由又かつお「蛟の巫女・体験版」(Liar-soft)の感想・レビュー

蛇信仰を持つ閉鎖的な離島において前世の因縁に縛られた憑代の少女を救う話。
攻略ヒロインと思われる少女2人が二人とも既に神主に手を付けられているので注意。
主人公は(おそらく)何でも(人との縁でも物体でも)切断する異能を持つ少年。
自称根暗陰キャぼっちであり様々な辺境旅行をすることを趣味としていた。
今回は釣りを観光資源とし独自の民俗祭祀を持つ離島にやってきたのだが……
前世の記憶に導かれ神主の娘の巫女、憑代の少女、七生報国のチャラ男と知り合う。
主人公は島の調査を進めていくが、かつて島で発生した殺人事件の記憶を思い出す。
果たして島の蛇信仰とは何なのか、憑代の少女を解放できるのか、気になる所で体験版はお開き。

離島の因習的な伝統祭祀×前世の記憶と幾度の生まれ変わり×民俗学と擬古典

綿津蛟の信仰

離島における蛇信仰をモチーフとし前世の因縁を巡る伝奇物。主人公は辺境を旅する少年で、今度は離島へとやってきた。だがそれは前世に導かれたものであり、同じ痣を持つ3人と出会うことになる。①七生報国の呪いをかけられ前世の記憶を薄れながらも保持しているチャラ男、②村の因習的な掟で島から出る事を禁じられた憑代となる少女、③憑代の少女を敵視し主人公に惚れ込んでしまう神社の巫女(神主の娘)である。主人公は離島に向かう船の時点で①のチャラ男にモーションかけられていたが、島に着いた時点で神降ろしをした②の憑代少女に見初められる。主人公はマレビト信仰よりしく祭りの儀式に参加する事になり、しばらく逗留することになった。また神主の娘である神社の巫女からも好意を寄せられるようになる。主人公は自分が置かれた立場に疑問を抱きながらも、村の様子を調査していくことになる。
  

憑代の少女

物語を転がす役目を果たすのが神社の神主。離島における伝統的な蛇信仰を利用して、島を裏から牛耳る典型的な悪役である。神主は特権的な地位を利用して、憑代の少女が島から出る事を禁じ、神楽の伝統を伝えると称してしばしば稽古に呼び出していた。だが行われていた稽古は神楽だけではなく、なんと身体を愛撫されて開発され、神主の肉棒を咥えさせられていたのであった。また神主は自分の娘にも手を出しており、何度も交わっていたのである近親相姦。祟りが怖れられている閉鎖的な離島においては伝統的な祭祀を司る神主はやりたい放題だったのである。
 

過去生からの因縁

そんな中、調査を進めて行った主人公は島の伝承に辿り着く。何でも古代に日本において海の幸を求めて島に流れ着いた人間たちは蛇神により恩恵を受けたという。だが蛇神は人間が好きすぎて島から出る事を拒むようになっていった。それ故、人身御供を捧げるようになり、それが明治末期まで続いたのだという。近代化と共に因習は薄れ形骸化していったのだが、今代の神主は神の憑代となる少女の制限を厳しくし、島から出られないように画策した。憑代の少女は自分を育ててくれた老婆と彼女が経営する民宿を愛していたのだが、島を采配できる神主はそれを嵩にして少女を脅していたのであった。主人公は何度も何度も生まれ変わりながら、憑代の少女を解放するために前世のチャラ男と共に挑戦しながら失敗し続けた模様である。また主人公は異能を発揮でき、物体でも人との縁でも切断することができるのだとか。主人公とチャラ男がどのように島の因習から少女を解放するかに注目が集まる。

島の掟
蛟の呪い
2024年9月ゲー

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