詔
  • 748、元正上皇没
  • 749、聖武天皇譲位(孝謙天皇即位)

孝謙天皇(在位749～758)46代

• 血統
  • 聖武の皇女。母は不比等の娘：光明子。

• 橘諸兄政権(～756)
  • 749、聖武譲位、孝謙天皇即位。
  • 752、東大寺大仏の開眼供養
  • 755、橘諸兄、聖武上皇病床の際に酒席で不穏な言動があったと密告にあう。
  • 756、橘諸兄引退、聖武上皇没。

• 藤原仲麻呂政権(757～)
  • 757.5、仲麻呂、紫微内相(大臣待遇で軍事権を持つ)となる。養老律令施行
  • 757.7、橘奈良麻呂の変
  • 758.8、孝謙天皇譲位。淳仁天皇即位

淳仁天皇(在位758～764)47代

• 血統
  • 天武の孫。舎人親王第七子。母は当麻山背(たいまのやましろ)。

• 藤原仲麻呂政権(～764)
  • 758.8、孝謙天皇の譲位を受けて淳仁天皇が即位。仲麻呂、太保(右大臣)に任じられ恵美押勝の名を許される。官名を唐風に改める。
  • 760.1、恵美押勝、太師(太政大臣)に任じられる。
  • 760.6、光明皇太后没
  • 762、孝謙上皇、看病に功があったとして道鏡を寵愛するようになる。
  • 762、孝謙上皇、淳仁天皇を非難し、国政の大事を掌握する。
  • 764.9、恵美押勝の乱、孝謙上皇方が勝利し恵美押勝は近江で敗死。道鏡、大臣禅師となる。
  • 764.10、淳仁天皇、皇位を廃され淡路島に流される。孝謙重祚し称徳天皇として即位。

称徳天皇(孝謙重祚764～770)48代

• 孝謙上皇重祚
  • 淳仁と不和になり、その庇護者恵美押勝(仲麻呂)を近江で敗死させ、淳仁を廃して重祚。称徳天皇となる。

• 道鏡政権(764～770)
  • (762)、道鏡、孝謙上皇を看病して寵愛を得る
  • (763)、道鏡、少僧都となる
  • 764、道鏡、恵美押勝の乱の後に大臣禅師となる。
  • 764、孝謙上皇、淳仁天皇を廃して重祚。
  • 765、道鏡、太政大臣禅師となる。
  • 766、道鏡、法王となり身分は天皇に準じる。
  • 769、宇佐八幡宮神託事件…道鏡、宇佐八幡の神託を利用して称徳天皇から譲位を受けようとするが、和気清麻呂が道鏡即位に反する宇佐八幡の神託を報じ阻止する。和気清麻呂は大隅に配流となる(後、召喚)。
  • 770、称徳天皇没。道鏡は下野に配流。

光仁天皇(在位770～781)49代

• 血統
  • 天智の孫。770年、称徳没時に皇太子となり2カ月後に62歳で即位。子の桓武の改革の前駆的位置づけ。

• 藤原永手・百川らの政治
  • 770、藤原百川、藤原永手と共に光仁天皇を擁立。道鏡を左遷
  • 772、光仁天皇は、聖武の娘である井上内親王が皇后とされ、その子の他戸(おさべ)親王が皇太子になっていたが、両者とも廃される。
  • 773、藤原百川、光仁と高野新笠の子である山部親王を立太子する（のちの桓武天皇）。
  • 779、藤原百川没
  • 780、伊治呰麻呂の乱、多賀城陥落。
  • 781、光仁天皇、病気のため譲位。桓武天皇即位。