雑録

大図書館の羊飼い「桜庭玉藻」シナリオの感想・レビュー

大図書館の羊飼いの桜庭玉藻ルートは「封建遺制」がテーマ。
因習にとらわれ思考停止してしまった少女を解放しましょう。
権威に従うことでしか自己を保てない弱き人間の力とならん。
しかし個人の内面の在り方が前向きになりました!といきなりエンディング。
根本的な解決には至らないままフェードアウトしていきました。

桜庭玉藻のキャラクター表現とフラグ生成過程


桜庭玉藻は委員長気質の生真面目な黒髪ロングポ二子。しっかりとしてハキハキとしているが、実態は権威によりかかることでしか自分を表現できない主体性のない女でした。玉藻は地方の封建遺制の残る田舎で支配階層のノビレスオブリージュを叩きこまれて育ちました。そのため「有能であること」を自己の存在理由としていたのですが、所詮胃の中の蛙で、お山の大将に過ぎなかった現実が突き付けられます。田舎から進学校へ出て来ると、自分は対して有能でもないことに気付いてしまったのでした。こうして親から成績をあげろとプレッシャーをかけられる中で、慣れない一人暮らしで友達もできず、精神崩壊寸前の毎日を送っていたのです。そんな玉藻を救ってくれたのが、友人の白崎さんでした。玉藻は自分が必要とされていることに他者需要願望が満たされていきます。玉藻は目標を目指して努力するのではなく、努力することそのものが自己目的化していきました。イビツで歪んだその精神状態は、次第に友人の白崎にもうざがられるようになっていきます。



しかし、玉藻はただのアホではありません。むしろ自分を客観的に眺め、出来そこないの自分を冷笑する一方で、そうしなければ生きていけない自分を分かっていたのです。それでも普通の生活をするためには、走り続けることしかできません。止まってしまったら、そこには絶望しか転がっていません。そんな玉藻を救済するのが我らが主人公の筧さんです。羊飼い気質満点の筧さんは、困っている迷える子羊に対して直接、解決策を提示するのではありません。ただひたすら寄り添うことで、肯定と承認を続け、自分で主体的に問題と向き合えるようにサポートしてあげるのです。こうして玉藻は主体性というものについて取り組んでいくことになるのです。親の言いなりになって生きるのではなく、自分で本当にやりたいものがあるならそれを恐れるな。大衆から孤立して単独者となってもいいではないか!!筧さんに寄り添われて実存を取り戻した玉藻は自分の人生は自分で決める。親や封建遺制、権威などに黙って諾々と従っていられるか!!自分の気持ちを偽らず、戦ってこそ見えてくるものがある。玉藻は見事主体性を確立できたのでした、とハッピーエンド・・・?・・・?ここまで引っ張っておいて両親との戦いは描かれないのですか?すこし肩すかしの感じは否めません。。社会的な問題を個人的な問題に挿げ替えて美談になりました。