虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2期9話「The Sky I Can’t Reach」の感想・レビュー

メンヘランジュを救済するため、ミアがトラウマを克服し栞子が抱擁する話。
大陸の家庭問題である「小皇帝」とその子「熊孩子」が題材とされている。
ランジュちゃんは世代的に「熊孩子」であり、さらに才能もあってかコミュ障になりがち。
孤独に陥ったランジュちゃんは精神崩壊を防ぐためにソロで自分を認めさせるしかなかった。
だがその考えは当初から歪んでいたため独りよがりであることを思い知らされることとなる。
だがランジュちゃんがこれまで歩んできた道は無駄ではなくその過程で絆が育まれていたのだ!
ランジュちゃんを救済するべく、ミア=テイラーは自己のトラウマと向き合うこととなる。
そして栞子の幼馴染パワーが発動してランジュちゃんが一人じゃない事を体感させるのであった。

ミアがランジュのために自己のトラウマと向き合い、ランジュもまた過去の束縛から解放される

ミア=テイラーの無邪気な才能とその挫折
  • ミアランジュの共通点は無自覚な恵まれた才能による挫折とそのトラウマ
    • ミア=テイラーは音楽家一族の優秀な娘。幼少期には歌が大好きであり無邪気にステージに立つことを喜んでいました。しかし幼少のミアは家名の重さを知らず、本番では大勢の衆目に晒され立ち竦んでしまうことに。詳述はされませんでしたが、おそらく満足に歌うことが出来ず(もしくは歌う事すらできず)ぶち壊してしまったのでしょう。以来、ミアは作曲に縋りつくことになり、クライアントに求められる曲を作って社会的評価を得ることに活路を見出そうとしていました。だからこそ、8話で高咲侑に対して「求められる曲を作って、評価してもらえるんなら、それでいいじゃないか」と述べているのですね。
    • 一方でランジュもまた問題を抱えていました。それは他者と関係性を構築することができず、孤独になりがちであったということです。ランジュはおそらく世代的に「熊孩子」に当ります。これは一人っ子政策により生み出された「小皇帝」が産んだ子供たちを指す言葉であり、親から甘やかされわがまま放題に育った子どものことです。またさらにランジュは持ち前の才能があったため、他者を見下しがちだったのでしょう。ミアからはランジュの言い方は癇に障ることがあると指摘を受けています。そんなランジュがまともに友達を作れるわけがありません。プライドの高いランジュには自分の才能により他者を黙らせるという方法しか道は残っていなかったのでした。そんな考えは歪んでおり、最後まで続くわけがありません。ソロアイドルが評価される日本に来ても、ニジガクメンバーはソロアイドルでありながら他者との絆を育んでおり、ミアは精神崩壊して帰国フラグ。
    • ミアはランジュの帰国を引き留めるために最高の曲を作りますが、ランジュの心を動かすことは出来ません。ランジュを救済するには同じように過去のトラウマに苦しむミア自身がそれを克服しなければならないのです。ミアを救うことになるのは我らがりなりー。これまでのシナリオでもミアにぐいぐい行ってたりなりーですが、やはりここぞという時に強い。だってりなりーもぼっちだったし過去に悩んでたし、そういう子たちの感情の機微に敏感なのでしょうね。りなミア尊い展開。ミアの過去のトラウマを吐き出させ、ミア=テイラーではなくミア自身としての個性を認めて肯定し、さらには「居場所」を提供することで完堕ちさせます。この居場所というのがやはり攻略の鍵であり、りなに救われたミアがランジュの居場所を作ろうとする展開はエモいな。作り上げた歌を高らかに歌い上げた後で、ランジュに想いを伝える一連の場面は是非見て欲しいところ。そして最後のダメ押しは栞子。幼馴染の絆尊い展開。言葉でランジュの心情を揺り動かした後に、今度は身体で実感させるのです。栞子の抱擁は頑なだったランジュの心を解きほぐし、新たな関係性をスタートさせたのでした。
ミアのトラウマ解放をするのはりなりー
栞子の抱擁がランジュの頑なさを解きほぐす!