この青空に約束を―「桐島沙衣里シナリオ」の感想・レビュー

大学生気分の抜けない若手教師が成長する過程を描いたおはなし。

桐島沙衣里のキャラクター表現とフラグ生成過程。

桐島沙衣里こと「さえちゃん先生」は、孤島の田舎教師生活2年目。初めて担任を持たされ、寮長兼担任ということになったが、その実「教師」としての気概はあまり見られなかった。事なかれ主義を貫きとおし、平穏無事な教職人生を望む。だが、その態度はちっと間違いじゃない?な展開に。だって教師は完成されたものではなく、生徒とともに成長していくものだから。教師っていうのは生徒に教えるだけじゃなく、生徒から教えられるものなんだよ!!大体最近は即戦力ブームで大学在学中のうちから馬鹿の一つ覚えのように実践力!実践力!実践力!アレコレ詰め込めるだけ詰め込み、深く物事を考える間もなく染め上げられてしまう。成長を求めることもなく、使えないゴミは直ぐポイよ。四回生の時に8月になっても就職が決らず「どこでも行きます」と軽々しく口にしてしまい本当に辺境の地へ飛ばされてしまった負の感情が募る一方。


だが、そんな教師を変えたのが寮のメンバー。寮で暮らすうちに生徒への愛着が湧いていく。だが、そこへ事件が起こる。なんと校長・教頭が私利私欲で寮を潰してリゾート開発のために土地を売り払おうとしていたのだ。来年度には散り散りになってしまう寮生たちを笑顔で見送るためにも、最初の公約まで、つまりは年度末までは寮を潰すわけにはいかない。沙衣里と航はなんとか取り潰しを避けるために活動し始める。危機に立ち向かうに当たって男女が懇ろな仲になるのは良くあること。御他聞にもれず、沙衣里と航も中を深めていく。寮の立ち退きを何度か防ぎ防ぎきたところで、大チョンボ。二人でホテルに行ったときに、航が生徒手帳を落としてきてしまったのだ。危うく退寮⇒取り潰しかと思いきや、寮生たちに叱咤激励され、沙衣里先生は毅然と職員会議で立ち向かう。原因は自分なのに、その意気込みは他の先生を感化する!!結局は、沙衣里先生の本気を見たジョーカーチート切り札黒幕が、校長&教頭と企業との癒着をバラすという脅しをかけてチェックメイトで退学処分も取り消し。今度は、きちっと卒業してから関係を育もうぜということで、航が教師としてカムバックしハッピーエンド。