- 中国というまとまり
- 「中国」というまとまりは、数千年にわたる人々の政治的・経済的・社会的な営みの中で変動しながら形成されてきたものである。そして「中国」という概念は、人々が自らの過去をたえず解釈しながら構成・再構成されてきたものであるという意味では、思想的な産物でもある。近代にいたり、列強の侵略さらされた人々のあいだでは、「中国」という国家意識が高まり、領土的空間としても人間的集団としても、「中国」史上例をみないほどくっきりした輪郭をもつ「中国」像が形成された。
- 地理的空間としての中国
- 他民族国家としての中国
- 「中国」「中華」の観念
- 近代「中国」ナショナリズム
- 列強の圧迫のもとでさまざまな立場のせめぎあいのなかから形成されてきたあらたな「中国」意識は、前代とは大きく異なる質を持っている。
- 「中国」と「他国」との境を明確にし、従来想定されていた社会的差別を否定し国家を担う対等な「国民」をつくりださなければならない
- 近代中国のナショナリストたちの課題は、中国―夷狄、君子―小人といった、開放性と差別性をあわもつ秩序観になじんできた人々の脳裏に、はっきりとした枠をそなえた「中国」の形象を生み出し、それを支える気概を持つ団結した「国民」を創出することであった。
- 中国社会の特質
- 中国帝政時代における社会の柔構造的な性格
- 中国における「家」の結合