終わる世界とバースデイ(体験版)の感想・レビュー

終わる世界とバースデイの体験版は、現代における世界の終焉待望論のおはなし。
ケロQの『素晴らしき日々』でも同じようなテーマが扱われていました。
体験版では、世界の終焉により狂った学歴コンプから妹を救い出すところまでプレイできます。
コットンソフトの作品はいくつかプレイしましたが、学歴コンプの描写は少し病的なものがありますね。
予備校業界や博士課程に対するライターの怨念が垣間見られます。

体験版の概要

主人公は視覚障害の妹と二人暮らし。思慮深く、落ち着いており、障害を持つ妹の幸せを願っています。視覚障害というと、どうしてもONEやH2Oを思い出してしまいますね。そして、主人公くんには、さらなる不幸設定が加算されています。実は、主人公くんの妹は、本当の妹ではなく、既に死んでしまった友人の妹でした。妹は兄の死に耐え切れず精神崩壊してしまったときに、主人公くんを兄と誤認することで自我の崩壊を防いだという事情がありました。そのため、主人公くんは自分を殺して兄として振舞います。ですがそのことに精神的疲労を抱き始めていたのでした。そんな状況の中、主人公くんは予備校において同級生女子から話しかけられます。話題は世界の終焉について。妹のために生きる主人公くんは、当初この女をシカトしていましたが、必死に食い下がる姿を見て、なかなか気骨のある奴だと思い直します。この女がヒロインBで、物語を動かす原動力となります。すなわち、主人公くんが世界の終焉と接触する要因となったのでした。世界の終焉ネタを調べる過程において、ヒロインCと接触することになります(ヒロインBによる依頼→物語のテーマに関する主人公のコミット→攻略ヒロインとの接触)。このヒロインCは、強気系な割りにラノベ大好き少女でラノベの歴史から現在におけるラノベ市場の様子まで薀蓄をたれてくれます。


で、体験版のメインイベントについて。この体験版の山場となるのが、世界の終焉の噂によって狂った学歴コンプから妹を救い出す場面。コットンソフトは本当に学歴コンプの描写が好きだな!!『ナギサの』では主人公くんが学歴コンプで、如何にして学歴コンプから本当の学力を身につけるかということが語られていました。『アンバークォーツ』では敵キャラの一人が学歴コンプで、博士課程に進むほど覚悟も決意も信念もなかった理系修士が高校教員をやりながらも高校教員を小バカにして毒を吐く描写が見られました。そして、今回は学校に馴染めない理由を「ホントウはレベルの高い所へ入りたかったけれども第三者の邪魔で勉強に集中できず新設底辺校に入ってしまった」ということに責任転嫁し過去しか見ないでグジグジする根暗メガネが登場。ライターさんはそんなにも日本の受験戦争や学士‐修士‐博士という学位システムに不満があるのでしょうか!?そんな学歴コンプ根暗メガネ(これだけ書くと俺のようだ)が、ネットの掲示板で叩かれたことを契機として学校でナイフを振り回す殺戮事件を決行。その事件に妹が巻き込まれ、あわや殺害かという大ピンチ。そこへ颯爽と現れた主人公くんが見事妹を救い出したのでした。こうして主人公くんは嫌がおうにも世界の終焉という狂気に巻き込まれていいくのでした。おそらくこれからの展開としては、世界の終焉を契機として、現実世界に適応できない社会的弱者の人々が理性のタガが外れて事件を起こし、そこへ主人公くんが巻き込まれるという流れかと推測できそうです。違うかもしれんが。