【感想】水星の魔女 第2話「呪いのモビルスーツ-Cursed Mobile Suit-」を見た。

不満を抱きながらも親に従属するだけであった少女が強権的な父親から自立しようと足掻く話。
スレッタがグエルとの決闘に勝利したためミオリネは政略結婚から解放された!かに見えた……
しかし全ては父親の掌の上であり、都合の悪いことは全て無かったことにされるのである。
スレッタは幽閉され退学の危機となり、エアリアルも廃棄処分されてしまいそうになる。
そんな中、禁止された機体を開発した罪でスレッタのママンが審問会に呼び出される。
ママンは手練手管を使って反論するが、総裁は説明責任も無しに自分の判断を押し通そうとする。
そこへ現れたのはミオリネであり父に対して譲歩を引き出すべく粘り強く駆け引きを行う。
自分の反抗心を撒き散らすだけであった少女が他者の為にと一皮剥ける場面がクライマックス。
スレッタの座右の銘「進めば二つ」を自分に言い聞かせ父に対峙するミオリネがエモい。

学園内における子どもたちの権力の源泉は親からの権威付けにあるため、親から自立できず言いなりになるだけ

強権的な父から逃げたいと願うだけであった少女が友のために父親に挑む!
  • 強権的な親の支配から逃れたいだけであった少女が自由を勝ち取るため合法的手段で対峙する
    • 前回のお話では主人公のスレッタが決闘に勝利し、政略結婚からヒロインのミオリネを解放した。これでミオリネには束の間の平穏が訪れ学園生活編が始まるかと思われたが、決してそんなことは無かった。学園のルールは全て経営者の都合の良い様に解釈されるだけであり、決闘は無効。ミオリネは学園の退学と父が決めた別の男との婚姻を強制されることになる。またスレッタについても幽閉され尋問を受け、最終的に退学かつ所持機体を解体されそうになる。焦るミオリネだが、前回失敗した地球への脱出依頼の契約がまだ生きており、全てを捨てて地球へ行けるチャンスが巡ってくる。ミオリネはこれを飲み、視聴者には地球へ逃げ出すようにミスリードさせるのだが、彼女が向かった先は地球ではなく父が開催した審問会だった。

  • 単なる父と娘の関係ではなく、正式に審問会における同意を取り付け、公としての約束を交わした
    • 審問会ではスレッタのママンがその機体エアリアルを開発したことで罪に問われていた。ママンは落ち着き払ってロジカルにドローン技術だと言い張り、四肢に欠損があることで同情をひきながら審問を乗り切ろうとするが……。なんと総裁は何ら説明責任を果たさず自分がそう判断したからそう決定すると身も蓋も無い答えをする。何のために審問会開いたんかーい。これじゃあ暗殺されそうになるのも然るべき。あくまでも審問会はカタチだけであり、皆で決めたというプロセスを欺瞞するのみ。こうして水星の魔女(完)となりかけたところでミオリネが乱入。これまで父に対して不満はあってもそこから逃げたいと思うだけで戦おうとしなかった少女が、友の影響を受けて、父と対峙する強さを得たのである。勿論、父を説得することは困難であるが、諦めずに粘り強く駆け引きを展開する。ただ喚くだけでなく、父親自身が作ったルールのもとで解決を試みようとするのだ。さらにあらかじめスレッタママンが仕組んでいたこととは言え、ミオリネが偉かったのは、単なる父と娘の口喧嘩で終わらせずに、審問会での合議を取り付けたのがポイント。こうして今度こそ決闘で勝てば自分の意見を通せるよう役員の皆さんを証人にしたんだね。スレッタママンの息がかかったヴィム=ジェターク(第1話で総裁を暗殺しようとした人・決闘で負けたグエルくんのパパ)も援護を行い、卓袱台返しできないよう場をセッティングした。

  • スレッタと同じ種類の機体に乗るエラン君の謎
    • 一方でスレッタサイド。幽閉され尋問を受け飢えにも苦しむがそこへ王子様役としてエラン=ケレス君が登場。餌付けを行いスレッタを惚れさせる。砂漠の中で渇きに苦しむ旅人にとって一滴の水が値千金となるごとく、お腹が減っていたスレッタは無我夢中で差し入れ弁当を食べるのであった。おそらくエラン君がスレッタを気に掛けるのは、スレッタのエアリアルと同じ種類の機体・ファラクトに乗っていることからか?(それにしても何でエラン君は禁じられているのに、同じ種類の機体に乗れているのだろう)。着実にスレッタハーレムが形成されつつあるのだが、やはり正妻はミオリネ。審問会で父親と決闘の約束を取り付けると、スレッタの下へ急行。今度は自分の意志でスレッタに対して必ず勝ってと願うのであった。百合友情尊い

  • 階級差別と出身地差別
    • あとシナリオで特筆すべきところは、階級差別と出身地差別か。親の所属する企業の序列で学園内のヒエラルキーが決定され、地球出身であることは底辺カーストとして扱われる描写が挿入された。ここで第1話でスレッタに優しく接してくれたニカ・ナナウラが登場。差別や嘲笑に晒されるも決して怒ることなく凪の様に対応していなしていた。しかし革命が起こったとしたら反旗を翻すのに十分なポジションにいるよね。

  • グエル君、1話では単なる噛ませ犬の横恋慕さんだったが、2話にして視聴者から応援されるポジションへ
    • そんなわけで次回は決闘になるわけだが、その相手はグエル君のようであり、熱心に戦闘訓練に励む彼の姿が!グエル君もまた強権的なパッパに組み伏されているだけの、親に従順なキャラであることが明らかになった。学園では親に従属する代わりに莫大な権力を手にしているから、そう振る舞ってしまうだけ。今回の放送を経て一躍視聴者から応援されるキャラに早変わり。多分来週決闘に負けちゃうけど、この敗北を契機にパッパの頸木から脱出できるようになるんじゃないかな(テキトー)
パパに叱責されるグエル君の図~彼もまた権力構造に組み込まれている装置~
王子様ポジションのエラン君に餌付けをされるスレッタ
今度は自ら進んでスレッタに助力を請うミオリネ

水星の魔女感想まとめ


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