雑録

ウチはもう、延期できない。体験版の感想・レビュー

ゲーム制作会社を舞台にクリエイターを攻略ヒロインにした業界ゲー。
扱いやすい題材のため類似作品が粗製乱造されるなか、如何に差別化が図れるか。
業界あるあるネタが主軸であるのだが、フィクションなので表現に限界がある。
そしてディレクター見習いとなる高校生バイトの主人公、ご都合主義でヨイショされすぎ。
……と、思っていたら…なんとちゃんと延期してしまったver.のバッドエンドがあるやんけ!
このバッドエンドが味わい深くて最高である。インパクトは車輪の灯花バッド並み。
「ただの…ただの…何だろう?生きるのに失敗したゴミクズかな」

驚くことにこの作品の本家は『Garden』で名高いCUFFSなのである(本作タイトルが超巨大ブーメラン)

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  • この作品の真骨頂はバッドエンド!
    • ゲームの舞台にゲーム制作会社を選ぶことは良く見られることで、業界のあるあるネタやクリエイターのヒロイン化など、素材を容易く見つけられるというメリットがあります。タイトルがそのまんまの作品とかも存在しますしね。そのため、そういった粗製乱造される類似品と如何に差別化が図れるかが肝要なのですが……本作はたくさんある中の一つという感じからは脱却できていません。勿論ある程度は面白く読めますが、高校生バイトに過ぎない素人同然の主人公が、ちょっとしたことで持ち上げられヨイショされて賞賛されるので、「さす兄」感満載。攻略ヒロインはライター、原画師、塗り、声優の4人でクリエイターあるあるを具現化したような存在となっています。主人公は彼女らと一丸となって頑張り、マスターアップするところまで漕ぎ付けて体験版は幕を閉じます。正直フーンって感じでしたが、本作の真骨頂はバッドエンドにあったのです。
    • 最近の作品は、ご都合主義で上手くいった世界線しか描かれないことが多いのですが、それはたまたま上手くいっただけのルートにしかすぎません。本来であれば無残に散って逝った並行世界があるはずなのです。知恵留先生とかタイガー道場とかすごかったでしょ?(流石に古すぎるか……)。そしてバッドエンドの方がリアルであるため味わい深いといっても過言ではないでしょう。車輪の灯花バッドエンドとかおススメです。
    • 本作の場合のバッドエンドでは、ホントウに延期してしまいます。さらにモザイク処理が甘く回収騒ぎとなり見事に炎上!利権を譲渡し会社は解散する憂き目にあいます。ゲーム会社を立ち上げた実姉である社長は、失敗を苦にしてヒキコモリとなってしまいます。ネットで叩かれるのが見たくなく、失敗に終わってしまった作品をただただプレイするだけの日々を続けるのでした。主人公はそんな姉に付かず離れずで寄り添い、精神的なケアを図っていきます。本編で主人公は自分の得意料理を生姜焼きと言っていたのですが、それは姉の好物でもあったことが判明。弱っている姉に生姜焼きを作る主人公の関係性が悲哀さを醸し出しており、得も言われぬ雰囲気を演出することに成功しています。
  • この業界では10年待たせてもバカ売れするソフトが存在しますから
    • プレイヤー側からすると、いくらでも延期していいから面白い作品を作ってくれというのが正直なところ。発表してから10年かかり、最早販売されることすら奇跡と言われていたのが『サクラノ詩』でしたが、ホントウに発売され、高い評価を獲得しました。また『サクラノ詩』の続編『サクラノ刻』も5年経って第1章を体験版で提示しただけですが、多分(販売されれば)バカ売れすると思います。そして特筆すべきはこのメーカーの本家であるCUFFSの『Garden』。きちんとしたクォリティで完成版を発表すれば、今でも売れるんじゃないかな?トノイケダイスケ先生、いつまでも待っています。

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