雑録

ゴールデンカムイ樺太編(10)「少数民族による極東連邦国家」の感想・レビュー

女囚人ソフィアを脱獄させウイルクの過去を聞くことでアシㇼパが暗号の鍵を思い出す話。
ウイルクは幼少の頃より冷徹で合理的な機能美を持つオオカミにコダワリと憧れを持っていた。
日本に渡り現地で娶ったアイヌの嫁からオオカミに追いつくというアイヌ名を貰うことになる。
それがすなわち「ホロケウオㇱコニ」であり、入れ墨人皮の暗号解読のヒントだった。
ウイルクは少数民族の文化は戦って守らねば滅びると危惧し極東連邦国家の樹立を試みる。
そしてウイルクはその国家の指導者にアシㇼパさんを据えようと目論んでいたのだ。

ウイルクはオオカミから合理的思考を学び取った

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  • 極東連邦国家形成をの意思を継ぐ
    • 主権国民国家体制は歴史上の産物であり近代ヨーロッパにより発生した概念に過ぎません。西アジア周辺にはイスラーム国際体制が、東アジアには冊封体制が国際システムとして敷かれていました。そこには明確な国境など存在せず、辺境は漠然としていました。しかし近代国家は主権・国民・領土で成り立っているように明確な国境線で区切らねばなりません。国境線など人為的なものであるためそこには正統性などないからこそ国境紛争が起こるのでした。また近代国家は民族自決を原則とされたため帰属意識が醸成されてエスニシティがネーションとしてまとめ上げられます。それ故、少数民族の独自の文化はすりつぶされ消滅してしまうのです。それはある意味自然淘汰であり、強い文化が残っていくといえましょう。しかし自分の中に郷土意識や民族としての誇りなどがないと、結局は根無し草として生きることになります。それはもう生きていても死んでいるのと同様です。戦わなければ生き残れない!ということで、ウイルクは失われる文化を守るため少数民族による極東連邦国家の樹立を目指したのでした。この思想に共鳴したのが、ロシア国内で革命を目指す貴族身分出身であったソフィア。そして日本では移民を奨励し多民族国家を形成しようという蝦夷共和国の思想を唱えたゴルカム版土方歳三でした。それ故、ウイルクはアシㇼパさんの和名を土方さんに教えていたのですね。
    • 今回はウイルクに惚れていたソフィアから父の若き頃の話を聞いたアシㇼパさんが、色々とその記憶を思い出していきます。特に決定打となったのが「オオカミ」。ウイルクの幼少期における人格形成に影響を与えたのが、合理的な機能美を持つオオカミであり、その毛皮をかぶって走り回っていたのです。このエピソードを聞いたウイルクの妻が夫につけたアイヌ名が「ホロケウオㇱコニ」であり、これこそが暗号解読のヒントだったのです。樺太への旅はソフィアとあって暗号解読の鍵を思い出すことがその主眼でした。しかし決してそれだけではなくアシㇼパさんに民族的自覚を持たせることも目的の一つだったのですね。少数民族の文化がなくなっていくことに危機感を抱いたアシㇼパさんは杉元の思いとかけ離れていきます。アニメ版樺太編では杉元とアシㇼパさんのすれ違いも扱うのでしょうかね。4期に続くとかなりそう。

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