大学入学共通テスト「世界史B」(2021年1月16日実施) 解説

受験生の方々におかれましては、こんな所を見ていないで、ちゃんとした予備校のサイトを見ましょう。

  • はじめに
    • 私の世界史の授業では毎年恒例の行事として生徒にセンターの解説作りをやらせています。今年は各班ごとに問題を振り分け解説動画を撮影しそれを流してコメントで討議します。勿論生徒だけにやらせるわけにもいかないので教員も解説動画を作っておき後で公開します。そんなわけで大学入学共通テストの「世界史B」の解説を作りました(昨年度までの解説はコチラ)。授業後、しばらく経ったらもう一度問題を解かせて知識の定着を図っていきます。問題解く→解説作る→生徒動画撮影→動画流してコメントで討議→フィードバック→もう1度問題解く。大学入学共通テスト「世界史B」の解説作りを通したアクティブラーニングの実践です。

  • 従来のセンター世界史と共通テスト世界史の違い
    • 史料をもとにして、それがどのように解釈されて歴史が書かれるのかということを示そうとしている。
    • 資料読解が必要な設問が増えたが、逆に歴史知識が無くても解けるようになってしまった。
    • 単に空欄補充させるのではなく、空欄に該当する事項を分かっているという前提でそれに関する事項を問う2段階設問が登場。

  • 雑感
    • 世界史は史料に基づき世界を解釈するものであり、歴史教育は教科書を解説して用語を覚えさせるものではない。
      • 高校世界史は世界を捉える多様な解釈のうちの一つに過ぎない。しかし好き勝手に解釈していいのかと問われれば実はそうではなく、論証するための「根拠」が必要になる。その「根拠」が歴史においては「史料」であり、「史料」に基づいて歴史は叙述される。単なる一つの歴史を丸暗記させることが歴史教育なのではなく、どういった考えに基づいてその歴史が叙述されているのかを生徒自身が捉えられるようにすることが歴史教育である。以上のようなことを示そうとしているふうに感じられた。

【目次】

第1問 資料と世界史上の出来事との関係

A 『史記』に見える始皇帝死亡時の逸話

問1 【1】諸子百家
問2 【2】思想統制
問3 【3】リード文読解(司馬遷の経済観)
  • リード文に「司馬遷は自由な経済活動を重んじ」とあり、司馬遷により批判の対象となった考えられる政策を選ばせる問題
    • 選択肢が全て経済活動に関するものならまだしも経済政策に関する選択肢が②の平準法しかないのでこれを選べばよい。歴史知識が関係ない日本語の問題。

B マルク=ブロック『歴史のための弁明』

問4 【4】リード文読解(フランス革命における教会・亡命貴族・非亡命貴族の各所領の史料残存状況)
  • リード文読解
    • 史料は農村共同体のものよりも、旧領主層のものの方がよい。旧領主は教会・亡命貴族・非亡命貴族の3パターンある。そのうち史料の残存状況が良い順序は教会→亡命貴族→非亡命貴族という順番である。教会の場合は聖職者市民法により没収された史料が残っていることが期待でき、それを利用できる。亡命貴族の場合も同様に没収された史料が残っているが、破棄されてしまった場合がある。非亡命貴族の場合が一番やっかいで彼らは財産を奪われることはなかったので史料は個人保有されている。そのため個人所有の史料は利用し難い。以上を読解できれば良い。全てリード文に書いてあるので国語の問題である。
問5 【5】アンシャンレジーム下における貴族
  • 正文選択
    • ①誤文:アンシャンレジーム下では産業資本家は第三身分。第1身分が聖職者、第2身分が貴族、第3身分が平民。身分と階級を混同しないように。
    • ②誤文:征服された先住民がヘイロータイとされたのはスパルタ。商工業に従事する周辺民はペリオイコイと呼ばれた。
    • ③誤文:強制栽培制度は蘭領東インド。オランダはウィーン会議でケープ植民地を失った代償にネーデルラントを貰ったが1830年七月革命の余波でベルギーとして独立してしまったため打撃を受けたのでファン=デン=ボスがコーヒー・サトウキビなどの強制栽培制度を実施した。
    • ④正文:上記①参照。アンシャンレジーム下では貴族は第二身分。

第2問 世界史上の貨幣について

A 1750年~1821年のイギリスにおける金貨鋳造量の推移

問1 【6】1776年以前の出来事
  • グラフ読解&年代把握→グラフを見れば、金貨鋳造量が初めて500万ポンドに達するのは1776年だと分かる。1776年以前の出来事を選べばよい。
    • ①誤文:ラテンアメリカの独立は環大西洋革命の流れで起こる。ナポレオン軍の侵入で宗主国(スペイン・ポルトガル)が崩壊したことを契機とするので19世紀以降の出来事。
    • ②正答:茶法が制定されるのはイギリスがフランスとの植民地獲得競争に勝利し重商主義政策を強化したから。七年戦争からパリ条約の締結は「和む(1756)南無三(1763)」と覚える。受験世界史におけるパリ条約は3つあり、七年戦争(1763)、アメリカ独立戦争(1783)、クリミア戦争(1856)を覚える。よって、1776年以前の出来事は七年戦争終結(1763)からアメリカ独立(1783)までの間にある茶法(1773)と分かる。
    • ③誤文:ロシアの南下政策が始まるのは19世紀からなので誤文と分かる。
    • ④誤文:神聖同盟ウィーン体制なので19世紀と分かるので誤文。
問2 【7】フランス革命ナポレオン戦争期におけるイギリスの戦費確保
  • 金貨鋳造量と紙幣流通量のグラフを比較し、紙幣の大量発行と金貨鋳造量の抑制を結びつければよい
問3 【8】ヴィクトリア女王

B アジアの貨幣

問4 【9】16世紀における銀貿易による世界の一体化
  • 正文選択
    • ①誤文:中国の物品を諸国が求めたため、銀が大量に流入した。中国の銀流入はイギリスの自由貿易帝国主義まで続く。
    • ②誤文:地丁銀は清王朝なので16世紀ではない。清は課税基準を地銀と丁銀に置いていたが1711年を最後に以後の増加人丁への課税を廃止する盛世滋生人丁制を13年実施。この結果丁銀額が固定化したので地銀への繰り込みが可能となり、地丁銀制へと移行した。
    • ③正文:明後半から両税法に代わって実施された税制。土地を対象とする田賦や人丁を対象とする徭役などを一括して銀で納付させた。
    • ④誤文:アヘンの密貿易はイギリスの産業革命以後なので16世紀ではない。
問5 【10】半両銭と交鈔
  • 空欄補充
    • 半両銭は戦国「秦」から統一「秦」を経て前漢武帝期まで発行された「青銅」鋳造貨幣。
    • 交鈔は広義には宋・金・元・明の「紙幣」の総称。狭義では特に金・元の紙幣を交鈔という。元で主要通貨となったが銀の準備不足で暴落した。
問6 【11】ケマルの業績
  • 空欄補充+誤文選択(空欄に当てはまる人物をケマルと判断した上でその人物の業績を選ぶ)
    • 空欄補充:ケマルは1934年に大国民議会からアタテュルク(トルコ人の父)の称号を与えられた。よって空欄キの人物はケマル
    • ①正文:第一次世界大戦に敗戦した後ケマルは1920年4月にアンカラに大国民議会を開設したので正しい
    • ②正文:1920年8月、スルタン政府がセーヴル条約を甘受すると、ケマルは祖国解放戦争を起こしギリシア軍をアナトリアから放逐したので正しい。
    • ③正文:1922年11月にスルタン制を廃止したケマルは1923年7月のローザンヌ条約で主権を回復し、11月に共和国を樹立して大統領に就任。1924年にカリフ制を廃止した。
    • ④誤文:ケマルの文字改革ではアラビア文字を廃止してローマ字を導入した。

第3問 文学者やジャーナリストの作品

A 『デカメロン

問1 【12】ルネサンス文化
  • 作者名と文化背景の組み合わせ
    • 作者名の選択肢はペトラルカ・ボッカチオ・エラスムス。ペトラルカは理想の恋人ラウラへの思慕を抒情詩集『カンツォニエーレ』で歌った。『デカメロン』はボッカチオの作品でフィレンツェ市内の黒死病を避けた3人の男性と7人の女性が、各人1日1話、10日間で100の小話を語り合う形式で人間的欲望を記した。個人的には3日目第10話がおススメ。エラスムスは『愚神礼賛』で教会と聖職者の腐敗と堕落に鋭い批判を浴びせた。
    • 文化的特徴の選択肢は「ダーウィンの進化論」or「人文主義」。ルネサンスの基調となったのは知性と感性の調和する豊かなヒューマニティの追求なので選択肢Tが正解。ダーウィンの進化論は19世紀後半で、これがスペンサーの社会進化論につながり欧米列強の帝国主義支配を正当化した。
問2 【13】ペストとその影響
  • 病名
  • ペストの影響
    • X 誤文:リード文読解。問題文中にオリエントとフィレンツェの症状の違いが書かれているのでそれを参照する。
    • Y 正文:ペストによる人口減少により農民の地位が向上したため領主が直営地経営を放棄し定期借地化することになってしまった。生産物地代から貨幣地代へと変化し農民が生産物を市場で販売するようになったので農民の領主への隷属性を弱め荘園の解体を促した。
    • Z 誤文:ペストはアメリカではなく東洋に発生し、地中海からイタリア半島に上陸、フランスからイギリスに及んだと考えられている。
問3 【14】修道院・修道会

B 19世紀以降のロシアにおける革命運動の展開について

問4 【15】世界史における宗教と教育・政治との関係について
  • 誤文選択
    • ①正文:政教分離法は1905年のフランスで国家の宗教的中立を定めた法律。信教の自由の保障、1801年のコンコルダートの破棄、公共団体による宗教予算の廃止、教会財産の信徒会への無償譲渡などを内容とし、教会との積年の争いに共和派が勝利した。
    • ②正文:神学はキリスト教の真理を解明、弁証する学問。キリスト教が異端との対決の過程にその必要が生じ、アウグスティヌスが体系づけて中世にはトマス=アクィナスがスコラ哲学として大成した。中世では「哲学は神学の婢」といわれ哲学は神学に奉仕するものであttあ。
    • ③正文:マドラサイスラームの高等教育機関ウラマーを養成するイスラーム世界の教育制度の根幹で11世紀頃から各地に広まった。
    • ④誤文:科挙で問われるのは仏教ではなく儒教
問5 【16】ナロードニキ運動
  • 空欄補充とスローガン
    • 2020秋アニメのゴールデンカムイ樺太編でキロランケが語ってたやつだ。だが受験生はゴルカムなど見ない。農民の覚醒を促したのが革命家で抑制したのが官僚。官僚は農民政策・民族政策としてロシア正教を利用した。1873~74年にロシアの青年学生の多くが「ヴ・ナロード」を合言葉にして民衆啓蒙のために農村に入ったが、彼らは農民に受け入れられなかった。
問6 【17】アレクサンドル2世
  • 農奴解放令を行った君主とその君主の他の業績

C イギリス人作家ジョージ=オーウェル(1903~1950)

問7 【18】1950年以前の社会主義体制による抑圧
  • 正文選択(『1984年』はオーウェル晩年の作品とリード文にあるので作品が書かれた歴史的背景として1950年以前の社会主義体制による抑圧を選べばよい)
    • ①正答:スターリンは1930年代半ばに日独挟撃の恐怖のなかで大粛清を発動し、個人独裁に進んだ。
    • ②誤答:プロレタリア文化大革命は1966年から76年にかけて中国で展開された政治権力闘争。毛沢東が大躍進に失敗した結果、劉少奇らの実務型指導者が実権を握った。毛沢東は巻き返しを図るため「修正主義」「資本主義の復活」として1966年に文化大革命を発動し実権派から政治権力を取り戻そうとした。
    • ③誤答:開発独裁とは、戦後のアジアで生じた強権支配によって反対派の運動を抑圧して、工業化や近代化を強行しつつ、近隣の社会主義勢力に対抗する政権のこと。韓国において反共イデオロギー反日意識を利用して独裁体制を築いた李承晩、日韓基本条約により日本から無償3億ドル、有償2億ドルの経済援助を得て強権体制を維持し朴正煕、インドネシアにおいて9.30事件で実権を握り反共親米路線により経済発展を図ったスハルトなどがいる。
    • ④誤答:北朝鮮で最高指導者の地位が世襲されたのは金日成金正日。1994年に金日成が死去したのち、1997年に金正日朝鮮労働党総書記に、98年に新憲法のもとで改めて国防委員会委員長に就任した。
問8 【19】中国における歴史の改竄
  • 18世紀中国の図書編纂事業と民族政策
    • 中国の図書の選択肢は四庫全書(清)・永楽大典(明)・資治通鑑(宋)なので、四庫全書を選ぶ。歴史改竄からは清朝の民族政策として辮髪の強制を思い起こせば風俗強制だと分かる。

第4問 世界史上における国家・官僚の文書

A ベルリン条約

問1 【20】サン=ステファノ条約
  • リード文読解
    • まずリード文の条約が何条約かを判別する必要がある。ルーマニアの独立とあるのでサン=ステファノ条約かベルリン条約と分かる。で、設問中にリード文の条約は「ある戦争の結果として締結された条約を破棄して、新たに結ばれたもの」とあるのでベルリン条約と識別できる。設問の要求は戦争名と破棄された条約なので、露土戦争とサン=ステファノ条約の組み合わせが答えになる。
    • クリミア戦争後に結ばれた1856年のパリ条約ではトルコの領土保全黒海の中立が約束された。
問2 【21】ブルガリアの位置
  • 地図問題
    • サン=ステファノ条約ではブルガリア自治国(ロシアの保護国)となって領土が拡大されて南下政策が成功したが、ベルリン条約ではブルガリアの領土がもとどおり縮小されロシアの南下政策が挫折したことを思い返せば解ける。地中海に出られなくなっちゃたよ~とかいうやつ。
問3 【22】ベルリン条約締結後に起こった出来事

B パンダ外交

問4 【23】アメリカによる日本の占領・日ソ間の国交回復って小学校社会科の問題やんけ
  • 空欄補充
    • 日本を占領した連合国の中心はアメリカ。1956年に戦争終結と国交回復を宣言したのは日ソ共同宣言。
問5 【24】戦後東アジア国際関係史
問6 【25】1950年代の中国をめぐる国際環境

C 英領インドの統治

問7 【26】リード文読解(インド文化史・言語政策)
  • インド文化史
    • リード文に古代インドの文学作品とあるのでサンスクリット文学であるカーリダーサの『シャクンタラー』を選べばよろしい。『シャクンタラー』は山中に住む娘シャクンタラーが狩りに来た王子と恋愛妊娠出産し、のちに宮殿に行って王にその子を認知させるというもの。
    • ルバイヤート』はオマル=ハイヤームが余暇に詠んだイラン文学。合理主義的悲観論・刹那主義を強調し世界的に名高い。
  • 言語政策
    • リード文に書いてあるので日本語の問題。リード文7行目でアラビア語が推されているのでWは正しい。リード文13~15行目「すぐれたヨーロッパの図書館のたったひと棚分の書物が、インドやアラビアの言語で書かれたすべての文献に相当することを否定する人を、私は彼ら(※解説者註:東洋の諸言語にすぐれて堪能な人々)の中に一人として見出せませんでした」とあるので西洋の文献の優勢を否定しているものはいないためXは誤り。
問8 【27】リード文読解(インドにおける英語教育の導入)とイギリスの植民地政策
  • リード文読解(英語教育)
    • う 誤文:リード文の先生の発言の3つ目。英語はイギリス統治以前に用いられてはいないので誤り。
    • え 正文:リード文の先生の発言の4つ目。「植民地政府は英語も使えるインド人役人を必要としており」とあるので正しい。
  • イギリスの植民地政策
    • Y 正文:イギリスの分割統治政策はライヤットワーリー制とザミンダーリー制を押さえる。マドラス管区とボンベイ管区ではライヤットワーリー制が敷かれ農民に土地所有権を与え地租納入義務を与えたが、ベンガル、ビハール、オリッサなどでは領主層が保存され所領の土地所有権を認め、領主層に地租納入義務を負わせた。
    • Z 誤文:ベンガル分割令ヒンドゥー教徒イスラーム教徒の対立を煽るものであり仏教徒は関係ない。
問9 【28】ムガル帝国
  • 正文判定
    • ①誤文:タミル語南インドに分布するドラヴィダ諸語のひとつ。西暦紀元初頭には恋愛や武勇を主題としたサンガム文学が成立していたので誤り。
    • ②正文:ムガル帝国皇帝シャー=ジャハーンは愛する妃ムムターズ=マハルのための廟としてタージ=マハルを建てたので正しい。
    • ③誤文:ワヤン文化はジャワ地域のクディリ朝(928頃~1222)。独自のヒンドゥー=ジャワ文化が栄え、ワヤンと呼ばれる影絵芝居において『マハーバーラタ』をジャワ語に翻訳した。
    • ④誤文:ウルグ=ベクが天文台を作ったのはティムール朝。ウルグ=ベクはティムール帝国第4代君主でティムールの孫。学芸を奨励し、学院や天文台を建設したが、子のアブドゥル=ラティーフに背かれ殺害された。

第5問 旅と歴史

A ヨーロッパ

問1 【29】シチリア島
問2 【30】(第一次)英仏百年戦争
  • フランス史
    • あ 正文:1922年に対独制裁を唱えるポワンカレ内閣が成立し翌23年に賠償不払いを理由にフランスがベルギーと共にドイツのルール地方を占領し石炭を押収した。ドイツは生産の停止(労働者のストライキ)で抵抗するがハイパーインフレとなる。ドイツのシュトレーゼマン首相は抵抗を中止して生産を再開、レンテンマルクを発行してインフレを鎮静化させ、以後は外相となり協調外交を行った(賠償義務の履行を約束)。
    • い 誤文:1397年カルマル同盟によりデンマークと合併したのはスウェーデンノルウェー
問3 【31】ローマ帝国の拡大

B 近現代朝鮮半島

問4 【32】大院君
  • 人物
    • 西太后は中国清朝の人物なので大院君が入る。大院君は第26代高宗の生父で摂政として権勢を振るい、対外鎖国政策を強行した。
  • 文章
    • リード文読解。「洋夷が侵犯してくる時に、戦わないのは和であり、和を主張するのはすなわち売国奴である」とあるので、貿易統制ではなく徹底抗戦を選べばよい。
問5 【33】中国宗教史
  • 正文判定(李氏朝鮮が重んじた宗教を朱子学と分かったうえで正文判定する)
    • ①誤文:寇謙之道教の大成者。北魏のとき旧来の五斗米道を改革した。太武帝の尊信を受けて道教を国教とし、廃仏を行った。
    • ②正文:王守仁/王陽明陽明学の成立者。朱子学の客観的な性即理に対して、主観的な心即理の立場をとり、前者が理論に始終しがちなのに対して、その実践をあわせて主張した。
    • ③誤文:義浄は唐の仏僧。海路でインドにおもむき仏教を学んで帰国した。
    • ④誤文:王重陽は金の道士。道教の一派全真教の開祖。
問6 【34】19世紀朝鮮半島
  • 時系列整除
    • 壬午軍乱(1882年)
      • 開化政策へ不満を抱く旧式軍隊が反乱を起こすと、その混乱に乗じて大院君(攘夷・親清)が閔氏政権(開国・親日)にクーデタを起こす。清朝が介入して大院君のクーデタを鎮圧したので、閔氏政権は親清派に転換した。これにより開化派は事大党(親清)と独立党(親日)に分離!
    • 甲申政変(1884年)
      • ベトナムをめぐって清仏戦争勃発し清朝勢力の劣性が露呈。独立党(親日派)の金玉均は日本の武力でクーデタを起こし事大党(親清派)の閔氏政権を打倒する。閔氏政権はロシアと手を結ぼうとするがロシアの東アジア進出を危険視するイギリスは巨文島を占領して圧力をかけた。清朝は独立党のクーデタを鎮圧するとともに李鴻章がイギリスを調停。さらに清の援助で政権を回復した朝鮮に袁世凱が派遣され権限を振るった。
    • 甲午農民戦争(1894年)
      • 朝鮮南西部の全羅道で東学の信者が全琫準の指導で起こした反乱。朝鮮政府は清に鎮圧軍の派遣を要請。対抗して日本も出兵。日本は清朝に徹底鎮圧を提案するが拒否される。日清戦争の引き金となった。

参考 これまでのセンター世界史の解説はこちら!