『RE:D Cherish!』 体験版(CRYSTALiA)の感想・レビュー

祖国に裏切られ流浪の身となった男が料理人を目指す少女に生き甲斐を見出す話。
剣技を修めた主人公は力を祖国の為に使いたいと願い政府系組織に所属し大活躍。
しかし任務失敗の全責任を被せられ弁明の機会すら与えられず処刑されそうになる。
絶望した主人公は祖国を出奔。かつて任務で過ごした新興経済特区へと流れ着く。
馴染みの飲食店へ顔を出そうとするが店主は殺害され既に経営者は変わってしまっていた。
経済特区は無法地帯でもあり主人公は殺害されるが店主の娘の眷属となり命を救われる。
娘は違法利子により借金まみれであったが、店の再興を夢見てバイトに励んでいた。
主人公は拾った命を少女に賭けるべく悪徳高利貸を潰し、飲食店再興の夢を少女と分かつ。

るろ剣×近未来サイバー都市×飲食店経営

  • 生きる意味を喪失した男の新たな目標は、少女が抱く飲食店再興の夢
    • 本作の主人公は叔母の指導で剣技を修め、その力で誰かを守りたいと願うようになり、祖国の為にと政府系組織に所属しました。主人公は持ち前の技能で活躍しメキメキとその才能を伸ばしていきます。叔母は剣技を権力のために使うのではないと反対していましたが、案の定その懸念は現実のものとなってしまいます。主人公は要人警護の任務失敗の全責任を押し付けられ、トカゲのしっぽのように切り捨てられるのです。こうして中央政府の現実を知った主人公は自分の力を祖国の為に活かしたいという夢が打ち砕かれることになります。このまま黙って処刑されてたまるかと奮起した主人公は逃亡。流浪の身となったのでした。細部は違いますが、師匠が反権力だったのに主人公が権力側に尽き絶望して流浪の身となるとかまさにるろ剣を彷彿とさせますね。キャラクター像も違いますが、普段飄々としている軽い感じの主人公が実は剣の腕はハチャメチャに強いとかまさにソレ。新興経済特区だが無法者も蔓延る都市というのも「東京」のイメージもそんな感じ。東京幻想。

  • ヒロインとの馴れ初め・中ボスバトル・夢の共有
    • 主人公はこれまで仕事一筋の人間であったため、生き甲斐が無くなり無気力状態。偶然知り合った同郷の有力者の下に寓居し、日がなプラプラとしていました。一応、主人公にもかつて感動した飲食店にもう一度行きたいという思いがあったのですが、その店主はもう既に殺害され店の経営者も変わっていました。物語冒頭でその娘と知り合うのですが、シナリオが進むにつれ、彼女が暴利を貪る高利貸によって借金漬けにされていたことが明らかになります。あくまでも自分の力で借金を返そうとする少女のお店再興の夢を知り、辛い境遇でも諦めず夢を持ち続けることの出来るその姿に、憧憬を抱くのでした。しかも主人公が殺害された時には、自分の体液を注入してまで主人公を助けてくれたのです(設定として主人公はサイボーグであり、少女にはそれを活性化できる異能があったというノリ)。
    • 主人公は精神的にも物理的にも少女に救われたので、少女に人生を賭けることにします。その見せ場となるのが体験版のトリを飾る高利貸壊滅事件。余裕ぶって介入した主人公は苦戦するのですが、少女の異能でサイボーグが強化できるようになっており、見事噛ませ犬的な中ボスを撃破するのでした。ボスを撃破し少女の借金をチャラにした主人公が、少女の飲食店再興の夢に協力したいと申し出る所が体験版のクライマックス。不愛想で不器用な少女がデレ化する表現は割とよく表現されています。

  • サイボーグ用の「食」要素をどこまで深められるか
    • 小綺麗にまとまっていた体験版でしたが、ここから話をどう広げていくかが製品版評価の分かれ目かもしれません。本作の飲食店は、実際の食事ではなく、サイボーグ用の食事なので、相当なシナリオの力量が無いと、「食」部分での魅力を引き出せずに終わることになりそう。折角、物語の原動力として飲食店再興を掲げているのだから、そこはちゃんと描いて欲しいところ。けど、OPでヒロインがバイク乗り回して銃火器ドンパチやってるので近未来サイバー都市でのアクションモノが中心に描かれていきそうな予感がします。あと敵となるゴロツキやチンピラがすごくしょうもないキャラかつセリフ回しなので、モブザコにわざわざ男性声優つけなくてもいいんじゃね?と思ってしまいました。






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