キミのとなりで恋してる!体験版の感想・レビュー

キミのとなりで恋してる!は陸上部のマネージャーが祖母の圧力により婚活をするはなし。
いきなり同棲をするよう命じられたりするトンでも設定なのにわりと面白いと思う。
キャラゲーorネタゲーと見せかけて一線を画している。
各登場人物の心情描写が深く掘り下げられているので好感を持てる。
あと大学でLSDやってたので、きちんと陸上ネタが描かれるとテンションあがる。
両親を亡くし妹のために陸上を辞めてマネージャーとして頑張る主人公くんもなかなか良い。

概要

  • 競技者を辞めざるを得なくてもマネージャーとして頑張るという道
    • 主人公くんは陸上部のマネージャー。顧問の代わりにフォーム指導や練習メニューの作成などコーチの仕事をしています。主人公くんもかつてはバリバリの長距離ランナーとしてならしたもの。しかし今は選手としては遠ざかり、部員たちのために尽くしています。しかしながら怪我や病気で選手を退いたのではありません。今でもマラソン選手のペースメーカーとしてフルマラソンも余裕で走れるぐらいです。故に、主人公くんと一緒に駅伝をするために同じ学校を選んだライバルの;勝彦からは選手復帰が強く望まれていたのでした。ではなぜ主人公くんは選手を辞めたのでしょうか?それは全てイモウト;恵のためでした。主人公くんの家庭環境は良好なものとは言えませんでした。死んでしまった両親も夫婦仲が悪かったし、嫁姑戦争も繰り広げられていたとのこと。また両親の死はイモウトの心をえぐり、精神崩壊寸前まで追い詰められていたのです。そんなイモウトを救ったのが我らがお兄ちゃんの主人公くん。残された祖母とイモウトのために家事をこなして一家を支え、イモウトを立ち直らせたのでした。イモウトがお兄ちゃんのちくびをいじってくるのも、その寂しさを癒すためのコミュニケーションなのです。色々と苦労する主人公くんを見て、祖母は思い立ちます。自分の孫を支えてくれる人が必要だと。そんなわけで祖母は見合い相手を用意するのですが、主人公くんもおいそれと認めることはできず、祖母を納得させるために婚活をすることになったのです。


  • ヒロインB…男友達系おさななじみ;莉奈
    • 主人公くんは婚活の件を男友達系おさななじみ;莉奈に相談します。莉奈は主人公くんに好意を抱いているのですが、もうひとりの幼馴染みAとの友好関係を壊したくないので、なぁなぁに済ませています。婚活の相談をされた時も当初は自分が立候補して主人公くんの祖母の目を欺こうとするのですが、幼馴染みAのことをおもんばかって辞退してしまいます。さらには幼馴染みAが主人公くんとの溝を埋められるように画策してあげたりと、ぬるい人間関係を作り出すために努力をするのでした。莉奈が主人公くんに対して積極的な行動をとれないのには理由がありました。それは莉奈がアイデンティティ拡散の危機に陥っていたからです。妹の為にマネージャーとして頑張る主人公くんや、長距離選手として一生懸命頑張るヒロインAに対して劣等感を抱き続けているのです。莉奈は自分のやりたいことがみつからず、またシリアスな雰囲気になると過敏性大腸症候群が発動してしまうので、日和見主義を是としており、毎日を適当に過ごしていました。そんな自分にに引け目を感じているのです。そして莉奈は主人公くんに対して罪の意識も持っています。中3のマラソン大会の時、莉奈は主人公くんや幼馴染みAに少しでも近づきたいと努力をするのですが、結局、本番では足を痛めてびっこを引きながらコースを歩くことになります。女子の次にスタートした主人公くんはそんな莉奈に遭遇すると、三年連続マラソン大会優勝を捨てて、莉奈をおんぶして走り抜いたのでした。まぁこんなことをされてしまったら莉奈は主人公くんにさらに入れ込んでしまうわけで、主人公くんのために尽くそうと心に決めることになったのでした。

  • ヒロインA…過去にワケアリ幼馴染み;なぎさ
    • なぎさは主人公くんの幼馴染みAです。黒髪ロングで長距離ランナーのなぎさは引っ込み思案なものの、真面目で頑なで一生懸命。疎遠になってしまっていたものの主人公くんにはずっと惚れており、主人公くんのことを気にする日々を過ごしてきました。なぎさと主人公くんが疎遠になってしまったきっかけはなんだったのでしょうか?それは発達段階のギャング=エイジの年代によくある「異性と仲良くしていると同性グループからからかわれる」という現象です。主人公くんとなぎさは家族ぐるみの付き合いもあり、それはもう仲良くしておりました。するとそれに嫉妬した少年グループから夫婦だのカノジョだのからかわれるわけですね。なぎさはそれにまんざらでもなかったのですが、主人公くんはなぎさを傷つけてしまうのを恐れたが為、カノジョではないと突っぱねてしまうのです。つうこんのいちげき! なぎさは 100ポイントの ダメージを うけた。なぎさの目からは涙が溢れ、主人公くんは女の子を泣かせてしまったためにショックを受けます。これ以来、主人公くんはなぎさと疎遠になっていくのです。そんななぎさとの関係も婚活をすることになったことを契機に一転します。なぎさは、主人公くんが陸上部の女子全員に求婚したのに、自分だけが求婚されなかったことに衝撃を受けていました。また幼馴染みBにのみ家庭の事情を相談していたことにもショックを受けます。ですがこれは全て主人公くんの思いやりだったのです。幼馴染みBの画策により呼び出された主人公くんはなぎさが隠れて聞いていることも知らず、なぜなぎさを選ばなかったかを滔々と語ります。なぎさは真面目で思いやりが深いので、主人公くんが相談したら、好きでもないのにカノジョのふりを一生懸命してしまうだろうと。これを知ったなぎさは主人公くんの思いを知り、過去のわだかまりを捨て、ヨメとして立候補したのでした。


  • ヒロインC…主人公くんのお見合い相手;涼香
    • 涼香は長距離のトップランナー。主人公くんのお見合い相手なのですが、打算目的で近づいてきます。ホノルルマラソンでペースメーカーとして優秀な働きをみせた主人公くんを見て、フルマラソンの選手を目指す涼香は自分のペースメーカーになって貰おうと近づいてくるのです。主人公くんたち幼馴染みズのぬるい関係に一石を投じる役割を担わされており、物語の原動力としての装置となっています。引っ込み思案なさぎさに対しては、涼香は起爆剤となります。主人公くんを何としてでも落とそうとちゅっちゅしてくる涼香を見せることで、なぎさに積極的な行動をするように指し示すのですね。また幼馴染みズとは違って積み重ねた時間がない涼香は、その分現在の関係性を変化させようとしてくるので、主人公くんたちはそのぬるい関係性を変えざるを得なくなってくるのです。こう考えるとシナリオを進行させるために用意された人物となっているのですね。また涼香の魅力は機能的な側面だけではありません。本気を出しても主人公くんに全く追いつけず、自分が打算で行動していたことに恥じ入ったりします。また主人公くんのライバル;勝彦とのやりとりも面白く、主人公くんをペースメーカーマシンとしてみなす涼香に対して、勝彦が主人公くんの選手としての有望性を力説させたり、メスブタ扱いするところは一読の価値ありです。