スローループ 第11話「大切なもの」の感想・レビュー

恋ちゃんが主人公に対する過去の負い目を克服する話。
幼少期の頃から主人公と仲が良く長い時間を共にしてきた恋ちゃん。
だが主人公の家庭の変化に際し、恋ちゃんは自罰意識を抱えてしまう。
一つ目は父の死により心を塞いだ主人公を孤独にしてしまったこと。
二つ目は訳知り顔で再婚の話を持ち出し主人公の母の秘密を露呈させたこと。
今回の「紅葉狩り釣り女子キャンプ」では後者に焦点が当てられることになる。
赦された恋ちゃんが「やまひー」呼びから「ひより」呼びに戻した所が名場面。

幼馴染だからこそ抱える心の咎

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再婚問題の地雷を踏んでしまう恋ちゃん
  • 恋ちゃんが長年抱えていた自罰意識と負い目
    • 今回は「紅葉狩り釣り女子キャンプ」を通して恋ちゃんの自罰意識が扱われます。恋ちゃんは主人公の幼馴染で一見すると親友と言っても良い仲だったのですが、そこには複雑な関係があったのです。そのため恋ちゃんは主人公に対して意識的・無意識的に距離を取っていました。
    • その原因の一つ目が主人公の父親の死。恋ちゃんの家庭は主人公の家庭と家族ぐるみで仲が良かったため、主人公の家庭環境が変容すれば影響を受けずにはいられません。父が死んでから主人公は心を塞いで周囲から目を閉じ孤独に身を置くことで傷つくのを防いできました。恋ちゃんは主人公の心の傷を癒すことが出来ず、それに対して負い目を抱いていたのでした。(孤独に身を置く主人公の問題に対しては破天荒な少女である義姉の小春が解決することとなる)。
    • 原因の二つ目が主人公の家庭問題にズカズカと踏み込んでしまったこと。中学時代のとある日、恋ちゃんは弟の保育園のお迎えの帰り、主人公は今日も孤独に海を見に行くところでエンカウント。話題を探しあぐねる恋ちゃんは、再婚の話を持ち出し祝福するのですが……。なんと主人公は再婚のことを全く知らされていなかったのです。実の所、再婚の話など全くなく、主人公の母は同じく片親である父子家庭の男性に対して相談にのっていただけ……恋ちゃん痛恨の早とちり。恋ちゃんは主人公の心の傷を抉ったと思い込んでしまったのです。

 

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主人公に対して抱える自罰意識を告白する恋ちゃん
  • 恋ちゃんにとっての赦しとは何か
    • 上記のように恋ちゃんは主人公に対して自罰意識や負い目があったのですが、紅葉狩り釣り女子キャンプを通して、それが融解されていきます。きっかけとなるのが、周囲の人々からの言葉。大人たちからは恋ちゃんは大人びていると評価され、JSからは友人に対する嫉妬心について相談を受けます。しかし恋ちゃんは大人びているのではなく踏み込むことができずにいただけであり、それにより結果として一歩引いて客観的になれていただけだったのです。それを自覚する恋ちゃんが思わず自嘲するところはとても中二っぽくて好き。
    • そんなこんなで自罰意識を再確認することになった恋ちゃんですが、一夜明けたキャンプ場での早朝というロケーションの力を借りて主人公に負い目を告白することになります。話せば話す程自分を追い込んでしまう恋ちゃんを主人公が救う!!恋ちゃんが再婚の話を持ち出してくれたからこそ、母子家庭における母親の大変さに気付けたこと。孤独に身を置く中でもいつもと変わらずフツーに接してくれたことが支えとなっていたことなどを語るのです。これらの言葉は自罰意識を持つ恋ちゃんにとって赦しとなります。自罰意識から解放された恋ちゃんが「やまひー」呼びから「ひより」呼びに戻したことはその象徴であり、このシーンは屈指の名場面となっています。

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恋ちゃん可愛いね特集

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