わんぷり6話感想「御主人様の役に立てない無力感~こむぎのアイデンティティクライシス~」

忠犬こむぎ、御主人様いろはの為に尽くすことが生存理由なのにお荷物と化し精神崩壊。
いろははこむぎのことを愛玩動物だと見ており一緒にいてくれればそれで良かった。
だが犬であるこむぎはいろはの役に立ちたいと願っており些細だが決定的なすれ違いがあった。
それでもこむぎに能力があれば別だったのかもしれないが全く役に立てずお荷物と化してしまう。
そのためすれ違いは顕在化して大きな溝となり、こむぎは家出を決意するのであった。
二人の関係性を変化させるにはいろはがこむぎを愛玩動物として見なすことをやめねばならない。
もしくはこむぎが愛玩動物であることを受け容れればそれで良いがシナリオ的には発展性が無い。
飼い主とペットという関係性をどう昇華させるのか、次回へ続いた。

自分がここにいていいんだと自分で認めるためには

役に立てないどころか御主人様に庇われて怪我を負わせてしまうこむぎ

飼い主のいろはにとって、こむぎは愛玩動物なのだから、一緒にいてくれればそれで良かった。だがこむぎは忠犬であり、御主人様の役に立つことこそが自分の生存理由であった。ここに二人の決定的なすれ違いがあったのだが、まだこむぎが役に立てていると自分で実感できるているうちは、それで良かった。だが今回の話ではこむぎが単なるお荷物であることが顕在化してしまい、ショックを受けるのであった。魔法アイテムは使うことができず、戦闘面においても動物の本能により足が竦んで動けない。さらには置いて行かれる寂しさから避難を嫌がったことで大切な御主人様に怪我をさせてしまった。御主人様のために役に立つどころか、自分の能力不足により、迷惑をかけることしかできないという絶望感。御主人様が無力な自分をそのままで受け容れてくれるということは、自分が役に立つことを鼻から期待していないことと同義である。これを痛感したこむぎはアイデンティティクライシス。家出を決意するのであった。二人の仲を改善するにはいくつか方法があって、手っ取り早いのはこむぎが自分は愛玩動物であると認めてしまうこと。だがこれはシナリオ的に発展性がないので可能性は薄い。続いていろはの方がこむぎを愛玩動物と見なすのをやめることであるが、これは飼い主とペットという関係性状難しいことでもある。矛盾する二律背反アンビバレンツをどう解消し仲直りさせるのかに注目が集まる。

こむぎ、悪いのは自分のせいなので何も言い返せず絶望し家出する

 

今回の猫屋敷さん

お父さんとのネット会話でウッキウキになる猫屋敷さん

母子家庭かと思われていた猫屋敷さんのお父さんが登場。彼はアフリカのタンザニアで動物の写真を撮っているとのことで、雄ライオンがいかに素晴らしいかを娘に語ってくれた。単なる自分の自慢ではなく娘を気遣う話し方であり、その優しさが窺われる。猫屋敷さんの学校生活はやはり親にとってもネックなようで。母親が無理やり友達が出来たとか言ってしまうのだが、猫屋敷さんは友達になりたいだけであって、母親の弁にモニョモニョしてしまう。父親はそれを十分理解しているのであろう、娘の在り方を否定せず、そのままでいいんだよと慰める。だが猫屋敷さん自身はそのままでいいと思っているわけではない。あれ、このそのままでいいんだよ理論というのは、前述したこむぎにも当てはまるよね。周囲は優しくてそのままでいいと言ってくれるけど、自分自身はそのまま言い訳が無いと足掻いているという構図。期待されすぎるのも辛い事であるが、求められないというのは無関心につながるのであった。

友達の件で懸念があり、それをペットにやれやれされる猫屋敷さん

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