群馬県みどり市大間町における聖地創出の重層化について~キャラクターIPが複数のコンテンツを繋げる~

秘境グンマーにおいて厳しい修行を乗り越え自分の店を持ったラーメン屋の店主がいた。修行中の彼を支えたものはアイドルゲームのキャラクター城ヶ崎美嘉。その情熱は店の名前に「城ヶ崎」と命名する程であり、ゲームの愛好者たち(彼らは通称プロデューサーと呼ばれる)の間で大いに話題を呼び聖地巡礼の対象地となったのである。勿論ラーメンとしても評価されており、「鶏白湯魚介醤油」のスープをウリとする太麺と生タマネギのハーモニーは地元でも受け入れられ一般客も足を運ぶようになった。さらにはラーメン自販機の設置や通販の開始などセルフブランディングにも余念がない。こうした店主の努力は着実に成果を上げ、結果として様々なコラボレーションが実現し、アイドルゲームの聖地としてだけでなく、複数のコンテンツの聖地として重層化していったのである。

【目次】

ラーメン大好き小泉さんの鳴海なる先生が訪問しイラスト提供

ラーメン大好き小泉さんというマンガはドラマ化やアニメ化などメディアミックス展開されたコンテンツ。主人公の少女小泉さんのラーメンに対する執着心がウリでJKながら各地にラーメンを食べに行く。そんなラーメン大好き小泉さんの著者鳴海なる先生がらぁめん城ヶ崎を訪問。なんと設置されたラーメン自販機にイラストを提供するなどのコラボが実現し、大いに話題を呼ぶこととなった。これによりらぁめん城ヶ崎はデレマス/デレステの聖地だけでなはくラーメン大好き小泉さんの聖地ともなったのである。単にコンテンツを利用して売り上げを増やそうとしたのではなく、ラーメンが美味しかったからこそ実現したコラボであった。みんなも「鶏白湯魚介醤油」スープと生タマネギが織りなす複雑な味わい深さを是非堪能しよう!

城ヶ崎美嘉の妹:城ヶ崎莉嘉の声優さんが訪問し生誕祭メニューを食べる

らぁめん城ヶ崎といったら「鶏白湯魚介醤油」のスープであることは上述した。開店当初はなんとラーメンのメニューは一種類だけであり「鶏白湯魚介醤油」の「らぁめん」だけで勝負していたのである。ただイベントごとに原価を省みず様々な味に挑戦しており、時折「限定」として出現する。この「限定」を目がけて県外から多数の訪問客が訪れ、文字通り行列を生んで話題となることがしばしばある。7月30日は店主が推す城ヶ崎美嘉の妹城ヶ崎莉嘉の誕生日であり、これを祝して原価を無視した限定メニュー(ほたて出汁の塩らぁめんEX)が作られ、生誕祭が行われる運びとなった。そうしたらなんと城ヶ崎莉嘉の声優さん本人が降臨!山本希望さんがらぁめん城ヶ崎を訪れ限定メニューを食したことがツイートされたのである!こうして「らぁめん城ヶ崎」には声優山本希望さんが来店したという聖地要素が加わった。

まとめ

城ヶ崎美嘉というキャラクターIPがらぁめん城ヶ崎の店名となり群馬県みどり市大間々町に聖地が爆誕した(アイマス効果により全く関係のない土地に聖地が創出される仕組みは大阪府高槻市やよい軒の研究事例参照)。また「ラーメン」というグルメコンテンツはアイマスの枠を飛び越え『ラーメン大好き小泉さん』の聖地のひとつにもなった。さらには城ヶ崎美嘉繋がりで、妹という設定のキャラの声優が現地を訪問し、声優コンテンツの聖地のひとつともなった。以上のようにキャラクターIPが単一のコンテンツだけでなく複数のコンテンツと結びつき聖地としての特性が重層化していったのである。

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