【感想】ブルーアーカイブ「喰積の前にいささか ~一番勝負~」(2022.12.28-2023.1.11)

悪徳チェーン店が市場を独占するため個人経営の食堂を潰そうとする一件を美食研と給食部で防ぐ話。
美食研の面々はスズメ亭で食事を摂り、その味を堪能したのだが、なんと店を畳んでしまうのだという。
美味しい店を潰させたくない美食研はいつものように突っ走り、先生や給食部をも巻き込んでいく。
店主に事情を聞くと、傘下に入る様に要請が来た際、伝統の店を守りたいがために断ったのだという。
だが周囲の物流はチェーン店の企業に握られており、結局経営は成り立たなくなり閉店を決意したと語る。
これを聞いたハルナはこれまた突っ走り、相手のオーナーと話を付け、おせち料理対決をすることに。
重箱100個分400人前のおせちを準備しなければならないため大量生産に自信を持つチェーン店はハルナを舐めていた。
だがハルナが味方にした給食部のフウカは毎日4000人分もの給食を用意している腕前を持っていたのである。
さらにハルナは飽きやすいおせち料理の味付けの改善を指導したため、品質の良いおせちを準備できた。
こうして給食部と美食研は悪徳チェーン店を打ち倒し、商店街を守ることに成功したのであった。

チェーン店における均一的な味付けの安価な提供と個人経営食堂におけるコダワリの味付けの相克

チェーン店との競争に負け潰れていく個人経営店

本イベストではゲヘナ学園の美食研と給食部に焦点が当てられる。いつもは給食部のフウカに美食研が迷惑をかけるという構図だが、今回はその構図を取りながら問題解決のために手を取り合うのである。美食研は個人経営の食堂で舌鼓を打ったのだが、なんと店を畳むことを知らされる。これを聞いた美食研はいつものように暴走し先生とフウカを拉致監禁してくるのだが……。なんと店主に事情を聞いてみると、今回ばかりは大きな問題を孕んでいた。なんと、悪徳チェーン店が市場を独占するために、個人経営の店をを軒並み潰そうとしていたのである。
 

舌が貧困になるということ

地方に大型ショッピングモールが進出し、軒並み個人経営の商店を潰した上で、やはり採算が合わないから撤退すると、跡地にはぺんぺん草も生えないのは事実ではある。だが今回のストーリーでは市場独占を狙って意図的に食堂を潰そうとしていたのであった。これを防ぐために美食研と給食部は協力することになり、フウカの料理技術を提供して食堂の味の改善に努め何とか対抗しようとする。それでも値段などの側面で問題は残り、それらが丁寧に描かれれば深みがでたのであろうけど、それをやると本格的な経済ドラマをやることになってしまう。こちらとしてはそれも大歓迎なのだが、本シナリオでは敵側にヘイトを集める手法が取られる。市場独占後は工業的な味付けに民衆の舌を馴染ませて品質を低下させて利益を得ようとしていたのであった。
 

優しいフウカと労働問題

これを受けて美食研は結局暴力で問題に介入し、相手側のオーナーとおせち料理対決をすることになる。重箱100個分400人前のおせちを用意し商人会の投票で決めるというものであり、敵役はこの時点で勝利を確信していた。大量生産のメリットを活かして工場で機械による画一的な生産ができるのに対し、個人経営の食堂では用意すらできないであろうと舐め切っていたのだ。だが給食部のフウカは学園の生徒のために毎日4000人分の給食を作っていたため、今回はその10分の1であり余裕のよっちゃんよ。また美食研のハルナが味付けの指導をし、飽きやすいおせち料理に対して様々な工夫を凝らすのである。
 

手作りの味付けだからこそ出来ること

個人経営の食堂でも十分戦える!と勝利の可能性を掴んだところでフウカが曇り始める。もし自分たちが勝ったとしたら、チェーン店で働いている人たちはどうなってしまうのであろうかと思い悩むのである。そんなフウカに対し先生はハルナにフォローを入れさせる。食を豊かにするという意志では給食部も美食研も同じであり、悪徳チェーン店により民衆の舌が貧しくなるのは本意では無かろうと説く。こうしてフウカは士気を高め、最後までおせちを作り抜く。相手のオーナーはタカをくくっており、味見すらしないで勝利後のことを考えていた。そんな姿勢では勝てるわけもなく、飽きやすいおせち料理の味付けに手間をかけて一工夫凝らしたフウカたちが勝利する。フウカが懸念していたチェーン店の労働者たちであるが、食堂に雇用されたり先生が就職先を斡旋したりして大人としての責任で解決された。