【感想】波乗かもめ「地雷になりたい雪音さん」

ちょっとお堅めな清楚系彼女が後輩にそそのかされて地雷服を身に纏う話。
清河雪音は女子校に通う生徒会長。貞操観念の強い淑女であった。
だがおうちデートの際に着ていたものは何と地雷服であり竿役彼氏くんは怯んでしまう。
なんと雪音さんは後輩にお堅いとフラれると言われイメチェンを企てたのであった。
第一次地雷作戦は失敗に終わってしまったが、ヒロインも竿役も助言役から説教を受ける。
竿役は中身は変わらないので受け入れる決意をし、ヒロインは中身まで染まる覚悟を決める。
真面目な彼女が必死に地雷系を装う姿は痛々しくもあり破壊力バツグンである!

ギャップ萌えと地雷系ファッションにより清楚系彼女を際立たせる演出

清楚系真面目彼女が地雷ファッションを着てきた件について

昨今清楚系彼女モノはntr展開ばかりが多くなった。それは単に清楚系イチャラブをそのままお出ししただけではインパクトが弱く勝負できないからである。だが清楚系は汚すことでしか価値を示せないのだろうか。清楚系イチャラブ展開が死滅しそうな状況の中、波乗かもめ先生はギャップ萌えにより清楚系を際立たせる展開を用意して来た。この作品の描写の多くは地雷系ファッションを身に纏ったヒロインが描かれており、普段の真面目な制服はほぼ出て来ない。だが一番印象に残るのが、地雷系ファッションではなく、素のままのヒロインなのである。
 

地雷系になれば喜んでくれると思ったのだが……

ヒロインは竿役の隣の女子校に通う生徒会長。属性はちょっとお堅い真面目な清楚系であり、竿役はそんな彼女が好きで交際をしていた。だがヒロインの後輩が真面目で堅物だとフラれてしまうとそそのかし、受け身の状態から転換させようとするのだ。そんなわけでヒロインが選んだのは地雷系ファッションであった。(これ、清楚系の対極となる属性ならギャルでもいけそうだけどなぜ地雷系を選んだし)。ヒロインは最初地雷系おうちデートを決行するが、この時はまだ服を着ているだけで中身まで地雷系に装えなかったあったため、竿役はビビってしまうし、ヒロインは積極的に動けなかった。これに対し、竿役もヒロインもそれぞれ身内から助言を受けるのだが、竿役はどんなに変わっても中身は変わらないのだと決意し、ヒロインは身も心も地雷系に染まらなくてはだめと腹を括るのである。
 

彼氏を喜ばせようとポンコツな努力をしてしまったが、それを肯定されたヒロイン

こうして中身まで地雷系彼女として振る舞おうとするヒロインは原宿デートを提案。いつになくきゃる~んとデートをこなそうとするのだが、やはりそれはぎこちないものであった。最初はヒロインの意志を尊重していた竿役だがヒロインがテンパりながらホテル街に連れ込もうとするのを見て、ついにその理由を聞くことにする。ヒロインはおずおずと竿役が喜んでくれると思って……と申し出るのだが、竿役は元々の内面や本質が好きだったと主張。やっていることが180度逆だったことを悟ったヒロインがショックを受け、着替えて来ようと逃げ出そうとした時、竿役はヒロインの意図を汲んで捕まえる。ヒロインは彼氏を喜ばせようと頑張った努力が認められることとなった。この演出が1頁丸々ぶち抜きで描かれており、その表情は是非見て欲しいおススメの表現となっている。
 

本作一番の見所。鏡の反射でヒロインの本質を写し出す

閨房描写では、普段マグロであったりおっかなびっくりであったりするヒロインが積極的に頑張ろうする姿がいじらしく描かれる。この地雷系ファッションプレイも十二分に素晴らしいものであるが、やはり一番なのが地を出す所であろう。服装や格好になど惑わされず、どんな私でも好きでいてくれますか?とヒロインが竿役に問うのだが、ここで竿役が肯定した時の演出がステキ。この場面では鏡に向かって後背位に興じているのだが、地雷系ファッションのヒロインを抱きながら鏡の向こう側にいつもの真面目系ヒロインが制服で映し出される演出が成される。ハラショーとしか言いようのないワザマエな描き方である。これをきっかけに竿役が一層ヒロインを求めることで、その髪がほどけていき、地雷系に成りきろうとしていたヒロインが地に戻ることになるのだ。さっきまでノリノリで積極的だったヒロインが急に恥じらいを見せる様子はグッとくる展開である。