ブルーアーカイブ「棗イロハ」絆ストーリーの感想・レビュー

理不尽な要求と膨大な作業量を要求される労働者が生き残るには適度な休憩と進捗管理が必要という話。
それを本シナリオでは「サボり」という。
仕事をがむしゃらにこなすだけでは雇用者に良い様に使われるだけの存在に成り果てキャリアも積み上がらない。
その結果待っているのは身体を壊すだけであり、労働者は自分で自分の身を守らなければならない。
だが自分で労働を管理できるような人間なら労働者なんかやっておらず(資本家になる)、中々難しいものがある。
そのため本作では疲弊する先生を見かねたイロハが適宜「サボり」と称する労働調整をしてくれるのである。
日本社会だと休憩は悪だと見なされるが労働生産性を上げるためにはむしろ休憩をとる必要があるというワケ。

棗イロハのキャラクター表現とフラグ生成過程

先生を誘惑するイロハ

先生の体調を心配し休憩させるために「サボり」を口実にして食事や気晴らしに誘ってくれるのがイロハ。彼女は先生と同じような労働環境にあり、理不尽な命令と終わりの無い仕事に向き合う点で共通していた。このような状況に対し、まともに取り合っていれば疲弊するのは自明の理であり、イロハは「サボり」をすることで仕事と上手く付き合っていた。だが先生は忙殺される仕事に心を無くしていたし、日本では休憩というのは悪と見なされるものである(ブルアカ日本のゲームじゃないけどさ)。そんなわけでイロハは度々先生の下へ訪れると上手い具合に先生を誘導し適度な息抜きをさせてあげるのであった。
 
イロハはその小悪魔的ウザ絡みがキャラ表現の真骨頂と言える。もしこれが奉仕系であったり素直な性格だったりしたら先生を休憩させることは難しかったであろう。またイロハも昔は先生と同じような問題に悩んだ末に行き着いた思想なのかもしれない。先生にコーヒーを要求したり、食事に誘ったり、買い物に付き合わせたりすることで、先生の気分転換を図っていくのだ。仕事とは終わらないものであり、次から次へと不測の事態が舞い込んで来る。どこそこまで進んだら休憩にしようと思っていると永遠に休憩することなどできない。自分で区切りをつけることは難しいものだ。けれども休憩しないと労働パフォーマンスは落ちていく。そんな負のスパイラルに陥った先生を助けてくれるイロハは女神のような存在であった。

イロハは口では面倒くさい、仕方が無いと言いつつも、その手際の良さはバツグンであったが、それを先生に見られるとどこか気まずい思いをしてしまう。そんな想いを誤魔化すためか、イロハは先生を自分専用の休憩場所へと誘う。休憩室でのイロハは靴下を脱いでリラックスし生足を先生に披露し、ゆったりとした時間を過ごすことの大切さを教えてくれるのだ。バレンタインの時には生徒会の命によるチョコを調達するための買い物と称して先生を巧みに連れ出し、ショッピングデートに興じる。さらにイロハはスティック型のチョコを手作りしており、ポッキーゲームで先生にチョコを食べさせようとしてくる。先生が戸惑う姿を見せると引き際も見事であったが、自分がかじったチョコで間接的な情交を狙ういじらしさを見せる。

先生の理解者となるイロハ
先生と夕食デートに行くイロハ
先生をショッピングデートで気分転換させるイロハ
先生を自分のプライベートスペースに誘うイロハ
先生と一緒に"休憩"するイロハ

バレンタインイベント

先生にチョコを渡すべく誘導するイロハ
先生にポッキーゲーム形式でチョコを渡そうとするイロハ
イロハの手作りスティックチョコ