雑録

ハジラブ Making Lovers「夜舟初穂」シナリオの感想・レビュー

母親の厭世観を払拭することを口実にして幼少期の初恋を叶えようとする黒髪巫女先輩の話。
自分の気持ちを伝えられず賢いからこそぶっ飛んだ不思議ちゃんになる姿はまさにSMEE!
初穂の場合はヒロイン視点回想がクリア後に一気に解放されるのだがまさにその視点は圧巻。
実に初穂が真っ当な人間でありその乙女心を拗らせたが故にSMEE化してしまうというギミック。
お互いにして欲しいことを告白する場面で初穂が性に走ってテンパる所はカミカゼエクスプローラーである。
最後はプロポーズされ浮かれた初穂だがそれは口実達成の手段であったことに気付き精神崩壊する。

夜舟初穂のキャラクター表現とフラグ生成過程

SMEEの伝統芸能

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  • SMEEなヒロインはテンパって主人公に接する時には面倒くさい不思議ちゃんになっちゃうの
    • 夜舟初穂はミステリアスで妖艶な神社の黒髪巫女先輩。おバカなギャグゲーメーカーとしてこれまでのSMEEで培われたキャラ造形を濃縮したような存在であり、プロモーション版の時から攻略ヒロインの中で異彩を放っていました。その破壊力は製品版でも失われておらず、それどころか一層輝いています。所々でシリアスな展開を挟みながらも、それを次々にぶっ飛ばし笑わせてくれます。その笑いもファニーではなくインタレスティングな面白さであることから、このSMEEライターのワザマエなところがうかがいしれます。そして二重ギミックになっているのがヒロイン視点回想の開放のタイミング。その他のヒロインは1話ごとにヒロイン回想が開かれていき、「あっ、このイベントではこのキャラこんな風に思っていたんだ」ということを楽しむことができます。しかし初穂の場合は回想が発生せず、バグか?修正パッチよろ!ということが頭によぎりました。しかしそれは杞憂に終わり、エンディング後には一挙に全てのヒロイン視点回想が開放されるのです。本文の中でも「実は初穂さんはすごく真っ当な人格なのに主人公と会うとテンパってしまい、ぶっ飛んだ不思議ちゃんになってしまう」ということが明らかになっていましたが……このヒロイン視点回想では賢い先輩があわあわしてしまい自分の気持ちをまっすぐに伝えられず面倒くさい女ムーブしてしまう様子を堪能することができます。

 

母親の厭世観とその「口実」

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  • 【1】母親の厭世観を払拭するという口実
    • 初穂は当初、母親の厭世観の払拭を口実に主人公に近づいてきます。即ち、初穂の母は病弱であり娘の結婚を見て安心して死にたいと思っています。そんな母親に対して、結婚で満足させず、赤ちゃんを抱かせ、その成長を見守り、孫の結婚式まで出たいと思って欲しいと願うのです。なんとママン孝行な初穂ちん。しかしながら、この「口実」が巨大ブーメランとなって、初穂に襲い掛かるのです。
  • 【2】夜舟初穂と神隠
    • 実は初穂は、幼少の頃に主人公と出会っていました。主人公が運命的な恋をしたいと願うようになったきっかけこそが初穂だったのです。しかしながら幼少の初穂は1年間神隠しにあい、子どもの頃のエピソード記憶を失くしてしまいます。以来、初穂は心に喪失感を抱いて生きて来たのですが、偶然再会した主人公に惚れ込むことに。初穂は今の自分で主人公を染め上げようとしていくのでした。
  • 【3】カブトボーグシルバニアファミリー
    • こうして母親の厭世観を払拭することを「口実」に始まった二人のカップルライフですが、全ては最初から初穂の掌にあったのでした。しかし自分の気持ちを上手く伝えることのできない初穂の行動は、いつだって斜め上になってしまいます。このテキストがSMEEっぷりを如実に表しており、笑いを誘います。デート場所にショッピングモールを選ぶと何故かおもちゃ屋に行ってカブトボーグに興じることになるのですが、小学生チャンピオンをなぎ倒していく初穂の姿には捧腹絶倒すること間違いなし。あとシルバニアファミリーに興じる初穂かわいい。
  • 【4】カミカゼエクスプローラ
    • 主人公のプロポーズ場面では、まさかのカミカゼエクスプローラー展開。カミプロとはクロシェット全盛期の作品なのですが、主人公とヒロインがお互いにして欲しいことを言いっこするというシーンがあります。そこで主人公はピュアなことを言うのですが、ヒロインは性欲に率直な台詞を吐いてしまい、パニックとなってしまうというギャグ的テキストで有名です。本作の場合、主人公が結婚しようと言うのですが、初穂はアナル処女の破瓜を要望するという流れになっています。カミプロやってたプレイヤーたちはこのパロディに吹いたのではないでしょうか。
  • 【5】母親を口実にしたこととプロポーズの誤解
    • こうして、おバカギャグゲー展開を眺めながらも、なんとこれがシリアスに繋がるという巧みさ!アナルプレイ後、満足感に浸る初穂だったのですが、主人公の言葉の意味を邪推してしまうのです。すなわちこの主人公のプロポーズは「口実」を満たすための手段に過ぎないということ。つまりは、母親は初穂に「結婚式」を挙げさせればもう思い残すことは無いと言ってるけれども、その願いを「前倒し」できる。そうすれば赤ちゃんを抱くまで、赤ちゃんが大きくなるまで、孫が結婚するまで……と、生きる希望を延ばすことが出来る。そんな「装置」として主人公が「結婚式」を言い出しているに過ぎないと思い込んでしまうのです。「結婚式」に浮かれていた初穂は冷や水を浴びせられ精神崩壊→→思わず逃げ出してしまい失踪してしまいます。ラストではこの誤解を解き、口実でも何でもなく、本当の意味で二人が想いを重ねることに成功してエンドとなります。ちなみに幼少期の初穂と思わしき人物が、主人公に夢の中でモーションをかけてくるのですが、それは初穂と主人公の娘であり、常にママを優先するパパへのカワイイ嫉妬から来ていたということが明らかになります。

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ハジラブ感想セット