はつゆきさくら体験版の感想・レビュー

はつゆきさくら体験版は「幽霊探し」のおはなし。
社会不適合者を引き連れて、いざゆかんやゴーストタウン。
伝奇系風味の推理チックゲーか?

体験版の内容

主人公の河野初雪は進学校に馴染めない社会不適合者予備軍。最初の印象はCLANNADの朋也さんに近いかな。受験戦争に追われノイローゼ気質の進学校で、かつて交わした「卒業」という約束を守るため、今日もつまらない学校へ行く!!
「必死こいて入ったんだ。必死こいて出たいと思って何が悪い」
そんな初雪さんの前に現れたのが、玉樹桜。彼女はなんとゴーストバスターだとのたまう。このゲームの方向性は、悪くて日常系のキャラゲー・一歩突き詰めれば「受験や学園生活という苦しみからの現実肯定」を描く鬱ゲーと推測していたが、ところがどっこい「伝奇系風味の臭い」が漂います。なんと初雪さんは死者フラグが立っており、ヒロインの玉樹桜と敵対するゴーストの親玉であったのだ!そして、玉樹桜と憑依合体する「コノハサクヤ」を倒して魂を吸われ人形化した金髪ドール「ラン」を救いたいのだ。「俺はもう春に至れなくていい!!」



 

各ヒロインのキャラクター表現

玉樹桜が初雪さんに接触してくるのは、初雪さんが反魂香の臭いを漂わせているから。くんかくんかされちゃうの。初雪さんと玉樹桜は協力してゴーストの情報を集めていく。玉樹桜はおしっこをもらす。作品的にはその過程で攻略ヒロインズが登場してくるという構造。学園パートで絡んでくるヒロインは、子犬後輩とスケート女。子犬後輩では学園生活の憧憬を扱う。進学校で異端視されてしまうレールからはみ出した者たちへの鎮魂歌。大学という進路指導以外の可能性を目指して、子犬後輩は奮闘する。この子犬後輩が扱うテーマだけでも作品一本作れるんじゃね?一方のスケート女はアイスダンスのパートナーが次々と怪我をしてしまうという呪いに苦しんでいく。スケート女は呪いの救世主となりパートナーにもなってくれた初雪さんにきゅんきゅんしちゃう。しかし、「くんかくんか」してもらいたいとつけた香水が反魂香で、初雪さんにバスルームに乗り込まれて幻滅。だが優しさに触れ幻想を抱いたり、下ネタに振り回されたりと好感度を募らせていく。「処女だもん」とかのたまう。

初雪さんのバイト先での人間関係として出てくるのが、浪人と似非ロシア人。浪人は数少ない初雪さんの理解者で年長者として彼を導くが、反魂している初雪さんの影響を受け、調子が悪くなっちゃうの。初雪さんが既に死んでいることに気付きながらも忘れさせられる日々。けど、浪人に浪人っていうなよ、初雪さん。もう一人の似非ロシア人は、アホっ子枠か。出身は?と聞かれ「ほっぽうりょうど」と答え、初雪さんからもツッコミをくらう。「気を付けて発言しないと、お前、刺されるぞ」。ヤルタ協定ソ連の千島取得権が認められ、サンフランシスコ講和条約では日本は千島の領土権を放棄してるんだけど、このサンフランシスコ講和条約は片面講和でソ連とは調印してないし、ヤルタ協定は冷戦構造でうやむやになったのよねー。閑話休題。体験版では浪人と似非ロシア人の出番は少ない。特に似非ロシア人はどうやってシナリオに絡むのかね。グランド√があるゲームにありがちな、物語の構造を成り立たせるための一部分としてのシナリオに堕する危険性が高い?