ブルーアーカイブ「柚鳥ナツ」絆ストーリーの感想・レビュー

日常哲学・思索系カノジョ。友人には出来ない迂遠な思考を先生に聞いてもらい救われる少女。
柚鳥ナツは日常哲学に関し様々な思索を巡らすことを好んでいたが周囲に理解されないことは理解していた。
そのため先生がナツの理解者となり日常哲学や他愛もない思索に付き合ってくれることに喜びを感じていく。
手作りクッキーを振る舞うために感情の表象を話したり、二律背反な想いをアフォガードに込めたりする。
メモロビは駄菓子探索であり、廃墟に忘れ去られたかつて昔の駄菓子群を見つけ歴史とロマンを感じる。
ラストは特に用は無いが呼び出して一緒に過ごしてくれる存在の大切さが語られる。

柚鳥ナツのキャラクター表現とフラグ生成過程

手作りクッキーに表れる作り手の意識的無意識的な感情について

柚鳥ナツは日常的な事象に哲学を見い出し、思索をすることが好きな少女。だがそんなことはフツーのJKに理解されるわけもなく、また本人もそれを自覚していたため、先生がそれを受け容れると喜びを感じる。ナツはスイーツ部に所属しており、手作りクッキーを作った際にはただ渡すのではなく、先生にロマンを教授するという講義スタイルを取る。手作りクッキーには画一的なものはなく、その一つ一つに意識的・無意識的に気持ちが表れているのだという。すなわち先生へ感情を込めたナツの想いが手作りクッキーには表象されているのである。先生がナツから貰った手作りクッキーを一緒に食べようと言うと、感情の表れであるので一人で味わって欲しいと返される。
 

他者から理解されないと理解している少女を理解することについて

アフォガードイベントではナツが周囲から無理解の目線に晒されていたことが明らかになる。ナツは苦いエスプレッソと甘いバニライアスを組み合わせたアフォガードを披露し矛盾する二つの味の融合に関して一説をブツのであるが、先生はそんなナツの思考を良く理解しナツは優しくて包容力があると評するのである。ナツはこれまで自分の哲学トークが他者に理解されず、「唐突」「おかしい」「よく分かんない」と言われてきたため、ナツにとって大きな喜びとなったのであった。ナツは嬉しくなってロマンを教授する授業という形式を取っ払って先生とアフォガードを堪能する。
 

人知れず事実を共有することについて

メモロビは「失われた駄菓子を求めて」。どこかの廃墟に昔の駄菓子があることを聞きつけ、先生と一緒にダンジョン探索をする。見事その駄菓子屋は発見され、かつて流行った歴戦の駄菓子たちを垣間見ることに成功する。勿論賞味期限的には食べられないものだが、代々移り変わってきた駄菓子のトレンドを眼前にしたナツは歴史とロマンを味わうのであった。当初はSNSで拡散するつもりであったナツだが先生と二人きりの思い出として共有したくなりひっそりとロマンを封ずることにした。
 

特に何も理由がないが呼び出して時間を一緒に過ごせる関係について

ラストは気の置けない友人の重要性。特に用は無いが人恋しくなり、一緒に過ごしたくなる時もある。麗らかな天気が良いある日、ナツはそれを誰かと共有し一緒に過ごしたくなる。その相手とは勿論先生であり、ナツは先生が忙しいと分かっていながらも、呼び出してしまう。そしていつも生徒の困りごとに対して奔走している先生が、特に困りごとの無い生徒には何かあった?などと野暮なことは聞かないことに歓喜する。ナツは本当に何もないのに先生に会いたくて呼び出しただけであり、何かあった?と聞かれようものなら恥ずかしい心情を吐露せざるを得なくなるのだ。それを懸念していたナツだが先生のナチュラルな態度を見て、先生は何も無い生徒にはどうしたの?とか聞かないんだなと改めて認識し、そこにまた惚れていく。ナツと過ごすことを最高の気分と言ってくれる先生に対してきゅんきゅんし、二人で牛乳とブルーベリーパイを食べながらゆっくりした時間を楽しむのであった。