【感想】学園アイドルマスター「花海佑芽」コミュ 1~10話を読んだ。

姉への強烈なコンプレックス。それが「枷」などではなく人格形成に繋がっていたという話。
花海佑芽は最強の姉を持つが故にいつも敗北し熱烈な対抗意識を燃やすようになっていた。
そのため当初は姉と同じ分野で勝つことに始終しておりアイドル自体への関心は薄かった。
故にプロデューサーはそれを「枷」と感じ姉への呪縛から佑芽を解放することで成長させようとする。
だが姉の存在は既に佑芽にとって人格形成の一要素にまでなっており単なる「枷」では無かったのだ。
また大器晩成な佑芽にとって「アイドル」は初めて姉と同じステージに立てたものへと変化する。
単にコンプレックスを解消するという内容ではなくキャラ造形の深い根っこになっているのが良いよね。
大器晩成だからこそ徹底的にレベルを上げておき圧倒的ステータスで敵を磨り潰す方針を目指していく。

花海佑芽のキャラクター表現とフラグ生成過程

速攻で両親に会いに行き育成方針を打ち立てるP
  • 単なる姉へのコンプレックスではない
    • 花海佑芽はアイドル学園に補欠合格でギリギリ入った女の子。だが不器用で物覚えは悪いが、強靭な肉体と類稀なる運動能力を持ち、姉へのコンプレックスからくる屈強なメンタリティを持っていた。そのため鍛えればメキメキと伸びていくのだが、その行動の原動力が姉への対抗心でありアイドル自体への関心は薄かったことから危険を感じる。そのためPは姉へのコンプレックスを「枷」であると見なし、それを早急に取り払おうとするのだが……。長年の時を積み重ねてきた姉妹の関係性はそんなに簡単なものでは無かった。姉の存在は佑芽の人格形成になっていたのだ。そんな花海姉妹の関係が描かれるのが、佑芽のアイドルコミュとなる。

当初アイドルは姉に勝つための手段の一つに過ぎなかった
  • 咲季と佑芽の関係性について
    • まず基本的に姉はシスコンと言っても過言ではない程、妹が大好きである。そして誰よりも妹の才能に気付いており、それを引き上げる為に色々と気にかけてくれるのである。①Pがついたと知れば姉はその資質を見極めるために乗り込んで来る(有能なPはその時もう既に両親と面談を済ませており重厚なプランニングで打ち返す)。②一緒にダンスを練習して手本となることで最短の道を最速で歩ませる(その分、佑芽は自分で試行錯誤するという行為を欠いてしまっているが)。③休養日には勉強に誘い一人では遊んでしまう佑芽の知能を鍛える(実際に佑芽は教えれば教えた分だけ勉強もできるようになる)。佑芽は姉にコンプレックスを抱いているが、それと同時に感謝をもしており「恵まれている」と称するのである。そんな佑芽の言葉を聞いた姉は、自分もまた佑芽がいるからこそ今の自分になれたのだと伝える(おそらく大器晩成だが才能はあり自分の後ろをヒタヒタと迫ってくる妹への焦燥感を克己心により好転させてきたのであろう)。以上のように花海姉妹の関係性は「枷」などではなく、もっと根深いものなのであることが明かされる。

アイドルとして覚醒を果たす佑芽
  • 佑芽ルートにおけるPの役割
    • 花海姉妹関係性最高じゃん。姉妹百合。じゃあPの存在なんて必要ないじゃんと思われるかもしれない。だがそれは佑芽が初めて姉と「対等」のステージに立てるようになったからこそのものであった。晩成タイプで物覚えが悪く成長するまでに時間がかかる佑芽は、これまではようやく才能が開花し始めた時には、もう既に姉は見えない位置にまで達しており、勝負にすらならなかった。だが今は違う(ギュツ!)。Pの存在がいたからこそ、佑芽はこれまで経験してきた「才能の開花」を圧倒的に早めることができたのだ。すなわち、初めて姉と同じステージに立つことを可能にしたのがPなのであった!そしてまたそれが「アイドル」であったことに、佑芽は今までにないトキメキを感じ始める。当初は姉に勝てれば何でもよくその一つの手段にしか過ぎなかった「アイドル」が佑芽にとって大切な物へと変わったのであった。こうして夏の大会で姉を完全に倒すため、佑芽とPは歩き始める。長い長い坂道を。最強でアイドルとしてのカリスマ性を持つ姉に対抗する手段として、Pが目指す方針とは「レベルを上げてステータスで磨り潰すこと」。晩成型だが屈強な肉体と強靭なメンタルを持つ佑芽は鍛えれば鍛えるだけ伸びていく。そのため晩成ならばその分経験値を積ませてステータスを上げまくれば良いと判断し、ここに重戦車花海佑芽が爆誕したのであった。
姉へのコンプレックスの発露
これは身体能力を褒められた際に肉欲と勘違いしてしまう佑芽
佑芽エンド