スローループ 第5話「また一緒に」の感想・レビュー

小学校中学年における児童集団の形成(ギャングエイジ)をテーマとする話。
小学校低学年までは友人は機会的でありその場に居合わせた子と偶発的に遊ぶ。
しかし中学年になると徒党集団を形成しその群れを重視するようになる。
男子は男子、女子は女子でのグループを形成し始めるのもこの時期。
釣り船屋の幼女は外遊びが好きな活発系であったが女子集団から嘲笑を受ける。
それがトラウマとなり自我を殺して女子集団に合わせて息をひそめて生きていた。
そんな少女を肯定し、自分の好きを大切にすることを説くのが主人公なのであった。

自分の好きな趣味が他者から貶されればトラウマにもなろう

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外遊びが好きな活発系少女、女子集団から排斥されトラウマ
  • 自分が好きな物を押し殺して生きて来た少女の辛さ
    • 今回のスポットライトが当たるのは釣り船屋の娘であるJS福元二葉。この少女は小学校3年生のギャングエイジの時代、酷いトラウマを植え付けられてしまいます。もともと二葉は外遊びが好きな活発系少女であり休み時間も男子と遊んでいることの方が多かったのです。しかしグループ集団が形成されていく中で、男子と遊んでいる二葉は女子たちから奇異の目で見られることになります。男を漁るビッチと罵られた二葉はその言葉が深く突き刺さることになり、女子集団の中に組み込まれて行ったのでした。そんな二葉にとって女の子なのに堂々と釣りをしている主人公はどんなに魅力的に映ったことでしょう。特に二葉は自分の姉が最強であったことにより、女性でも釣りをしていいのは姉くらいスペックが高くなければならないと思い込んでいたようなフシがありました。それ故、自分と等身大くらいの主人公が釣りをする姿を見て、自分が秘めていた想いをつい漏らしてしまったのでした。
    • 主人公は二葉からの問いに即座に応えることができず、それがシコリとして残り続けます。そんな主人公から相談を受けた親友の恋は、釣り船初心者にイロハを教える指導者役になって欲しいと口実をつけ、二葉を船に誘ったのでした。この釣り船での体験は二葉の人生を変えることになります。JKトリオが楽しそうに釣りをし、堂々と釣りが好きと言える姿を見て、尊敬の眼差し。好きな物を好きでいられる魅力を体感したのでした。さらに二葉は船長である姉と共に、主人公たちの夕飯にお呼ばれをすることになります。そこで改めて主人公の釣りに対する想いをしった二葉は、自分が抱えていたトラウマを初めて吐露することができたのです。姉からとても愛されていた二葉はだからこそ姉に自分の悩みを言い出せなかったのですね。こうして抱えていた悩みを吐き出すことができた二葉。自分も人見知りで孤独になりがちであった主人公は二葉に対して情が湧き、友達になろうと契りを交わしたのでした。

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釣りの楽しさを思い出せ!
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好きなことを好きでいられるためには

おさかなパーティーによる家族形成

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旦那が生きていた頃の賑やかな家庭を想起するママン
  • 料理を通して着実に義母と関係性を深める小春だが、主人公は死んだ父親の幻影が強すぎる
    • 本作は釣りを通して再婚家庭が本当の家族になる姿が描かれていく所がウリの一つです。小春は新しいお母さんとの壁を一緒に料理を作ることで乗り越えていきます。主人公の家庭では死んだ父が料理担当であったため、そこが聖域となっており浸食する事は冒涜かのような雰囲気が漂っていました。そのため母親は何となく料理をすることに抵抗感があったのでしょう。料理自体には興味が無くは無かったのですが、出来合のもので済ましていました。その聖域をぶっ壊すのが我らが小春。料理スキルの高い小春が義母に対して料理をレクチャーしながら着実にその関係性を深めていきます。今回も小春'sキッチンは会心の一撃。旦那が生きていた頃は、皆で集まっておさかなパーティーをすることも多かったと回顧するシーンはグッとくる展開です。死んだ父親の思い出を踏まえた上で、新しい思い出を創出していく小春の活躍を是非ご覧ください。一方主人公の場合はというと、父親の幻影が凄まじい。ことある毎にパッパとの思い出が蘇るので、これからどう義父との関係が進展していくのか楽しみでもありますね。
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一緒の作業をすることで芽生える絆