大図書館の羊飼い 白崎つぐみシナリオの感想・レビュー

大図書館の羊飼い』のつぐみルートは「人と人とのつながり」(社会的連帯)。
引っ込み思案でオドオドしている少女の支えとなって成長させていく。
主人公の筧さんが理詰めで白崎さんをサポートしていく姿が、このシナリオのウリ。
「自己の罪悪感」を引き摺る少女を解放しましょう。
病弱な義妹と頑張る姉の構図で東鳩2のいいんちょルートを少し思い出しました。

共通√は体験版のこちら→http://d.hatena.ne.jp/mmm000mmm/20130107/p1

白崎つぐみのキャラクター表現とフラグ生成過程

白崎つぐみは引っ込み思案で消極的な女の子。人に優しく善良で世の中に擦れていない所が魅力としてアピールされており、主人公さんはこの人間性に惹かれていきます。人見知りで恥ずかしがり屋なことを自覚していた白崎さんは、このままでは良くないという克己心に駆られます。こうして「学校を楽しくする」ことで自分の性格を積極的なものにしたいと、図書部という名の仲良しサークルを立ち上げたのでした。こうして図書部は、様々な雑用を、お使いRPGのようにこなしながら、知名度を上げていきます。そして、便利屋的なお手伝いサークルを一歩抜けだし、自分たちでイベントを企画し実行するところにまで成長したのです。様々な場で緊張や自己嫌悪などの困難に見舞われる白崎さんを、主人公さんは持ち前の知識スキルを駆使してコーチングしていきます。そしてイベントの締めの挨拶を前にして震える白崎さんを肯定し、脱皮させることに成功したのでした。このイベントを通して生徒会に認められた図書部。白崎さんはここで初めて「主人公さんをめぐる戦い」において生徒会長と同じ土俵に立ったのでした。そして、白崎さんは「おもてなし」をする際、「他者に本当に喜んでもらいたい」という精神において、「当たり障りのないお仕着せ」で済まそうとする生徒会に勝利します。こうしてフラグが成立するのでした。

フラグ成立後は、ヒロインの個別的な内面の問題に取り組んでいくことになります。白崎さんの場合は「自己の罪悪感」でした。図書部は「新入生を花と笑顔で迎えようプロジェクト」に携わるようになり、学園全体を巻き込んでいくことになります。白崎さんは、図書部が大きくなるにつれ、その活動も肥大化し、部員達の私的時間を圧迫していくことを気に病むようになるのでした。なぜなら、白崎さんは完全に自分のエゴのため、それどころか安っぽい虚栄心のために図書部の活動をしていたからです。自分の虚栄のために他人を犠牲にしていることに耐えられなかったのです。なんでも、白崎さんには病弱で入院中の妹がおり、学校の話をよくせがんでおりました。白咲さんは妹に対して、自らの見栄のために、いかに自分が学校生活においてリア充ライフを送っているのかを力説し、事実と反することを吹聴していたのです。苦悩する善良な白崎さんに対し、主人公さんは弱さをさらけだす強さを説きます。こうして意を決して仲間たちに自分の本性を晒すと、予想通りあっけなく図書部の面々は白崎さんを肯定してくれたのでした。プロジェクトも成功し、そこにはたくさん人が集まっています。目的を達成することだけが全てではなく、達成する過程で身につけた経験や人脈が重要なんだ!ということを教えてくれているようです。白崎さんのひたむきな一生懸命さは周囲を感化し、それがうねりとなってカタチとなったのです。妹にも自分の虚栄心を贖罪し、ハッピーエンドとなりました。