-atled-everlasting song 体験版1の感想・レビュー

体験版-atled-は、孤児の少女がタイムリープして母親の未来を変えるおはなし。
テーマは、親子関係におけるわだかまりとその解消。
暗夜行路書いてたら和解しちゃった感じなので、オッサン向けで、結構面白かった。
現実問題、親と反発しているヒトにとっては、あくまでもご都合主義で受け容れがたいわな。
体験版だけで綺麗に完結しており、これ以上どうやって話を広げるのだろうか。

-atled-の体験版概要

主人公のあおばは孤児院育ちのはねっかえりな元気っ子。孤児だからこそ気高く哀れみを嫌いロックを愛する。今日も今日とて駅前路上ライブでポリ公と戦う日々を送っていた。そんなあおばが心を開けるのは、同じく孤児院育ちでおとなしい系ピアノ少女の麻智。彼女は孤児であることを理由に深刻ないじめをうけており、正義派のあおばはいつも憤慨していた。そんなあおばと麻智であったが、二人の目標は路上ライブで演奏をすることだった。だが、ある日麻智は階段から突き落とされ、回復不能な程の怪我を負ってしまう。麻智の過去を変えたい!!そう願ったあおばはオカルト本に手を出し、タイムリープをするのであった。

タイムリープ先は麻智が生まれる直前のセカイ。あおばは奮闘するも、通信端末も貨幣制度も異なる状況の中で行き詰ってしまう。そこへ上手い具合に医大生ロッカーと駅前路上ライブで意気投合し、色々と世話になるのであった。あおばが過去で体験したのは、死んだはずの母親と父親に遭遇することであった。特に母親;希(コイネ)との出会いは一悶着を見せる。コイネは自分の実家とうまくいっておらず、報道業界で職を得ていたが人生に生き甲斐を見いだせなかった。そのため、抽象的な論議をこねくり回しては、社会を揶揄し、安易なニヒリズムに浸ることでしか自分を生かせなかったのである。ゆえに、あおばが現実世界を肯定し、自分の親を肯定し、何もかも肯定し続ける姿に感化されつつも、許せなかった。まぁ結局は打ち解けます。


コイネはあおばに痛いところを突かれた挙句、うまくいっていなかった親が汚職で逮捕されてしまい、心が折れた。その精神崩壊寸前の状態の心が弱っているときに、職場の新人教育で育てた若者にコロッと堕ちてしまったというわけさ。そしてこの若者は交通事故で死ぬ。これがあおばの父親だったというわけで、こうしてあおばが誕生したという伏線回収。で、結局、あおばは過去に来たものの麻智を救えないことが判明し、ショックを受ける。そんなあおばを母親のコイネが受け容れてアドバイス。麻智がいじめられるのはあおばが過保護で「与えすぎ」であるからで、おあばがいなければ麻智はきちんとイジメと戦った。あおばが現在の麻智にしてしまったのだ。あおばは弱い自分を麻智に晒してあげることで、麻智が精神的成長を果たす。過去を変えようとするのではなく、怪我でピアノを弾けなくなったとしても他のことは出来るので未来を変えなさい、と説教ゲーになるのだった。

そしてあおばの前向きなひたむきさは周囲の人物を巻き込まずにはいられない。医大生ロッカーはあおばの真摯な親への気持ちに感化され、きちんと親と向き合う覚悟をした。あおば自身は過去を変えられなかったが、この医大生ロッカーとコイネが未来を変えた。あおばが元のセカイに帰ってみると、セカイ変革が起こっており、フラッシュバックする大規模な記憶の流れ。医大生ロッカーの活躍によりコイネの寿命は延び、母親と過ごした記憶があり、麻智の人格は変化し強化され、お姉さん属性を有するしっかり娘になっていた。こうして「過去は変えられないけれども、未来は変えることができる」という美談がくっついて、めでたしめでたしで、綺麗に終わったのでした。まぁ色々と考えることはあるよ。人格変化前の麻智とあおばがお互いに構築していたイビツな歪んだ関係を、コイネのアドバイスにより変化させたのではなかったところとかね。人格変化後のお姉さん化した麻智に対しては自分をさらけだすことができていたけれども、歪んだ関係に対する処置ではないのが残念なところです。