雑録

あきゆめくくる「共通(体験版の続き〜個別√まで)」の感想・レビュー

バカゲーの皮をかぶった哲学思想ゲー。量子力学をモチーフに人間存在や世界を解釈する。
体験版では世界を変えるという主体的な意志決定の手段としてラブコメをすることが決定した。
製品版の個別√までの流れとしては何を題材にしてラブコメをするかが物語の原動力となる。
決まった題材がお祭りで地域共同体を挙げた「ルルラン祭り」を開催することになる。
お祭りの準備として必要な資材を注文すると、その輸送に乗じてイモウトが再登場する。
このイモウトによる問いかけに答える形で個別√を選択することになる。

個別√までの流れ


  • 無間地獄とその輪廻
    • 主人公くん一派以外はループする1日を繰り返し続ける北海道のとある地方都市「ルルラン」。そこでは量子爆弾の犠牲となった旧地域住民たちが、残滓と存在していました。彼らの存在はワスプと呼ばれているのですが、その繰り返す1日というのは量子爆弾が落とされた日だったのです。つまりはワスプたちは量子爆弾によって消滅する毎日を繰り返し続けていたのです。この無間地獄の輪廻のような状態からワスプを救おうと、主人公くんたちは世界の意志に干渉しようと試みます。その手段がラブコメである、というのが体験版までの流れです。
    • このラブコメ狂言回しを演じるのがボクっ子ヒロイン:土織キス。攻略ヒロインたちとのハーレムを築き上げ、主人公くんにこのハーレムを崩すように目的を与えます。一方で、主人公くんたちは改めて全員でワスプの無間地獄輪廻を確認しておこうとシェルターにおけるパニックの様子を見に行きます。その際、土織キスから語られる「過去が現在を決めるのではなく、現在が過去を決める」というはなしが結構好き。主人公くんはE.H.カーよろしく歴史哲学的に「歴史とは尽きることのない過去と現在の対話なのです」との解釈を示すのですが、土織キスは星の光を引用してきます。天体モノの紙芝居ゲーでは、星は数億光年離れているので、地球で観測する光は、数億光年前のものである云々というネタが良く出てくると思います。この星の光の観測を二重スリットに例えながら、過去の光がどのように見えるのかを現在観測することによって確定するという話で例示してくれるのですね。


  • 謎の円柱と主人公くんたちが生かされている理由
    • はるくるでも円柱?が出てきましたがあきくるでも登場しました。はるくるでは主人公くんたちはシェルターの中にいて、地球は滅亡しており、移住できる惑星に移動している最中で、ループを繰り返しているという設定でしたね。果たしてあきくるではどうなるのでしょうか?
    • このような疑問に対し、一種の答えを与えるのがイモウトの役割となっています。熱力学のエントロピーとは異なると前置きしたうえで、SFで使われるエントロピーの視点からなぜ主人公くんがループ世界に閉じ込められているのかの解釈が行われるのです。以下引用。
      • 「この世界は元に戻るという力が働いているわけですよね。それってエントロピーの法則に反している、ということではありませんか……エントロピーの法則とは、万物は秩序ある方向から混沌とした方向に進むという法則だ……例えば、部屋は放っておいても汚れるけど。奇麗にするには労力がかかる。お湯と水を混ぜてぬるま湯を作るのは簡単だけど、ぬるま湯から、お湯と水を分けて取り出すのは難しい、ということ……何をやってもエントロピーが増大しない、ということは、永遠のエネルギーを手に入れることができるかもしれない、ということになります」
    • この後、イモウトは主人公くんとの別離に生殖行為をねだるのですが、主人公くんはこれを拒否。そして個別√へと入っていきます。