ダンジョン飯2話感想「集団内における役割・領分と存在意義について」

集団内に受け容れられていると感じるためには存在意義を示し自己肯定感を得る必要があるという話。
前半の主役はマルシル。後衛職であるため足手まといとになりがちな自分の存在意義を示そうと奮闘。
正気を失い自我が丸出しになったマルシルが自分の本音をさらけ出すシーンは思わず泣けてしまう。
自分がお荷物になってみんなの役に立てないことはさみしいことですと洩らす場面が今回のハイライト。
後半は過敏なチルチャックが図太いセンシに辟易するが料理を通して彼の性格を受けいれる姿が描かれる。
前半も後半も集団内において自己の存在意義を確立しつつ如何に他者と上手くやっていくかがテーマであった。

自分が役に立てているという実感が自己肯定感を生み集団内で居場所を見つけることができる

今回のハイライト~みなさんの役に立てないのはさみしいことです~

重いテーマをコミカルに表現することに定評があるダンジョン飯。今回は集団内における役割・領分と存在意義がテーマとして描かれた。特に前半主役となったマルシルの話は涙無しには見られない。集団内で抱える孤独や寂しいといった気持ちがとても共感を生む。話の内容としては、後衛職であるマルシルが身体能力的にはどんくさいため足手まといとなってしまったことに焦りを感じ、自分の能力を示すために奮闘するといったもの。一見するとコミカルな動きをするマルシルがギャグのように映るのだが、中身はとんでもなく重い。実践したことがないため自分の専門知識を軽視され信じて貰えなかったマルシルが、自分の方法を試すために自ら行動に出るというタフネスさ。そしてそのタフネスはパーティー内でみんなの役に立てないのはさみしいという気持ちから来ていることが明かされる。マルシルが正気を失い自我を丸出しにしたため本音を洩らしたというシーンの一コマだがとても共感できる描写であった。この後、ライオスやチルチャックはマルシルを正気に戻すために彼女に期待している具体的内容などを述べていき自己肯定感を高めさせていく。深刻にならないように正気を取り戻していたマルシルに「もっと言って」と述べさせることでギャグ調でオチをもたらしているが、この後で彼女が抱えている心の闇(種族間による寿命の格差がもたらす孤独)の伏線となっている。
 

チルチャックとセンシの交流

後半はチルチャックにスポットライトが当てられる。普段は人格的にも大人びているチルチャックだが、罠の解除の際にはピリピリする。それは彼が自分の仕事に責任を持っているからこそ来るものであるが、パーティーを組んでまもないセンシと対立することになってしまう。大雑把な所があるセンシは細かいチルチャックの指示に従わず彼を怒らせてしまうのである。だがセンシは図太かった。チルチャックが各自の個性に適した役割分業を説くと、センシは料理に罠を使うことを考案し、チルチャックを誘導するのである。チームが仲良くなるためには同じ作業を一緒にやることが肝要というがまさにその通りであり、料理作りを通してチルチャックはセンシと上手くやっていく距離感を掴むのであった。また今回は本作において一貫したテーマとなっている食事・運動・睡眠の重要性が語られた。マルシルの闇落ちに対して出した結論がコレなんですよね。

相変わらず魔物大好きなライオス