雑録

eden* They were only two, on the planet. の感想・レビュー

eden*は一言でまとめるならば、炉利ババアを看取るはなし。死亡後の過去回想という表現方法を取る。
困った女の子の助けとなることによって、自己肯定してもらいましょう。
世界がどうなっても自分たちだけの関係を重視するセカイ系設定も満載。
少女救済で失われた実存を取り戻せ。ホスピス=ケアで死生観も描くよ!!
シナリオは1)ココロが壊れた主人公くんが2)主体的に少女救済の道を選び3)少女の最後を看取る,という展開。

ココロが壊れた主人公


主人公くん;榛名亮は軍人で、特殊部隊で戦績を上げ若くして准尉となった。だがその代わり、ココロは壊れ眼光は鋭くなり人殺しマシーンと化していた。"任務"であることを口実にして、唯々諾々と上官命令を忠実にこなす犬同然だったのだ。そんな亮は重要人物の護衛の命を仰せつかり、隔離された孤島へとやってくる。亮のお仕事は護衛として送り込まれた同僚の不穏分子の排除。暗殺に精を出す毎日を送るが、そんな折、なぜか自分のことを知ってるらしき重要人物付きのメイド:エリカがアプローチをかけてくる。メイドにより想起させられる幼きころの記憶。幼少のころのある日、亮が目を覚ますと家も村にも誰も居なかった。誰か帰ってくることを信じて畑や家畜の世話しながら日常を送るが、お姉ちゃんと呼んでねとナツメなる少女が現れる。長くはなかったがその擬似姉弟ライフは主人公くんに多大な影響を与えることになる。突如終わりを告げられる擬似姉弟ライフは、引き裂かれたナツメへの思慕を主人公くんに植えつける。その後の軍への入隊や凄まじい戦績は姉を思ってのものだったのだ。このように主人公くんの人格形成の原動力となったナツメの親友だったのがメイドのエリカだったというわけさ。エリカの願いは自分が奉公する主であり主人公くんの護衛の対象のシオンを解放することであった。遺伝子操作された人工生命体であるシオンは時既に寿命が近づき、幾許も生きられない。エリカは主人公くんに、自分の意思がない人間は本当に生きていると言えるのか!?と叱咤激励。屋敷を爆破してやんよと護衛部隊を脅し、メガンテする。エリカの死により覚醒した主人公くんはシオンを連れて逃走する。

主体性を取り戻せ


逃亡シーンはカットされ亡命生活編へ。主人公の亮とシオンは亮の故郷で隠遁生活。シオンは見かけは幼く中身は数百歳という炉利ババア。その寿命はもう幾許もない。高度な知能を誇る人工生命体であるシオンは、ひたすら研究ライフを送ることを強いられていた。頭は切れても世間知らず。亮との隠遁生活でもことあるごとに好奇心旺盛で興味を惹かれていく。荒地を開墾し農地を整え鶏を飼い周囲を警戒するだけの毎日だったが、シオンにとっては何もかも目新しいものだった。自らの意思でシオンを助けたいと願った亮は、軍とは違う穏やかな生活を持て余しつつも、暮らしに安住を覚えていく。そこへ投げられるのが小さな波紋。なんと、ジャーナリストの少女:真夜がシオンのことをパパラッチしにきたのだ。逃亡は完璧だったはずだったのにどうして!?と愕然とする亮だったが、メイド:エリカの接触者だったみたい。真夜と交流するうちに、シオンの中に疑念が生じる。亮を自分の余生に付き合わせていいのか知らん?若い彼には彼の人生があるのではなくて?と。そんなシオンは亮に告げるのだ、真夜とともに去ってと。済し崩し的にシオンに惹かれ死を看取ろうと思っていた亮は選択を迫られる。苦悩の結果、亮は自分の意思でシオンとともに生きることを、シオンの命を看取ることを選んだ。シオンも自分がどんなにか亮を必要としていたか、愛していたかを知ることになる。こうして二人の関係は相互依存の利害関係から、対等で自らが選んだ主体的な関係へと変化したのであった。亮は、少女の救いとなることで自分が生きる理由を見出し、実存を回復する。

少女の最後を看取る


真夜が去ったあと、シオンの容態は次第に悪化していった。死へと向かう少女のホスピス=ケアタイム始まります。シオンはもう、睡眠と覚醒を繰り返すばかり。それもだんだん睡眠時間の方が多くなっていく。しかしシオンにも乙女心が芽生え、着替えを見られるのを恥ずかしがるようになったり、肉体的接触を求めるようになったりする。穏やかに死へと近づくシオンだが、二人には不思議と恐怖感や焦燥感は無かった。既に去った真夜のはなしでは、シオンの追跡はとっくに終了しており、もう彼女を必要としないとのこと。これで本当にシオンを必要としているのは亮だけになっちゃった。トウトツだが、この作品は地球が滅亡する寸前という設定で、シオンが地球脱出計画の音頭をとっていたという背景がある。最後の移民船を地球で二人で見送くり、あとはもう地球が滅亡するかシオンが死ぬかを待つだけの日々。願わくば、シオンの死よりも地球滅亡が遅からんことを。シオンが死ぬまで普通の女の子の暮らしをさせてやってくれと。願いは叶い、シオンには死が訪れる。今まで諾々と生きてきた自分に、主体性を回復させ実存を取り戻させてくれたのは、全てシオンのおかげだった。シオンの墓を掘りながら想起していたのが今までのお話、過去回想という手法さ。シオンが死んでも、まだ地球が滅びるまで少しだけ時間は残っている。生きる理由を少女に見出すことができた主人公くんはちょっと切なくハッピーエンド。