早大・慶大入試問題分析報告会(世界史) in 河合塾新宿校 まとめ

  • 講師:沼田英之(河合塾)
  • 内容…早大・慶大各学部における「世界史」の入試問題の分析
    • 分析報告会では、各学部の出題の特徴をひとつずつ見ていったが、ここでは総括をまとめておく。

総括 〜早稲田・慶応の世界史で求められている力は何か〜

  • 早大・慶大は基礎知識の「運用能力」が試される
    • 早大慶大で重要なことは、難しい用語を暗記することではない。それは基礎知識の「運用能力」である。基礎知識というと教科書レベルの用語の暗記だと思ってしまいがちだが、羅列的な知識の有無が問われるのではない。あくまでも「運用する」能力が求められているのである。それが顕著なのが、正誤問題である。センター試験のように、基礎知識を身につけていれば、単純に識別できるという問題ではない。早大・慶大の入試問題の正誤判定は、「頭を使って格闘しないと解けない問題」である。問題文を吟味し、例え知らない用語があろうとも、基礎を駆使してアプローチし、正答を導き出すことが求められている。そのため、演習で「頭を使って問題を解く」練習をすることが重要である。
  • 細かい歴史用語に拘ってはいけない
    • 早稲田・慶応の世界史にありがちなこととして挙げられるのが、細かい知識を暗記して悦になる傾向を持つ生徒が出現するということである。些末な問題を暗記し、周囲に知識をひけらかして、優越感により受験のプレッシャーから自分を保とうとするのである。そのような生徒が破滅を迎えるのがセンター試験の時である。細かい知識の暗記に拘り、基礎知識の体系化をしてこなかった生徒はセンターで崩壊する。あくまでも基礎をベースとした上で、早大慶大に必要な知識を積み重ねて行かなければならないのである。
  • 過去問研究により分かる大学のカラー(大学が受験生に対して何を要求しているか)
    • 早稲田もそうだが、特に慶応に見られる特徴。同じ問題のパターンを繰り返し出してくる。これは、過去問研究の際に、受験生に一種の刷り込みをしていることに繋がる。例えば、レーガンサッチャーなどの新自由主義は繰り返し出題されているが、そのような知識を知らない人はうちの大学には入らないよ、ということなのだ。だから、うちの大学に入りたければ、新自由主義などの現代における経済状況に目を向けるのは当然だし、核兵器に対しての意見も持っているのは当たり前、と要求してくるのである。つまり、過去問研究をすることで大学側が刷り込みをしていると同時に、その大学のカラーが分かるのである。
  • 年代整序と正誤判定で受験生の振り落とし
    • 受験生の振り落としをはかるのが、年代整序と正誤判定。重要年号の暗記もさることながら、そこから歴史的思考により年代整序を行う必要がある。そして問題の難易度を左右するのが正誤判定の問題で、正誤判定が難しいかとどうかで全体に対して取り組みやすいか否かの印象が左右される。
  • 接触・交流」と「日本史・地理・政経」などの科目横断的な特性
    • 新課程への移行の影響として、いわゆるグローバル化などの「接触・交流」の時代・地域横断史的な出題と、「日本史・地理・政経」などの科目横断的な出題の増加はあるのかどうかという問題。これに対しては、早大慶大は横断的な出題に昔から取り組んでいたとのこと。早稲田の国際教養でリード文に英文が登場し始めてきたことを例としてあげつつ、本腰を入れて科目横断的な世界史の問題が増えることも可能性としてはあり得る。
  • 上智の地理
    • 早大慶大の分析だが、上智についての分析も。「キリスト教徒以外は人間じゃない」的な設問多し。
    • 上智は地理・地図問題が豊富なので出来うる限り、各学部の地図を集めよとのこと。上智はありとあらゆる地図の問題を作成しているので、研究すると他の地図問題にも効果的であるとのこと。
  • その他 各学部分析解説事項
    • 慶応文は『史料が語るアメリカ』が史料問題で扱われる
    • 慶応法は正誤判読の難化…難しい嘘をつくようになる
    • 慶応商の単文論述はイメージして想像させる問題
    • 慶応経済