プリンセスコネクト!Re:Dive Season 2 Menu2「きまぐれ猫の躊躇い〜月明かりのアンティパスト〜」の感想・レビュー

親からの愛情に飢え束縛から逃れられない少女が自分の居場所に葛藤する話。
キャルは唯一の肉親と称する陛下から必要とされることを何よりも求めていた。
だが美食殿での心の交流により、自分が親に利用されているだけではないかと疑ってしまう。
それ故、親の期待に応えて褒めてもらうことと友人たちとの親愛の間で思い悩むことになる。
自分の中に目標を見いだせないままのキャルは同年代の少女が輝く姿を見て劣等感に苛まれる。
そんなキャルの精神的な救いになるのがやはり美食殿の仲間であり自分を捜しに来てくれる存在。
ぺコ逆ONE事件にも触れられ居場所がない人たちの居場所となるのが美食殿である事が鮮明化した。

美食殿=アジール

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毒親の呪縛から逃れられない
  • 親の期待に応えて認めて欲しいが、自分は親の自己満足を満たす装置に過ぎないのではないかという疑念
    • 王国を簒奪したニセ陛下に甘い言葉をかけられ、美食殿メンバーに罪悪感を抱きながら本当の王女であるぺコリーヌの監視を続けるキャル。キャルにとってニセ陛下はおそらく毒親の象徴であり、それでも血縁であるからこそ、その呪縛から逃れられないことのメタファーなのかもしれません。愛情に欠乏するキャルは陛下からの言葉だけが生存理由の全てでしたが、美食殿との交流の中で本当の愛情を知ってしまいました(1期)。毒親の軛を打ち砕き、自立することができるのか!?と言ったことがキャル√のテーマなのでしょう、多分……。親が新興宗教の信者である家庭の2世さんのような匂いがします……。
    • そんなキャルに対して劣等感を抱かせるのが、アイドルグループであるカルミナの皆さん。同世代の女の子たちが歌って踊ってキラキラと輝いているのに、自分はドブ掃除のようなお仕事。キャルが信念をもって汚泥を啜っていればまた違ったのでしょうが、陛下に対する疑念と美食殿に対する罪悪感によりグチャグチャになっているキャルにとって、カルミナの皆さんは眩しすぎるものでした。その姿は厳しすぎる家庭で勉強や習い事漬けにされているお子さんのようです。キャルが疲労困憊しながら現実に打ちのめされ橋の下で動けなくなってしまうところが今回のハイライト。
    • 複雑な感情によりどうしていいか分からなくなっているキャルを迎えに行くのは、美食殿の皆さん。キャルの名前を呼びながら探し回ります。自分を必要として求めてくれるという行為はキャルにとってどんなに救いになったことでしょう。ツンデレムーブをかましながら姿を現すキャルの姿をお楽しみください。美食殿のメンバーの絆が深まっていくのがホッコリします。逆ONE食らって自分の存在がロストプリンセスになってるペコリーヌ、ニセ陛下に都合よく使われているだけのキャル、故郷から奉公に出されて来たコッコロ、何か記憶喪失の主人公、と拠り所が無いメンバーが集まってくる。そんな子たちを受け入れる一種の聖域が美食殿なのかもしれません。

 

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輝く同世代を見て劣等意識に駆られるキャル氏
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多感な時期の少女の絶望
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キャルを救済する美食殿 ペコキャル