雑録

アサガオは夜を識らない。(製品版)の感想・レビュー

若年犯罪者の自立的な更生を目指す収容所で薬物中毒者・偏執病・死性愛好者を救う話。
ヤク中少女は比較的軽度で依存症を克服するために過去を受容する。
偏執病の少女は主人公を独占しようとするが仲間に承認され病を克服。
ラストでメインの死性愛好者の破壊欲求を満たすため主人公は自らを殺させる。
最終的にヒロインは最愛の人を殺したことで死への執着から解放されたのであった。
(最後に自分を殺させることでカタルシスを生むパターン。近年の類型;コードギアスエンド)
物語を動かすために用意されたサブキャラたちが単なる装置に過ぎないのがちょっとチープかも。

愛する者を殺したくなってしまうタナトフィリアのヒロインを救え

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  • 自分を殺させるエンド
    • 【1】本作の舞台は若年犯罪者の自律的な更生を目指す収容施設。主人公はそこで3人の攻略ヒロイン(ヤク中・パラノイア・タナトフィリア)と出会い彼らが罪を犯した原因を解消していきます。当初は主人公の記憶疎外により(読者に)収容施設であることが隠されており、徐々に明らかになっていくという形式。マルチエンドではなく、救済したヤク中とパラノイアの力を借りて、タナトフィリアの少女を助ける一本道エンドです。
    • 【2】まず攻略するのがヤク中の少女。この少女は比較的軽症です。家庭内が不和で両親が離婚。引き取られた先で勉強ができたため教員に能力を見出されるも、不良に絡まれた結果薬物に手を出してしまい中毒になるというおきまりのパターン。教員は個を見ていたのではなくその才能を買っていただけであったので、態度を豹変してアッサリと見捨てたのでした。ヤク中の少女は教員になりたいという夢をもっており、主人公のおかげでその夢を現実の目標にできたのですが、ここで中毒が発生。ヤク切れをスナック菓子で誤魔化してきたのが抑えきれなくなっていきます。医者からは精神的なものと診断され、完治させるためには過去のトラウマを克服しなければなりません。主人公のアドバイスと母親の助言を思い出し、ヤク中少女は過去にけじめをつけることに成功します。ヨカッタネ。
    • 【3】二番手となるのが元全中選手のバスケ少女。収容所の院長の娘。パラノイアを患っており、意識的無意識的に教唆を行い自らの手を汚さない形で欲しいものを手中に収めようとします。収容所内では主人公をターゲットにし、その恋仲であるアサガオから掠奪愛を決めようとするのですが……なんとしっぺ返しを食らうというギミックになっています(パラノイア問題自体については主人公やヤク中少女から肯定・承認されることでサクッと解決します。)。メインヒロインのアサガオはなんと自分の好きな物を破壊するという衝動に駆られる少女だったのです。この院長の娘はアサガオにとっては親友であり、その好意を利用して彼女はアサガオを排除しようとしたのですが……好意を持たれたが故に逆に殺され(かけ)てしまうという展開。アサガオがタナトフィリアであることを読者に提示するために用意されたような役割を担っています。
    • 【4】主人公は両親から虐待を受けていました。高校時代から労働に出され、金をむしり取られる日々。そんな辛い日々を癒してくれたのが逮捕前のアサガオとの交流でした(この後、主人公は両親殺害の罪で、アサガオは母親を殺そうとした罪で収容所送りとなり再会する)。主人公は碌に学校に通っていなかったために勉強はイマイチでしたが頭の回転そのものは早く、収容所の空気を変えるキーマンとなります。ヤク中少女、パラノイア少女が次々と回復していく中、主人公は裏で糸を引く教員にある意味で踊らされることになります。それは主人公を愛したアサガオの死性愛好を利用し、大切な存在(主人公)を殺させることでした。結局のところ、正史エンドでは主人公がアサガオに殺されることになり、目論見通りとなります。しかしここで思惑とが異なる結果が発生!なんと主人公がアサガオの最愛であったことが思わぬ効果を生むのです。最愛のものを殺したことにより、アサガオのタナトフィリアが収まったのでした。アサガオの胎内には主人公の子種が植付けられており、エンドロール後には楽しそう残りの人生を送るアサガオ親子の姿が!主人公の活躍によりアサガオも救済されたのです。

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参考