星空のメモリア 蒼衣鈴シナリオの感想・レビュー

星空のメモリアの衣鈴シナリオは孤独少女を癒して少女救済。
孤独で寂しい思いをするならば、人間関係そのものを拒否すればよいと頑なになっちゃうの。
そんな寂しさの氷を溶かすのは我らが小河坂兄妹。
衣鈴ルートは、「見えない望遠鏡」がテーマとなる。

「見えない望遠鏡」が観るものは?


衣鈴は星の天体観測が好きなのではなく、過去の思い出「南半球の星空」を想起するために、星を見上げていたの。故に望遠鏡は「星を観測する」という行為を示すシンボルにしか過ぎない。主人公の洋は、決して衣鈴が望遠鏡を触らせないことを疑問に思っていたが、ある天体観測の晩、その望遠鏡が見えないのだと知ってしまう。その場に居合わせた衣鈴は、それから頑なに洋に心を閉ざすようになる。折角今まで仲良くなりかけていたのにね。文化祭での南天プラネタリウムもすっぽかされ、衣鈴の心を溶かすにはどうしたらよいの?近づけば近づくほど距離が遠くなってしまう衣鈴との関係を深めるには過去に触れることはどうしても避けられない。周囲の力も借りて、財政難で閉館となった天文博物館で何とかプラネタリウムの上映をお願いし、オーストラリアのオーロラを再現することでアプローチ。ここでなんか館長が主人公のパパンとかそういや死亡描写はやってないな千波ルートの伏線かね。閑話休題、衣鈴の望遠鏡は博物館の閉館記念上映会の際に洋のパパンから貰ったものであり、それが過去の思い出を繋ぐものであったことが判明。オーロラで衣鈴は洋に心を開くが、過去の呪縛から解き放たれたわけではなかった。

「見えない望遠鏡」と衣鈴の友情


見えない望遠鏡を後生大事に抱え込むということは、過去に逃避し現在を見つめないこと。処置に困る洋であったがそれを見抜くかのようにメアが登場し望遠鏡破壊。望遠鏡はもう既に、衣鈴を過去に縛りつける悪夢にしか過ぎなくなっていたの。所謂ショック療法ってやつかね?衝撃に感情を抑えられなくなった衣鈴は、望遠鏡破壊を洋の妹千波のせいにし罵詈雑言を投げかける。これまでずっと千波は衣鈴に仲良くしようとアプローチしてきた。衣鈴が孤独の仮面を被るためにどんなに邪険にしても友達だといってくれた。そんな千波に濡れ衣なのにひどい言葉を浴びせてしまった。長らく友達の居なかった衣鈴にはごめんなさいの仕方が分からない。その感情を洋に逃避させようとするも、洋もあんまり衣鈴にかまってくれなくなっちゃう。戸惑い感情を揺さぶられる衣鈴だが、洋も千波も望遠鏡を修復していたのだ。あくまでも無垢で無償の愛情友情をくれる小河坂兄弟に衣鈴の心はオープンハート。「誰かと関わることで傷つくくらいなら、今後はずっと独りで良い」というセカイ系は打ち払われ、小河坂兄妹と共に歩むことでハッピーエンド。過去に囚われていた悪夢から現実の星空を見上げることができるようになりましたっ。