アイドルマスター シンデレラガールズ U149 第11話「大人と子供の違いって、なに?」の感想・レビュー

大人になれない米内Pと子どもになれない橘ありすを比較して描くことで本質として両者は同じであることを描く話。
内Pは担当アイドルのデビューが決まるが「子ども」を商品化しレッテル貼りされたことに納得がいかない。
一人の人間としてアイドルたちを見て欲しいため属性によるブランド化を利用したマーケティングを受け入れ難かった。
一方ネグられ気味の橘ありすは両親に迷惑をかけないため大人であろうとした結果耐え切れずに精神崩壊してしまう。
受験勉強に差し障りないなら好きにして良いと放置された橘ありすは両親にアイドル活動のことを言い出せなかったのだ。
デビューに向けての三者面談の当日、ダムが決壊した橘ありすはとうとう無断ですっぽかしてしまい衝撃が走る。
内Pは必死に橘ありすを探し出し、大人として諭そうとするが、賢い橘から手痛い指摘を受け、思わず涙を流してしまう。
涙ぐむ米内Pを見た橘ありすは大人でも泣いていいことを悟り、追いかけてきた両親に自分の気持ちを話せるようになった。
大人とか子どもとかの属性やレッテル貼りではなく人間の本質に気付いた橘は米内Pに名前呼びを許可して関係性を深める。

大人とか子どもとかではなく人間の本質に向き合うことの大切さ

子どもとして親に甘えられないありすと大人として社会人の道理を弁えられない米内P
  • 大人になれない米内P・子どもになれない橘ありす
    • 橘ありすは大人であろうと背伸びをしている女の子。その背景には仕事を優先し子どもをネグってしまう家庭環境があった。賢いありすは両親が自分の為に物質的豊か豊かさをもたらすべくカネを稼ごうとしているのを知っていた。だからこそ迷惑をかけないよう忖度し、自分の気持ちを押し込めてしまったので悲劇が起こることになる。子どもになれない存在として描かれたのが橘ありすだったのである。一方で米内Pは大人になれない存在として描かれることになる。担当アイドルたちと接するうちに子どもたちも自我を持った個人であることを知った米内Pは、少女たちが子どもという属性をブランド化されて切り売りされることに耐え切れなかったのである。それでも自己の気持ちを押し殺して会社の方針に合わせると言うのが大人というものであり、米内Pは次第に磨り潰されていく。そんな大人になれない米内Pと子どもになれない橘ありすがお互いに弱った姿を晒すことで人間の本質に気付くことができるのが今回のオモシロポイントである。

 

フラストレーションが爆発したありすの感情の嵐が米内Pを襲う!
  • 親に迷惑をかけないため自分の気持ちを押し殺した結果
    • 話の流れとしてはこうだ。橘ありすは両親からアイドルについて受験勉強に差し障りの無い範囲でなら好きにして良いと言われていた。すなわち両親の希望は有名私立中学校へ進学させることであった。そのためにも高い入学金や授業料を支払うために、仕事ばかりの毎日を送っていた。そのカタチは歪んでいるとはいえ、確かに娘を愛していたのである。賢いありすは両親が仕事ばかりなのは自分のためだと知っていた。都心の部屋が広いマンション、飢える事のない豊かな食事、お洒落で素敵なお洋服、品の良い富裕階層が通う私立小学校etc...カネがいくらあっても足りぬであろうことは想像に難くない。それ故、ありすは本当は両親に甘えて一緒の時間を過ごしたいにも関わらず、自分のことで手間をかけさせまいと、自分のことを何も言えなくなっていったのであった。結果的にそれが一番両親に手間をかけさせてしまうことになるのだが。

 

内Pの涙を見て、大人でも泣くことを痛感する橘ありす
  • 内PはU149を、橘ありすは自分の名前を、肯定することができた
    • 両親に自分の想いを最後まで言えなかった橘ありすは最終的に目の前の出来事を全てブッチしてすっぽかす。心配して駆けずり回り、自分のことを探し出してくれた米内Pの存在は橘ありすにとって尊いものであったのだろう。彼女は自分が抱えている問題やフラストレーションを全て米内Pにぶちまけることができたのである。純粋な米内Pは橘ありすの言葉に傷つき涙を流してしまうのだが、その姿は大人でも普通に泣くことをありすに痛感させることになる。米内Pと魂の交流を果たした橘ありすは追いかけてきた両親に自分の気持ちを素直に話すことができた。こうして精神的に成長した橘ありすは大人とか子どもとかそういう属性やレッテルに振り回されるのではなく人間の本質が大切であることを学ぶ。これまで自分の名前を子どもっぽさの象徴として忌避してきたありすが、それを受け入れて米内Pに名前呼びをする場面がクライマックスとなっている。

 

いつまでもU149を受け入れられない米内P
米あり
名前呼びを肯定できたありすを見て米内PもU149を受け入れることができた

U149感想まとめ