【感想】葬送のフリーレン16話「記憶の継承と忘却~愛した大切な相手をもう既に思い出せない~」

どんな出来事でも忘れ去られていくものだが、忘却の果てにも残るものは必ずあるという話。
A-partはフリーレンが長寿友達に会い旧交を温めるが彼はもう既に耄碌していたことが判明する。
フリーレンは少なからずショックを受けるが老者の悟りでそれを受け容れるも少しだけ救いはあった。
フリーレンと交流したことで長寿友達氏の記憶が活性化され忘れてしまった妻の夢を見たのだという。
B-partは僧侶アゴヒゲことザインの話。人々の記憶に残るためのインパクトとして珍妙な名を名乗る。
そのおかげで戦士ゴリラ伝説は各地に伝わっておりザインは10年前の道のりを追うことが出来た。
彼らが珍妙な名を名乗るきっかけになったのはフリーレンたちも会ったことのあるモンクがきっかけ。
こうして忘れ去られてしまった者でも現在に少なからず影響を与えていることの余韻が描かれた。

【目次】

記憶の継承と忘却

旧友がボケていたことに気付いた時の切なさ

今回のテーマは記憶の継承と忘却。A-partはフリーレンが長寿友達に会いに行く。二人は旧交を温め楽しい時間を過ごすのだが、違和感が少しずつ広がっていく。彼はフリーレンにヒンメルのことをどれくらい覚えているかを問い、フリーレンはそれにムッとするのであるが、長寿友達氏は自分の生きる動機となっている亡き妻のことをもう既に忘れてしまっており思い出すことが出来ないと述べる。これに対し少なからずショックを受けるフリーレンだが、彼はまた耄碌しておりフリーレンが魔王を倒したことすら認識できていない、新しい出来事を覚えられてないことを目の当たりにし、彼の老いを受容するのであった。この辺、アルツハイマーとか認知症とかが家族にいた経験があると割と切なくなる描写だよね。こうして生きる事の虚しさが漂う中、フリーレンは出発するも、妻の事を話したことで記憶が活性化され久ぶりに夢に出てきたとほんの少しの救いがもたらされてA-partは幕を閉じる。こういうシンミリした話がフリーレンのシナリオのオモシロさに情緒深さを加えているのかもしれない。
 

モンク氏が戦士ゴリラの起源だった

B-partは僧侶アゴヒゲことザインの話。ザインは10年前に冒険に出た幼馴染と再会するために旅をしている。幼馴染氏は人々の記憶に残ることに拘りがあり、インパクトの強い珍妙な仇名を名乗るのであった。それが戦士ゴリラであり、このニックネームのおかげで各地に伝承が残っており、その足取りを辿ることが出来た。B-partのメインイベントとなるのが頑固婆さんのお使いRPGイベント。ここら辺が日本式RPGをモチーフにしているフリーレンの由縁であり、婆さんの心を開くために淡々とクエストをこなしていく。最後のお使いが石像磨きであり、この像のモチーフが山小屋で越冬した際にシュタルクを裸で温めたモンク氏であった。モンク氏自体は忘却されていたが、この像はザインの故郷にも建立されており、それこそが戦士ゴリラと僧侶アゴヒゲの始原的理由となっていた。記憶は忘れ去られてしまうけれども、どこかで全てが繋がっており、円環の理に導かれイズムが現出された。
 

16話のシュタフェル

足元が見えないフェルンに手を差し伸べるシュタルク

アニメ版フリーレンはRPG的旅路要素が情緒深いBGMと共に流されていく一種のロードムービーみがあるが、そこでさり気なくシュタフェルが展開され二人が関係性を深めフラグ構築している一端が描かれている。今回のシュタフェルは丸木橋を渡る時のシュタルクの気遣いについて。川を渡る際にフェルンは丸木橋でヨチヨチ歩きになってしまう。巨峰により足元が見えないのだから仕方がない。そんなフェルンを気遣うのがシュタルクであり、落ちないように手を差し伸べるのである。臆病で情けない姿を見せつつも気遣いの出来る優しいイケメンでもあり肉体的に強い戦士なんてカッコ良すぎ。フェルンとの関係も深まっているようで楽し気に会話する様子が映し出された。またフリーレンの長寿友達氏にシュタルクは稽古をつけてもらうことになるのだが、激しい特訓に疲れたシュタルクの世話を手取り足取りするフェルンの描写が挿入されており、ほんわかした。この調子でストーリー進行にまったく関係が無い所でもシュタフェルしていてスタッフに愛されてんなぁと今回も感じた。もっとやれ。

二人で楽しく会話・シュタルクのお世話・キノコ狩りでもシュタフェル!

フリーレン感想まとめ