桑島由一,七央結日,かづや,森崎亮人『イノセントガール 体験版』(FrontWing)の感想・レビュー

相変わらずのバカゲー風味なテキストでライトな抜きゲーなノリ。
だが割とシリアスで挫折系主人公くんが黒歴史を芸術へと昇華できるかというテーマ。
舞台設定は美術学園モノで攻略ヒロインたちは独自の専攻を持っている。
主人公くんはポエマーだが、黒歴史として恥じており、普通の進学校で過ごしてきた。
芸術家たちの苦悩や葛藤に接しながら、主人公くんは黒歴史を克服できるのか!?
挫折系主人公くん物語はとてもステキなのですが妹と理事長によりバカゲーと化す。

ポエムに関する主人公くんの挫折意識(黒歴史)を芸術に昇華できるかという課題

  • 挫折系主人公くん
    • 主人公くんは両親の転勤の都合により田舎から芸術系の学園と転校してきます。主人公くん自身もポエマーであり、かつて幾つかの賞も獲得していたのですが、そのことは黒歴史となっていました。故郷では普通の進学校に通い、ポエムとは離れた日々。しかしながら芸術系の学園に来たことで刺激を受け、黒歴史に立ち向かうことになります。主人公くんの感性を刺激したのがメインヒロインの綾代かがり。彼女は「水」をモチーフにして絵を描く天才肌の画家でした。ですが主人公くんはかがりの絵を見て衝撃を受ける一方で、どこか足らない未完成のようにも感じていたのです。ぽつりと呟いたその「未完成」という感想をかがりに聞かれたことによって、彼女から一目置かれるようになっていきます。


  • かがりさん「人に言えない夢(もの)にどうして関わったの?」
    • そして主人公くんの黒歴史集暴露タイム。かがりは主人公くんの過去の詩作集を食い入るように読み込んでいきます。自分の作品を悔いる主人公くんに対して、かがりは主人公くんの黒歴史集から受けた美的センスを絵で表現してみせるのです。そして、主人公くんに「人に言えない夢(もの)にどうして関わったの?」と通告するのでした。

これは、きらきらの世界…星空きらるの世界…さっきの詩を読んで、胸の中がふわふわした…きらるの詩も、そうだった…自分が思い描いたものを表現するため、たくさん頑張っていた、悩んでいた。きらるは、言葉を大事にしていた…テクニックは努力と時間で補える。でも、情熱はそうじゃない…あなたはテクニックを見せたかったの?それとも、ちゃんと伝えたかったの?…私は、私が受け取ったものを表現しているだけ…あなたの詩、きらきらしてる。甘い星の光だった…人に言えない夢(もの)に、どうして関わったの?

    • かがりの芸術性に触れた主人公くんは、今再び立ち上がろうとしています。黒歴史を受け入れ、克服することはできるのでしょうか!?かがりの作品が「未完成」なものになってしまう理由とは!?続きが気になりますね。


  • 他ヒロインについて
    • あと他ヒロインとしては陶芸専攻の幼馴染みのこのかさんが良いですね。周囲を気遣うタイプだったり、思考がネガティヴだったり主人公くんと分かり合ってる感を醸し出していたりするので、グッときますね。主人公くんと一緒に帰る時少し遠回りしたくて海岸線を歩きたいのになかなか自己主張できなくて、それを主人公くんが察して遠回りしてあげる所は何か良いねぇと思いました。けれども妹と理事長が頭がお花畑すぎてバカゲーと化しています。ピュアガールの時も、テキストは基本バカゲーだったしねぇ。