ブルーアーカイブ「合歓垣フブキ」絆ストーリーの感想・レビュー

公務員としてのしがらみに磨り潰されないよう怠け者を装うが裏では良心の呵責に苛まれる少女の話。
公務員が安定しており定時に帰れる楽な仕事だったのは遥か昔。今は異なることはもう既に知れ渡っている。
市民のクレームは凄まじいものがあるし労働生産性を求められるが規則に縛られ効率性が上がらず死にたくなる。
また市民からは税金を払っているのだから質の良い公共サービスを受けられて当然であるという王様的態度を取られる。
そんな職場に於いて退職せず70歳まで働き続けるにはしがみ続けるある種の精神力が必要となってくる。
そのためフブキは自衛のために怠け者を装い面倒くさがっているが内心では心を痛めていた。
子どもから落とし物を探してと言われても交番を離れることなどできないし前例を作ると他の市民も怒り出す。
だが熱心な子どものお願いを無下にした自分に激しく自己嫌悪し、表面を取り繕って探しに行く。
先生はフブキの心意気を買って彼女が壊れてしまわないようにドーナツを奢り頑張りを労うのであった。

合歓垣フブキのキャラクター表現とフラグ生成過程

勤務中に昼寝をしたりドーナツを食べたりするフブキ

合歓垣フブキは怠惰で面倒くさがり屋の生活安全局職員。だがそれは過酷な公務員生活をサバイブするために身につけた処世術だったのだ。公務員諸氏には共感できるであろうが、現在の公務員は物凄く大変。市民からは絶えずクレームが舞い込むし、職員は減らされ一人で3役くらい兼務させられて死にそうになってるし、サビ残が当たり前で管理職が認めない限り残業代出ないし、労働生産性を求められてもハンコリレーシステム(電子でも同様)で全然仕事進まんし……今思いついたものを羅列しただけでも吐きそうになる。そんな公務員ライフをサバイブするためには、変に頑張らないこと、淡々と職務をこなすこと、責任を背負い込まないこと、心を殺すことが必要になってくる。故にフブキは怠け者を装い面倒くさいと嘯くようになったのである。
 

公務員としての処世術を身につけたフブキ

能ある鷹は爪を隠すという諺ではないが、仕事がこなせて断らない奴と認定されるとドンドコ仕事をぶん投げられるし押し付けられる。死にたい。それを踏まえてフブキは適度にサボりつつも首にならない程度に働き何とか公務員ライフを生き残ってきたのだが……だからと言って良心が痛まないわけではないらしい。ある時子どもから落とし物を探してとお願いされることになる。一見すると探してやらないフブキが悪者に見えてしまうかもしれないが、届いた遺失物を管理するのが仕事であり、自ら探しに行ったり、届いた物をこちらから知らせてあげたりしていたは業務が破綻するのである。だが良心の呵責に苛まれたフブキはサボりに行くと述べて先生に後を任せると、子どもの大切な落とし物を探していたのであった。フブキの行動は職務上から言えば褒められた行為ではないし、自己満足であるかもしれない。それでも先生はフブキの心の奥にある懊悩を察し、彼女が壊れてしまわないようにケアをする。落とし物を二人で探して子どもに届けると、二人でドーナツを食べてその頑張りを労うのであった。
 

良心の呵責に苛まされていたフブキ
フブキの懊悩を理解する先生
張り込み時に経費でドーナツを買い堪能するフブキ